2013年12月24日号
■秘密保護法―改憲と「戦争する国」へ暴走 9条を破壊する悪法の廃止をめざそう
 「本日12月8日は、72年前、日本軍が破れかぶれの太平洋戦争に突入した日である」「2013年の今、侵略戦争の歴史をかたくなに否定し、新たな戦争を準備しようとする安倍政権が、国民の目と耳と口をふさぐ『特定秘密保護法』を成立させた」「私たちは、自民党と公明党による、戦争準備法とも言うべき『特定秘密保護法』の強行可決に満身の怒りをもって抗議する。そして、必ずや慢心した自公政権を覆すために、決してあきらめることなく、力を合わせて反動の嵐に立ち向かう」(「12・8平和の集い」アピールから)
 6年前、第1次安倍内閣は、常軌を逸した国会運営で改憲手続き法を強引に制定し、防衛省設置法や教育基本法改悪を強行。同年の参院選で惨敗し、1年足らずで政権を投げ出した。私たちの記憶にまだ新しい。
 秘密保護法案反対のたたかいは、市民、学者、弁護士、ジャーナリスト、映画人など、国内外の諸団体が法案反対・廃案の声明を発表し、短期間のうちに国民世論が、日ごとに大きく高まった。憲法や平和、民主主義の破壊を許さない大きなエネルギーを国民が持っていることを示した証であろう。
 「秘密保護法案反対」を訴えた各層・団体の声明は、「秘密保護法廃止」へと変わってきた。憲法違反の稀代の悪法の廃止をめざそう。安倍政権の終わりの始まりにしよう。
◇            ◇
■2013年―主な改憲の動き(上)
〈1月〉
・4日 菅官房長官、村山談話を継承する一方、新たな談話の作成を表明
・17日 安倍首相、集団的自衛権の行使容認に向けて4類型以外も検討の対象にする考えを示す
・25日 政府、防衛大綱の見直し・中期防の廃止、年内の新大綱作成を決定
・28日 第183回通常国会開会
・30日 安倍首相、衆院本会議で「まずは憲法96条の改正に取り組む」と表明
・31日 安倍首相、参院本会議で「国家安全保障会議(NSC)」創設を急ぐと表明
〈2月〉
・8日 「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)」初会合
・12日 安倍首相、衆院予算委で「敵基地攻撃能力」について検討の必要性に言及
・15日 政府、NSCの創設に向けた有識者会議の初会合を開く
〈3月〉
・1日 政府、戦闘機F35の共同生産に参加し、部品を輸出することを武器輸出3原則の例外として認める
・4日 施政方針演説に対する代表質問で自民・維新の会が96条改正を安倍首相に求める
・22日 政府、名護市辺野古沿岸部の埋め立て許可を仲井真知事に申請
〈4月〉
・15日 教育再生実行会議、教育委員会改革の提言を安倍首相に提出
・16日 安倍首相、衆院予算委で「秘密保全法」の制定に言及
・25日 96条改正に反対する議員連盟「立憲フォーラム」が発足
・26日 産経新聞が「国民の憲法」要綱を発表
・30日 「新憲法制定議員同盟」、「新しい憲法を制定する推進大会」開催
〈5月〉
・16日 日本維新の会、国民投票法の改正案提出
・23日 96条改正に反対する学者が「96条の会」を結成
・31日 民主党憲法調査会、憲法改正の党見解案を了承
〈6月〉
・7日 政府、NSC設置関連法案を閣議決定、国会に提出
・15日 小野寺防衛相、講演で「水陸両用部隊(海兵隊)が必要」と語る
(中)
2013年12月10日号
■日本版NSC設置法が成立 危険な本質浮き彫りになった特定秘密保護法
 特定秘密保護法案の慎重審議を求める圧倒的な国民世論が高まり、市民、学者、弁護士、ジャーナリストなど、国内外の諸団体が反対声明を発表し、大きなうねりになろうとしている中で、自民、公明の与党とみんなの党は11月26日、衆院特別委員会の質疑を打ち切り、委員会と本会議で同法案を強行可決した。
 朝日社説は「数の力におごった権力の暴走」(11月27日付)、毎日は「成立ありきの強硬路線をひた走っている」(同)と政府の態度を批判した。
 海外からの懸念の声として毎日新聞は、「国連人権理事会のフランク・ラ・ルー特別報告者は、『内部告発者やジャーナリストを脅かす』との懸念を表明し、日本政府に透明性の確保を要請した」、また「世界102カ国の作家団体で構成する国際ペンも、『政治家と官僚が市民の言論の自由を弱体化させ、権力を集中させようとしている』とする会長声明を発表」したと報道。
 さらに、多くの報道機関が「ツワネ原則」(国家安全保障と情報への権利に関する国際原則)をとりあげ、法案は「ツワネ原則」にことごとく反していると指摘する。
 「ツワネ原則」は、「安全保障のための秘密保護」と「知る権利の確保」という対立する2つの課題の両立を図るため、国連などの国際機関の職員や安全保障に関する専門家ら70ヵ国、500人以上が2年間にわたる議論を経てまとめ、ことし6月に南アフリカの都市・ツワネで採択し、発表した。
 50の原則からなっており、@国民には政府の情報を知る権利があるA秘密情報を入手、公開した市民を罰してはならないB安全保障分野の情報に対する独立した監視機関(第3者機関)を設置しなければならないC情報を無制限に秘密にしてはならないD秘密指定を解除する手続きを定めなければならない―など。
 衆院における審議を通じて秘密保護法案の危険な本質が明らかになってきた。与党と日本維新の会、みんなの党との修正合意は法案の危険性の根幹を何ら変えていない。
 問題の第1は、特定秘密の指定が各省庁の大臣などのトップに委ねられ、特定秘密に指定すれば、国民にはその秘密が知らされることもなく、半永久的に秘密のままであり続ける仕組みになっていることである。
 また、行政機関のトップのさじ加減で、特定秘密が際限なく広がっていく。秘密指定が適正か、どうかをチェックする第3者機関もない。
 第2は、処罰範囲が広く、厳罰に処せられるため、表現の自由や報道の自由、知る権利が侵害される。言論活動に萎縮をもたらせ、正当な行為まで自粛することになれば、民主主義の基盤が掘り崩されることになる。
