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■首相強気 改憲「必ず私の手でなし遂げる」 総裁4選論も再燃「桜疑獄」から逃げ回った安倍首相。臨時国会は野党の会期延長要求を拒否し、12月9日に閉会した。
だが、「桜」から逃げ回った安倍氏は、改憲に関しては一歩も引かない。
野党の結束で、臨時国会においても憲法審査会での自民党改憲案の提示を阻まれ、国民投票法改定案の採決を阻止された(5国会連続で見送り)。2021年9月末までの総裁任期中に国会で改憲を発議し、国民投票まで実施するのは、「政治日程上、非常に厳しい」状況に追い込まれていることは明らか。
安倍氏は、臨時国会閉会直後の記者会見で「たやすい道ではないが、必ずや私の手で成し遂げていきたい」と明言し、「(来年の)通常国会の憲法審で憲法改正原案の策定を加速する」(毎日)と、改憲への執念をむき出しにした。
その翌日(12月10日)、総裁任期中の改憲が厳しい状況にあることを意識してか、麻生副総理兼財務大臣は記者会見で「任期中にできる当てがないなら、対策を考えるのは当たり前ではないか」(同)と、また二階幹事長も「任期中にかなわない場合は、その時の政治情勢や国会日程をにらんで対応することが大事だ」(同)と述べ、総裁4選を強く示唆した。
どの世論調査でも安倍政権の下での改憲反対が賛成を上回っている。国民の意思に逆らう安倍改憲の暴走は許されない。来年の通常国会に向けて世論と運動をいっそう広げていこう。■2019年―主な改憲の動き(上)〈1月〉
・4日 安倍首相、年頭記者会見で「具体的な改憲案を示し、国会で活発な論議を通じ、国民的な議論や理解を重ねていくことが国会議員の責務である」と改憲への決意を表明
・16日 自民党の下村憲法改正推進本部長、「新元号がスタートする歴史的な年に、憲法改正の流れをつくりたい」と強調
・28日 第198通常国会開会 安倍首相、施政方針演説
〈2月〉
・24日 辺野古新基地建設県民投票、「反対」票が72・2%を占める
〈3月〉
・1日 玉城沖縄県知事、安倍首相と会談し、辺野古新基地建設県民投票の結果を通知
・22日 沖縄県、辺野古新基地の埋め立て承認撤回の効力を国土交通相が一時停止したことを不服として、国を相手に取り消しを求めて福岡高裁に提訴
・25日 政府、辺野古新基地建設で土砂投入を再開
〈4月〉
・22日 立憲民主、国民民主、共産、自由、社民の野党5党、戦争法を廃止する2法案を参院に共同提出
〈5月〉
・3日 72回目の憲法記念日 日本会議が主導する「公開憲法フォーラム」で、安倍首相はビデオメッセージで「2年前、2020年を新しい憲法が施行される年にしたいと申し上げたが、今もその気持ちは変わらない」と表明
・9日 衆院憲法審査会、民放連の幹部はCM規制は「表現の自由」に抵触し、自主規制はできないと表明。立憲民主党の枝野代表は自主規制をしなければ国民投票法には欠陥がある。現行法の下での国民投票実施に反対を表明
・29日 立憲民主党など5野党・会派の党首会談、夏の参院選で全国に32ある1人区のうち30選挙区で野党統一候補を擁立することで合意(後日、残る2選挙区でも合意)
「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」(市民連合)から13項目の要望を受け、各党首らが署名し、政策協定を結ぶ
〈6月〉
・26日 通常国会閉会
(中)
2019年12月24日号