 第3は、国権の最高機関である国会の機能が侵される。国政調査権によって秘密を国会に提供する前提として非公開の秘密会でなければならないため、所属政党に持ち帰って議論することもできない。国政調査権が空洞化され、当たり前の議会政治・政党政治がマヒしかねない。(11月28日記)
 秘密保護法案と一体のものとして審議されていた国家安全保障会議(日本版NSC)設置法が11月27日、参議院の本会議で可決され、成立した。NSCは、外交・軍事の司令塔として、平時にも有事にも対処する戦争の司令部の役割を担う。
 戦争は、戦前の軍機保護法や治安維持法など「秘密保護」と国民弾圧の法律で準備されてきた歴史がある。秘密保護法の成立によって「戦争する国」の国家体制が具体化する。次は、いよいよ海外で戦争するための集団的自衛権行使の容認である。
(中)
2013年11月26日号
■戦争国家への道 NSC法案と秘密保護法案 「戦争する国」づくりをめざし、アクセルを踏み込み続ける安倍内閣。
 軍事や外交など安全保障の情報を首相官邸に一元化させ、「4大臣会合」(首相・官房長官・外相・防衛相)で基本方針を決定するための国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案が7日、衆院本会議で強行可決された。
 自民、公明、民主、維新、みんなの党が賛成し、共産党、生活の党、社民党は反対した。重要法案であるにもかかわらず、衆院特別委員会の審議はわずか21時間だった。
 同法案は参院に送付され、衆院では特定秘密保護法案が審議されている。本紙が読者に届く頃は、2つの法案とも、衆参両院で予断を許さない情勢にあろう(11月14日記)。
 NSCの中長期的な指針となる「国家安全保障戦略」(安保戦略)の概要が、10月21日の「安全保障と防衛力に関する懇談会」(安防懇)の会合でまとめられた。政府は初めての「安保戦略」を年内に決定し、同時期にまとめる新防衛大綱にも反映させる。
「安保戦略」の概要は、「積極的平和主義」を基本理念に掲げ、防衛力の増強や日米軍事同盟の強化、PKOなどへの積極的参加、武器輸出3原則の見直し、社会的基盤の強化として国を愛する心の涵養(かんよう)などが盛り込まれている。
 目玉だったはずの集団的自衛権行使の容認については、政府が結論を来年に先送りしたため、言及していない。しかし、行使容認を念頭に、安保分野の国際的な役割の拡大と防衛力の強化を打ち出し、日本が攻撃されたときだけ反撃する「専守防衛」路線を放棄する内容になっている。
 すでに防衛省では、武器輸出3原則の見直しに向けて、「防衛装備の国産化をうたった1970年当時の防衛庁方針を約40年ぶりに見直し、代わって、国際共同開発への積極参入や、民間転用できる装備品を官民一体で国際マーケットに売り込むことを柱とする新たな戦略を2013年度中に策定する」(共同通信)との方向を出している。日本製の武器を人殺しに使わせないための「武器輸出3原則」が崩されてしまう。
 また、「3原則」の見直しとともに新防衛大綱で、敵基地攻撃能力の保有や弾道ミサイル防衛強化のためのイージス艦増加(6隻から8隻に)、島しょ防衛強化で水陸両用部隊の拡充、陸上自衛隊の定員増などが報道されている。
■99%が反対意見 辺野古の埋め立て
 普天間基地の移設に向けて政府が県に提出した辺野古埋め立て申請について、名護市に提出された「市民意見」2500件のうち、埋め立て賛成の意見は10数件、反対意見が圧倒的に多かった。
 稲嶺進市長は記者会見で「これだけの反応を(仲井真)県知事も無視できないのではないか。われわれは知事(の不承認)を後押ししたい」(琉球新報)と述べた。「市民意見は埋め立て申請で、県が市に29日までの提出を求めている市長意見に反映させるため、10月末まで募集した」(同紙)。
(中)
2013年11月12日号
■NSC法と秘密保護法 「戦争国家づくり」が狙い ブレーキ壊れた安倍暴走車
 外交・軍事の司令塔となる国家安全保障会議(日本版NSC)設置法は、安倍政権が企てている「戦争する国づくり」への突破口である。NSCを通じてアメリカと軍事情報を共有するためには「秘密保護法がどうしても必要」(安倍首相)であり、NSC法案と「一体」のものとなる。
 また、NSCの活動方針となる「国家安全保障戦略」(「安保戦略」)と新防衛大綱を年内に策定する。
 その上で、集団的自衛権行使の憲法解釈を変更し、9条を踏みにじり、海外での武力行使を可能にする「国家安全保障基本法」の成立を目論む(来年の通常国会)。また、来年末までに日米の軍事一体化を新たな段階に推し進めるために、日米防衛協力のための指針(ガイドライン)を再改定する。  こうした安倍自民党政権の戦争国家への道≠ノ強烈なNO≠フ矢を射なければならない。
■秘密保護法案 地方紙社説が警鐘をならす
 国民の目・耳・口をふさぎ、暗黒社会を招きかねない秘密保護法案反対の世論が高まっている。
 共同通信社が行った全国世論調査によると秘密保護法案に反対が50・6%と半数を超え、賛成は35・9%。慎重審議を求める意見は82・7%を占め、今国会で成立させるべきだとする12・9%を大きく上回った。
 また、憲法学者や弁護士、メディア関係者からも鋭い批判の声が広がっている。地方紙の社説も健筆をふるう。
・北海道新聞(10月25日)知る権利は、憲法が保障する基本的人権の一つである表現の自由に基づく。治安維持法などで言論が弾圧され、日本が悲惨な戦争に突き進んだ歴史への深い反省から導かれたものだ。
・東京新聞(10月23日)公安警察や情報保全隊などが、国民の思想や行動に広く目を光らせる。国民主権原理も、民主主義原理も働かない。まるで「戦前を取り戻す」ような発想がのぞいている。
・信濃毎日新聞(10月27日)テロ対策を理由に原発情報を入手しようとした市民や学者が捜査対象になることも考えられる。国家行政の問題点を追及し、変えてきたのは市民の力でもある。それが機能しにくくなる。
・岐阜新聞(10月26日)官僚は、特定秘密を量産し、半永久的に抱え込むことができる。都合の悪い情報をこっそり秘密に指定し、こっそり廃棄することさえも可能だ。それらをチェックするすべは全くない。
・神戸新聞(10月25日)何を特定秘密にするかは、結局、行政機関の判断に委ねられる。「知る権利」が守られるかは不透明と言うしかない。情報統制につながるような法案は容認できない。
・中国新聞(10月26日) 国会議員も人ごとではない。特定秘密の内容を基本的に知らされることがなく、秘密会に同意すれば口外できない。憲法に定められた国政調査権に関わる問題でもある。
・徳島新聞(10月26日)議員が秘密を漏らせば、最高5年の懲役。大臣や副大臣らが漏らせば最高10年。国会議員が同僚議員や秘書、外部の識者にも相談できないと、官僚に対抗できなくなる。
・西日本新聞(10月26日)個別事案の妥当性をチェックする仕組みはない。何が秘密かも秘密―。そうなれば事実上のブラックボックスである。特定秘密に指定されれば、半永久的に秘密にすることも可能だ。
・琉球新報(10月26日)法成立後は、例えばテロ対策が名目の公共事業は、税金の使途として妥当か検証できなくなる。原発事故も秘密にされかねない。そんな暗黒社会を招来しそうな法は「悪法」と呼ぶほかない。
(中)
2013年10月22日号
■日米「2+2」、ガイドライン再改定へ 軍事協力範囲をさらに拡大
 3日、外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(「2+2」)が開かれ、自衛隊と米軍の協力のあり方や役割分担を定めた防衛協力の指針(ガイドライン)を2014年末までに再改定することで合意し、「より力強い同盟とより大きな責任の共有に向けて」と題する共同文書を発表した。
 共同文書が、日米の戦略構想は「アジア太平洋地域およびこれを超えた地域における安全保障および防衛協力の拡大……を基礎としていく」と述べていることは重大である。
 共同文書はまた、米国は「地域および世界の平和と安全に対してより積極的に貢献するとの日本の決意を歓迎した」としている。そして、日本側が安倍政権が取り組んでいる集団的自衛権行使容認の検討などの軍事強化政策について、共同文書で米国は「歓迎し、日本と緊密に連携していく」と表明。
 これは「安倍内閣が進める外交・安全保障政策の抜本的転換の一環」であり、「自衛隊の能力と役割を拡大し、米軍により協力しようという安倍内閣の意向がある」(東京新聞・社説4日付)。
 さらに、共同文書は「(日米が)同盟をよりバランスのとれた、より実効的なものとし、十全なパートナーとなる決意である」と明記。時事通信は「日本に米国防衛の義務がない日米安保条約の『片務性』を解消し、対等な日米関係を目指す安倍晋三首相の意向が反映された」と指摘する。「双務的な同盟」にすることを宣言したに等しい。
 このように共同文書は「日本防衛のための日米安保体制」から「グローバルな日米同盟強化」への変質が前面に打ち出されている。
 安倍首相は9月の国連演説で「日本をこれまで以上に(地域や世界の)平和と安定の力としていくことを約束する」と強調し、安保政策の柱として「積極的平和主義」の旗を掲げた。だからこそ、集団的自衛権を行使できる日本に意欲を燃やす。
 また、ガイドラインの見直しは、安倍自民党政権がめざす改憲、国防軍の創設などの動きと一体のもの。9条の枠を突破して、いよいよ自衛隊が世界のいずこにおいても、米軍と共同して軍事行動を起こす危険な道に踏みこんでいくことになる。
 ―日米の確認事項―
《日本の安全保障政策》
 @国家安全保障会議(NSC)の設置・国家安全保障戦略(NSS)の策定、A集団的自衛権行使容認の検討、B防衛予算の増額、C防衛大綱の見直し、D防衛力強化、E地域への貢献拡大
《2国間の安全保障・防衛協力》
 @BMG(弾道ミサイル防衛)協力、Aサイバー空間・宇宙における協力、B情報収集・警戒監視・偵察活動の進展、C施設の共同使用―南西諸島を含む自衛隊の態勢強化のため、施設の共同使用推進、D防衛装備・技術協力―F35戦闘機製造への日本企業の参画などの連携を通じ、技術協力は深化、E拡大抑止協議―「核の傘」を含む拡大抑止の協議を定期的に開催、F情報保全―特定秘密保護法整備を合意、G共同訓練・演習―オスプレイの日本本土運用参加など沖縄県外の訓練増加へ様々な機会を活用、H在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)の重要性を確認
 さらに、普天間飛行場の辺野古移設を「唯一の解決策」として再確認した。
■防衛相、敵基地攻撃能力の保有 日米で協議
 「2+2」の共同文書で取り上げられていない敵基地攻撃について、小野寺防衛相は4日、「日米両国で協議することで一致した」と述べた。軍事政策の重大な転換となる。
(中)
2013年10月8日号
■安防懇 「積極的平和主義」柱に安保政策のタカ派路線への転換狙う
 また一つ、危険な安倍首相の私的懇談会がつくられた。外交・安保政策の中長期的基本方針となる「国家安全保障戦略」(「安保戦略」)を策定する「安全保障と防衛力に関する懇談会」(安防懇)が9月12日、スタートした。
 政府は安防懇の議論を受けて、「安保戦略」とその下位におかれる新しい防衛大綱を年内に策定する。また、「安保戦略」は年内発足を目指す国家安全保障会議の活動指針となる。
 首相の「仲良し」人脈(8人)で構成される安防懇の座長は、「安保法制懇」の北岡伸一座長代理が兼務。集団的自衛権の行使容認を予定している「安保法制懇」の提言と連動させて進める方針である。
 「国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、世界の平和と安定、繁栄の確保にこれまで以上に積極的に関与していく」(毎日)。首相は安防懇の冒頭でこう強調した。 さらに北岡座長は、初会合後、記者団に対し、「積極的平和主義」を進めるにあたって「集団的自衛権について厳格な限定でやっていくのは難しい」(同)と明言した。
 首相は「積極的平和主義」について詳しく語っていない。第1次安倍内閣でも安保政策の見直しに意欲を燃やしながら、1年弱で政権を投げ出したため実現できなかった。しかし今回、「安倍カラー」全開の安保政策を狙っている。
 1957年に閣議決定された日本の「国防の基本方針」および「国防の基本政策」(@専守防衛A軍事大国にならないB非核3原則C文民統制の確保)―は見直され、集団的自衛権行使の容認をはじめ、武器輸出3原則の見直しや敵基地攻撃能力、海兵隊的機能の保有など安保政策のタカ派路線への転換を意識した議論を進めるとみられる。
 しかし、これらの軍事政策によって中国との関係もますます悪化する恐れがある。
 平和憲法に対する真っ正面からの挑戦である。
■国民の目と耳をふさぎ口を封じる「特定秘密保護法案」(仮称)
 安倍政権は国民の知る権利や言論の自由など基本的人権を侵害する「特定秘密保護法案」の臨時国会への提出を狙っている。
 法案が国民の人権を著しく侵害する法律であるにもかかわらず、パブリックコメント(意見公募)はわずか15日間で打ち切られた。国民的議論は素通りだ。
 法案が持っている特定秘密の指定範囲や情報隠しの恐れ、知る権利・取材の自由への侵害、異常な重罰主義などの具体的な問題点についてはふれず、ここでは核心をつくJCJ(日本ジャーナリスト会議)の反対声明の一部をひかせていただく。
 「私たちは、戦前の政府と軍部が『軍機保護法』などで国民の目と耳をふさぐことによって、侵略戦争の道に突き進んでいった苦い経験を忘れるわけにいかない。安倍内閣が明文改憲だけでなく、法律を変えたり作ったりする中で、実質的に改憲の道を進めようとしている状況の下で、この特定秘密保護法の策動を許すわけにはいかない」。
(中)
2013年9月24日号
■10月臨時国会 なしくずし改憲に向けたスケジュールが目白押し
 政府は、秋の臨時国会を10月15日に召集する方針を固めている。臨時国会から来年の通常国会は、安倍改憲攻撃と改憲阻止闘争の正念場となる。
 改憲の先取りによる憲法破壊策動のスケジュールが目白押しである。
・改憲手続き法の改定(「三つの宿題」決着―自公共同提案)
・集団的自衛権行使の憲法解釈の変更(「安保法制懇」が年内に提言)
・海外での武力行使を可能にする「国家安全保障基本法」の制定
・外交、軍事政策における首相権限の強化を狙う「国家安全保障会議設置法」の制定(年内発足)
・国民の基本的人権や知る権利を抑圧する「特定秘密保護法」の制定
・自衛隊の海兵隊的機能や敵基地攻撃能力の保有などを目論む新防衛大綱の策定
・日米の軍事一体化を新たな段階に推し進めるための日米ガイドラインの改定
 安倍内閣が「成長戦略実行国会」と位置づける秋の臨時国会。改憲関連以外にも、大企業最優先の経済政策や消費税の大増税、社会保障の破壊、TPP交渉、原発再稼働・汚染水対策……など、国民との矛盾をますます深めている。さまざまな分野で批判が強まり、安倍内閣を追い詰める状況が生まれている。大衆運動を組織し、安倍政権の暴走にストップをかけなければならない。踏ん張るのは、今でしょう。
■オスプレイ 滋賀で日米共同訓練 沖縄の負担軽減にならない
 防衛省は、米海兵隊の垂直離着陸機MV22オスプレイが、10月に滋賀県高島市の陸自饗庭野(あいばの)演習場で行う日米共同訓練に初めて参加すると発表した。
 陸自は1986年以降、饗庭野演習場で米海兵隊や陸軍と共同訓練しており、昨年までに12回の演習を実施している。
 墜落事故などが相次ぐ危険なオスプレイ訓練を全国に拡散するものだ。
 「日米両政府は、盛んに安全性を強調するが、海兵隊のオスプレイに限っても06年以降30件以上事故が起きた。日米が『安全』を強調するのは、ほとんど詐欺に等しい」(琉球新報社説)。
 8月26日に米ネバタ州で起きたオスプレイ着陸失敗事故は、最も重大な「クラスA」に分類され、機体は大破したことが明らかになっている。  小野寺防衛相は「沖縄の負担軽減」を口実にしているが、琉球新報社説は「オスプレイを、大半の県民は命と安全への脅威と感じている。オスプレイの配備そのものに反対しているのであり、県外への訓練分散は県民が望む本質的な問題解決策とは言えない」と強調。
 沖縄タイムス社説も滋賀、高知県で「計画されている訓練はもともと沖縄で行われる予定ではなかった。これでよくもまあ、『訓練移転』といい、『負担軽減』といえたものだと思う」と厳しい批判。
 防衛省はオスプレイの導入に向け、14年度予算概算要求に調査費1億円を盛り込んだ。
(中)
2013年9月10日号
■安倍改憲 暴走に批判の声あがる
 憲法解釈権限が委ねられている内閣法制局長官の首がすげ替えられた。薄汚い「手口」で戦争する国づくり≠ノ向かって安倍内閣の暴走が加速している。しかし、なんでもありの手法に批判も強まっている。
 朝日、毎日新聞の世論調査(両紙とも8月24、25日実施)によると、解釈改憲による集団的自衛権の行使について、朝日は賛成27%で、反対の59%が大きく上回り、毎日でも賛成は37%、反対は53%で、反対派が過半数を占める。強引なまでの法制局長官の首のすげ替えなどに対する警戒感の表れでもあろう。
 批判は身内からもあがる。山崎拓・元自民党副総裁は「長官を代えて解釈を変える手法は、スポーツの試合で自分に有利なように審判を代えるようなもの」と、解釈改憲を否定する(毎日・特集ワイド「集団的自衛権行使の容認 憲法解釈変更は『脱法行為』」)。
 内閣法制局長官から最高裁判事になった山本庸幸氏は、就任会見で「過去半世紀くらい、(行使できないという)その議論でずっと来た」「これに対し集団的自衛権は、我が国が攻撃されていないのに、我が国と密接に関係のある他の国が攻撃された時に、共に戦うことが正当化される権利だ。従来の解釈を変えることは私は難しいと思っている」(同)と、異例の政府批判の見解を表明し、注目を集めた。また、阪田雅裕氏ら、他の法制局長官経験者も各種メディアで政府批判を強めている。
 毎日の「特集ワイド」のメイン取材は浦田一郎明治大教授(憲法学)。浦田氏の胸のすくような発言を引かせてもらう。
 《安倍首相の人事介入》
 「法律が違憲か合憲かを事後チェックする裁判所は国会や内閣からの独立が原則。内閣法制局は内閣の一部門ではあるが、法案が憲法に反していないかどうかを事前チェックする役割を担っており、裁判所と同様に独立性を尊重すべき。今回はその原則を崩したことになる」
 《卑しい脱法行為》
 「他国での武力行使に道が開かれれば、戦争放棄を貫いてきたこの国の形が変わる。それを解釈変更でやってしまおうなんて卑しい脱法行為だ」
 《法治主義》
 「法に基づいて政治を行う『法治主義』の観点からすると、法は政治より優位性を持つ。集団的自衛権の解釈も何十年も論争を重ねて『できない』と確認したもの。閣議決定で済む話ではない。政治家がやりたくてもできないことをまとめた『足かせ』が憲法。政治家が何でもできるようになったら立憲主義でなくなる」
《国家安全保障基本法》
 「もし成立したら、法律が憲法解釈を変えることになってしまう。最高裁が違憲と判断しない限り、国権の最高機関である国会の議論を経たということで解釈が事実上確定してしまう」
 「特集ワイド」は、「憲法解釈がなし崩しに変更されたら、他国から攻撃されるより先に『法治国家』日本が崩壊する」と結んでいる。
(中)
2013年8月27日号
■改憲のキバ≠゙き出してきた安倍政権
 7月参院選挙の大勝により衆参両院で圧倒的多数を握った安倍自民党政権は、解釈改憲や法律の制定(立法改憲)などによる憲法破壊策動を一段と強めてきた。
 参院選後の主な改憲策動を追ってみよう。
 @安倍首相は、集団的自衛権の行使容認を一気呵成にすすめようと狙っている。そのため、集団的自衛権行使の憲法解釈の変更を検討している「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)は、年内に提言をまとめる。
 A政府は安保法制懇の提言を受けて歴代政府の憲法解釈を変更し、その上で9条を踏みにじり、海外での武力行使を可能にする「国家安全保障基本法」の成立を目論む(来年の通常国会への提出をめざしている)。
 B外交・軍事政策における首相権限の強化や迅速な意志決定をはかるための「国家安全保障会議」(日本版NSC)の年内発足をめざす(関連法案は秋の臨時国会に提出する予定)。
 C「NSC」発足に向け、国民の知る権利を抑圧する「特定秘密保全法案」(仮称)を秋の臨時国会に提出する方針。
 D集団的自衛権の行使容認に踏み込むであろう安保法制懇の提言を、年内に策定する新防衛大綱に反映する(小野寺防衛相)。「防衛大綱」の中間報告には、自衛隊の海兵隊機能の強化や敵基地攻撃能力保有の検討を盛り込んでいる。
 まさに「安倍カラー」全開。「何でもあり」で、この国は危ないところに来ている。違憲の法律で「ある日気づいたら、戦争する憲法≠ノ変わっていた」―麻生ナチス肯定発言(安倍内閣の本音であろう)と、その手口を断じて許すわけにはいかない。
■禁じ手≠ナ ここまでやるか 「通貨の番人」に続いて「法の番人」も
 集団的自衛権の行使容認に凄まじいまでの執念を燃やす安倍首相。禁じ手まで使って内閣法制局長官の首をすげかえたことだ。首相の意に沿う人物・小松一郎氏(外務官僚)を新長官に据えた。小松氏は、第1次安倍内閣の安保法制懇の事務方を務めた人物で、容認派として知られている。
 法制局の仕事は付け焼き刃ではできない。現場から経験を積み上げた次長が長官になるという戦後ずっと続いてきた慣行を安倍首相は破った。
 東京新聞社説(8月9日付)は「憲法論議より先に、いきなり人事から着手する手法は、意に沿った判定を下す審判に交代させて試合を始めるのと変わりない」と手厳しい指摘。
 長官は、国会で憲法や法律の解釈について政府の統一見解を答弁する役割を担う。歴代政府は集団的自衛権について、「憲法第9条の下において許容されている自衛権の行使は、我が国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきである。集団的自衛権を行使することは、その範囲を超えるものであって憲法上許されない」としてきた。
 法制局は、これまで自衛隊を合憲として認め、インド洋派兵やイラク派兵を合憲とするなど解釈改憲を積み上げ、憲法をねじ曲げてきた元凶である。が、一方で海外での武力行使や集団的自衛権の行使は憲法9条のもとでは禁止されているとの解釈を示し、武力行使に歯止めをかけ、その一貫性を保ってきた。
 元長官の阪田雅裕氏は朝日新聞のインタビューに応じ、「国会の憲法論議も圧倒的に9条に集中して積み重ねられてきた。そういう蓄積を無視し、今までのは全部間違っていたということが、果たしてあっていいのか」と、訴えた(8月9日付)。
 大衆運動の力で、安倍自民党政権の暴走を止めなければならない。
(中)
2013年8月13日号
■深刻になってくる政治と国民との「ねじれ」
 メディアによって、「衆参のねじれ解消」が読者や視聴者に相当すり込まれた参院選であった。「ねじれ解消」は与党の勝利を誘導するに等しい。
 議席数の上では参院でも巨大な与党が誕生したが、国民の信任を得たとはとても言えない。戦後3番目と言われる投票率の低さ(52・61%)や改選数1の選挙区(31)は実質的には衆院の小選挙区効果がでる。
 また、もっとも民意を反映する比例代表をみると自民党の全有権者に対する得票率(絶対得票率)は17・7%にすぎず、決して「圧勝」などと言えたものではない。
 毎日新聞の当選者アンケートによれば9条改憲「反対」は当選者の26%、9条改憲「賛成」は同64%だ。しかし、これまでの、どの世論調査をみても9条改憲に反対する人が過半数を超えている。脱原発も、反TPPなどもしかりである。
 世論(民意)と国会(政治)との「ねじれ」は大きい。安倍自民党政権と国民との矛盾はいよいよ深まり、激しくなってくる。
 参院選の結果について早稲田大学の水島朝穂教授は「『ねじれの解消』が生み出したものは、衆議院が決めたことを迅速に追認する『カーボンコピーの参議院』ではないのか。日本の『民主的二院制』の危機である。それだけではない。日本の政党制の危機でもある」と警鐘を鳴らす。
 大企業最優先の経済政策による生活破壊や改憲のキバ≠むきだしにしてくるであろう安倍自民党政権に立ち向かって行くほかない。
■防衛白書 集団的自衛権などにも言及
 2013年版防衛白書は、北朝鮮の「核実験は、弾道ミサイルの能力増強とあわせ考えれば、重大な脅威である」とし、中国の尖閣諸島周辺の活動についても「不測の事態を招きかねない危険な行動を伴うものがみられ、極めて遺憾」であるなど、中国、朝鮮に対してこれまでにない厳しい表現が目立つ。日米軍事同盟の強化と自衛隊の軍備増強・軍拡路線を正当化しようとする狙いが透けてみえる。
 また、「白書」はコラム欄の中で、集団的自衛権の行使や敵基地攻撃能力と海兵隊的機能の保有について、「安保法制懇」の議論や安倍首相の国会答弁を交えて紹介・解説している。
 「『安倍カラー』が満載だ」と題する毎日新聞の社説(7月10日付)は、その背景について「参院選後に控える集団的自衛権の行使容認を巡る議論や、年末の新たな『防衛計画の大綱』策定、来年度予算編成での防衛関係費の確保につなげようとする首相官邸と防衛省の狙いがうかがえる」と主張。
 毎日新聞(7月30日付)によると、政府は「集団的自衛権の行使について、秋の臨時国会での答弁で容認を表明する検討に入った」。法的根拠となる「国家安全保障基本法案」などは来年の通常国会への提出を目指す。 
■国防軍創設の先取り
◇自衛隊に「海兵隊」機能を―防衛省は7月26日、見直しを進めている「防衛大綱」の中間報告を発表した。柱の一つとして、尖閣を口実に他国への侵略=殴りこみ≠主任務とする米海兵隊のような機能を自衛隊に持たせると明記。自衛隊の歴史的変質を狙う。
◇自衛隊の作戦・運用、すべて制服組に移管―朝日新聞(7月18日付)によると、防衛省は自衛隊の作戦・運用を担う運用企画局(文官・背広組)を廃止し、幹部自衛官(制服組)からなる統合幕僚監部に一元化する方針を固めた。自衛隊の作戦・運用は制服組が握る。文民統制について政府は、かつての戦争の反省と平和憲法のもとで、「自衛隊の暴走を抑止する」仕組みと説明してきた。
(中)
2013年7月30日号
■安倍首相と日本国憲法97条と13条
 参院選の公示前日の7月3日、日本記者クラブ主催の「9党党首討論会」が開かれた。憲法に関連する党首同士の討論で、生活の党の小沢代表が、安倍首相に「自民案には97条の削除がある。これは基本的人権は永久の権利として与えられたものだと規定しているが、削除するとはどういうことか」(毎日)とただした。
 ちなみに97条は「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである」と規定している。
 ところが、安倍氏は「我が党の案を持っていないが、削除して別の項目と統合したのだろう。後ほどお持ちしたい」(毎日)と、ちんぷんかんな答弁。
「自民党の改憲草案が一番いいと思っている」(産経)安倍氏だが、どうやら97条がそっくり削除されていることを知らなかったようである。  ご案内のように97条は、最高法規の章で「基本的人権の永久不可侵性」を宣言しており、立憲主義の本質に関わるきわめて重要な条文である。
 基本的人権の考え方のおおもとである「個人の尊重」(13条)について、こんなこともあった。
 3月29日の参院予算委員会で、13条について、安倍首相の見識が問われた。質問したのは民主党の小西洋之議員。
 小西氏は、「憲法において個人の尊厳の尊重を定めた条文は何条か」(参院会議録・以下同)と繰り返し質問したが、安倍氏は「クイズのような質問」「いきなり聞かれても、今お答えできない」「子供っぽいことはやめましょうよ」など、はぐらかし答弁に終始した。小西氏は「13条ですよ。13条の意味を説明してください」と求めたが、ここでも正面からの答弁はなかった。13条を知らない総理≠ニいわれてもいたしかたなかろう。
 13条は「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」と定めており、要するに、一人ひとりを大切にするということである。
 浦部法穂神大名誉教授は「『個人の尊重』の原理とそれにもとづく人権の体系は、日本国憲法の最も重要な基本原理である」と説かれている(同氏著『憲法の本』)。
 しかし、自民党の改憲草案は、「個人」を「人」に、「公共の福祉」を「公益及び公の秩序」に変えることによって人権の制約を狙っている。人権の上に公益・公序があることになる。
■前文と9条の理念を活かす幅広い運動を
 執筆時点では、まだ参院選の結果はでていない。メディアは序盤の段階から「自公過半数の勢い」「改憲派3分の2の可能性」などと報じている。
 改憲の動きがさらに加速することだけは間違いなかろう。「武力によらない平和」を体現している前文と9条の理念を活かしきる幅広い運動をつくりだすことが急務だ。
(中)
2013年7月9日号
■参院選―戦争する国しない国の選択 自民党の改憲公約
 改憲が大きな争点になっている参議院選挙。自民党が昨年4月に発表した改憲草案は、戦力の不保持と交戦権の否認をうたう9条2項を削除し、「自衛権の発動」を新たに盛りこみ、「国防軍」の保持を明記している。改憲の本丸は9条、戦争する憲法に変えることである。
 また自民党は、政府が見直し作業を進めている「防衛計画の大綱」に対して、「国防軍」の保持とともに、米海兵隊の機能を持つ水陸両用部隊の新設や「敵基地攻撃能力」の早期保有などを提言している。自衛隊の人員・装備・予算の大幅拡充を求めている。米軍とともに海外で戦争する道を開こうとするものだ。
 参院選は「戦争する国」に転換するのか否かが問われている、と言っても過言ではなかろう。
 自民党の参院選の改憲公約は、まず「広く国民の理解を得つつ、『憲法改正原案』の国会提出を目指し、憲法改正に積極的に取り組む」ことをうたっている。天皇元首や自衛権の明記、国防軍の保持、憲法改正発議要件の緩和など、党の改憲草案から10項目を抜き出して列挙し、改憲草案そのものを公約に掲げている。
 参院選が終われば「白紙委任」を得たとばかり暴走する危険がつきまとっている。戦争への道にストップをかける世論をもっともっと盛り上げ、その政治勢力を強めていくことが、今、なによりも重要となっている。
■衆院憲法審査会 自民党が改憲原案作成を提案
 衆院憲法審査会は6月13日、各党がこれまでの主張を総括し、現行憲法の各章条ごとに検証を進めてきた通常国会における審議を終えた。
 自民党は改めて自衛権の明記や国防軍の保持など9条改憲を主張。維新は「自衛権を持つという原則に立つ」、みんなの党も「自衛権について明確化すべき」と述べ、自民党に同調した。
 民主党は「制約された自衛権」にもとづき自衛隊のあり方の議論を深めると主張し、生活の党は「国連の平和維持活動への自衛隊参加の根拠規定を設けるべき」だと表明。
 公明党は「加憲こそ妥当で現実的」とし、共産党は「国民は今、改憲を望んでいない」と改憲そのものに反対を表明した。(「」内は、審査会ニュースVol・23)
 自民党の中谷元委員と船田元委員は、参院選の結果をにらみ、次の改憲ステップとして改憲原案をつくるための政党間協議を各党に要請した。
 船田氏は、改憲手続き法で残された課題を解決した後に、「憲法改正原案を作成する作業に入りたい」「合意の得られたところから順次発議することになる」と提案。これに対し、共産党の笠井委員が「憲法改正原案をつくるという話があったが、まず幹事会で議論すべきことであるし、国民が改憲を具体的に望んでない以上、やるべきではない」と主張したため、結論を出せなかった。
 参院選後をにらんで、改憲日程のスピードアップを狙った思惑が垣間見える一幕もあった。
(中)
2013年6月25日号
■衆・参院憲法審査会の動き
 参院憲法審査会は「新しい人権」などについて議論を重ねているが、6月5日の審査会に慶応大学の小林節教授と小山剛教授を参考人として招いた。
 改憲論者の小林氏は、質疑の中で96条の発議要件の緩和について、「外国の例を見ても先に手続きを緩和した例はない。天下国家のあり方にかかわる問題ですから、権力は公正で正々堂々としていなければならない」「裏口入学を考えるような、これはざまがない」と96条改憲を批判した。また、立憲主義は古いとする考え方について、「立憲主義というのは時間と場所を超えて適用されるべきものであると確信している」と強調した。
 また、小山氏は、新しい人権は「憲法改正の場合、当然に有力候補となるが、そのためだけの憲法改正は不要である」と発言した。
 6日開催された衆院憲法審査会は、改憲手続き法の付則に定められた課題(18歳選挙権など)について議論を開始した。
 2007年に強行成立した改憲手続き法は、国民投票の年齢を18歳としたことによる公職選挙法や民法などの成年年齢の検討・見直し、公務員の国民投票運動を不当に制限しないための法的措置、国民投票の対象拡大などを法律の施行(2010年)までに解決するよう義務づけている。ところが成立後6年を経てもなお解決の見通しは立っていない。
 改憲に意欲を燃やす安倍首相は、「まず国民投票法の宿題をやる。3つの要件があるが、国会で十分審議されていない。その後に96条から始めたい」(読売)と述べている。
 審査会では「自民党と日本維新の会は民法の成人年齢や公職選挙法の選挙権年齢の見直しを待たずに憲法改正に関する国民投票の実施年齢を『18歳以上』とすべきだと主張。民主党も理解を示した」(時事)。改憲の障壁を一気に取り払おうという狙いであろう。
 共産党は、法案提出者(自民・公明党)は「3年間で公選法、民法などの規定を改めると明言して、この法律を成立させた」「6年を経ても見通せないのが現実であるから、廃止するのが筋である」(審査会ニュースVol・22)と主張。参院の採決では18項目の付帯決議がなされ、欠陥法と言われた改憲手続き法の本質が明らかになった。
■陸海空3自衛隊 米軍と「離島奪還訓練」
 10日、陸海空3自衛隊は米カリフォルニア州サンディエゴで米軍と合同の離島奪還訓練を開始した(産経)。26日まで。
 自衛隊は約1000人が参加。
■自民党改憲推進の本陣≠設置
 産経新聞によると自民党憲法改正推進本部(保利耕輔本部長)の専用部屋が党本部に設置される。同推進本部は昨年4月に策定した憲法改正草案づくりを主導したが、これまで専用の部屋は設けられていなかった。
 参院選で改憲の意義を国民に発信し、参院選後本格化する改憲推進運動の本陣≠ニする考えで、これに合わせて専従スタッフも拡充する。
(中)
2013年6月11日号
■自民、「防衛大綱」提言 「強靭な機動的防衛力」めざす
 自民党は、政府が見直し作業を進めている「防衛計画の大綱」への提言案をまとめた。現「大綱」は2010年12月に民主党政権が策定、「動的防衛力の構築」が大きな特徴となっている。
 提言案は、「基本的安全保障政策」の冒頭に「自主憲法制定と『国防軍』の設置」を明記し、集団的自衛権の行使などを盛り込んだ「国家安全保障基本法の制定」などを掲げ、9条改憲と一体の内容になっている。
 新たな防衛力の構築として「強靱な機動的防衛力」をうたい、現「大綱」の日米軍事同盟強化と自衛隊増強路線をいっそう露骨に推し進めようということである。
 また、提言案は、他国への「殴りこみ部隊」の異名をもつ米海兵隊のような機能を自衛隊に整備するなど、島しょ部の防衛強化や、核・弾道ミサイル攻撃への対応能力を高めるために、敵基地攻撃能力の保有を求めている。
 さらに、自衛隊の人員、装備、予算の大幅拡充、諸外国並みの防衛費確保などが盛り込まれている。
 大軍拡、自衛隊増強のオンパレードである。
■衆院憲法審査会 各章条の検証終える
 衆院憲法審は3月から始めた憲法の各条章ごとの検証をひと通り終えた(5月23日)。小欄でも第2章(戦争の放棄)などの論点を報告してきた。ここでは、朝日新聞の社説(5月25日付)を引用しよう。
 まず、「社説」は「全体を振り返ってみても、自民党が昨春にまとめた『改正草案』に沿って示した見解の中には、見過ごせない点が多い」と指摘。
 第3章「国民の権利及び義務」をとりあげ、「いまの13条には『生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利』は、『公共の福祉に反しない限り』最大の尊重を必要とするとある。自民党案はこれを『公益及び公の秩序に反しない限り』と改めている。自民党の委員は『基本的人権の制約は、人権相互の衝突の場合に限られるものではないことを明確にした』と説明した。つまり、権力側が『公の秩序に反する』と判断すれば、私たちの人権を制限できる余地が生まれるということだ」と問題点を提起している。
 さらに、集会、結社、言論、出版などの表現の自由を保障した21条についても「公益及び公の秩序」を害する活動やそれを目的にした結社は認めないとしていることをとりあげ、「近代憲法の本質は、権力が暴走しないように縛る『立憲主義にある』」とし、「国民への制約は強めるというのでは方向が逆だ」と主張している。
 なお、憲法審査会は今後、改憲手続き法で積み残しになっている選挙権年齢の見直しなど「3つの宿題」の議論に入る予定。
■民主党 集団的自衛権行使の是非検討へ
 民主党は新設した安全保障調査会(会長・北澤俊美元防衛相)で、「(安倍政権が再検討に入っている)4類型をしっかり議論し」(時事)、行使容認の是非に関する党の見解をまとめることにした。
(中)
2013年5月21日号
■96条改憲は9条改憲と一体のもの
 安倍首相が首相就任以来、「まずは96条の改正だ」との発言を繰り返し、改憲派の大合唱が起こっているなか、自民党の石破幹事長は読売テレビの番組で「96条改正の国民投票が行われれば9条も変わる可能性があるかと質問され、『国民はそれを念頭において投票していただきたい。9条はこのままだ、という思考停止が続いていいのか』と述べ」(読売)、96条改憲は、9条改憲を狙ったものであることを明言した。
 96条改憲後に自民党の改憲草案が待ち受けている。草案は、戦力の不保持と交戦権の否認をうたう9条2項を削除し、「自衛権の発動」を新たに盛りこみ、「国防軍」の創設を明記している。高村副総裁は「絶対に譲れないのは9条2項を削除することだ」(朝日)と言い切っている。
 やはり改憲の本丸は9条、戦争する憲法に変えることである。そのためには、姑息な手を使ってでも、改憲のハードルを下げたいのだ。
 今夏の参院選は「戦争する国」に転換するのか否かが問われる。
■総理ご乱心?歴史認識で異常な発言
 安倍首相も、とうとう本音の封印に我慢ならなくなったようである。地金が現れ始めた。
 総理曰く:植民地支配と侵略を認め、痛切な反省と心からのお詫びを表明した「村山談話」に関連して「安倍内閣として、そのまま継承しているわけではない」(4月22日参院予算委・毎日)、「侵略という定義は学界的にも国際的にも定まっていない。国と国の関係でどちらから見るかにおいて違う」(同月23日参院予算委・毎日)
 総理曰く:中国や韓国が閣僚の靖国神社参拝に反発していることについて「国のために命を落とした英霊に尊崇の念を表するのは当たり前だ。わが閣僚はどんな脅かしにも屈しない。その自由を確保している」(同月24日参院予算委・毎日)
 いうまでもなく国会における答弁である。侵略戦争の歴史的事実を否定する発言に、中国や韓国はもちろんのこと国内外から猛烈な批判(反発)を浴びた。 例えば、韓国の国会は「安倍内閣の暴言、暴挙は未来志向的な両国の関係に否定的な影響を与えるものであり、徹底した反省と心からの謝罪を示すべきだ」(NHK)とする糾弾決議を採択した。
 「侵略」への謝罪は05年の「小泉談話」にも盛り込まれている。
 また、「侵略の定義は定まっていない」ということであるが、ちなみに「国連」でネット検索してみると、侵略の定義に関する国連総会決議3314があった。その第1条は「侵略とは、国家による他の国家の主権、領土保全若しくは政治的独立に対する、又は国際連合の憲章と両立しないその他の方法による武力の行使である」と定めている。
 侵略戦争を否定し、国連決議をも認めない安倍首相の歴史認識と国際感覚のオンチぶりに呆れるほかない。危うい首相を持ったものである。
(中)
2013年4月23日号
■安倍首相「占領軍が作った憲法 真の独立国家を」予算委で持論ぶつ
 「日本はサンフランシスコ講和条約を結んで主権を回復した」。ところが、「占領時代と独立したという精神において区切りをつけていなかった。そして同時に、(占領時代の)7年間の間に、憲法や教育基本法、国の形を決める基本的な枠組みができた」と強調し、「それで果たしていいのか。それをもう一度考えてみるべきではなかったのか。60年前(独立時)に本来であればやっておくべきことだった」と、安倍首相は5日の衆院予算委員会で持論をぶちあげた。
 民主党の細野豪志幹事長が、講和条約61年になる4月28日の政府主催による「主権回復の日」の式典に絡め、安倍氏の憲法認識を質したことへの答弁である。
 続いて細野氏が、「独立するときには、憲法を新しくしてスタートすべきだったという認識か」との問いに対し、安倍氏は「占領軍が作った憲法だったことは間違いない。……占領が終わった中において、そういう気運を盛り上げるべきではなかったかというのが私の考えである。……自分たちで真の独立国家をつくっていこうという気概を持つべきでなかったか」と、現行憲法に関する基本的な認識を明らかにした。
 参院選までの「安全運転」はやめて、持論の改憲に突き進むつもりなのか。意欲満々である。
■じぇじぇじぇー! 維新の会が綱領決定
 日本維新の会が、3月30日の党大会で綱領を決定した。
 「基本となる考え方」(8項目)の第1項に、「日本を孤立と軽蔑の対象に貶(おとし)め、絶対平和という非現実的な共同幻想を押し付けた元凶である占領憲法を大幅に改正し、国家、民族を真の自立に導き、国家を蘇生させる」ことを掲げている。
 じぇじぇじぇー!多くの読者が驚いたことであろう。憲法観があまりにもひどすぎるからだ。普天間基地の撤去や地位協定の改定すらできない対米従属こそが、「日本を孤立と軽蔑の対象に貶める」ことになる。
 いうまでもないが、現憲法は侵略戦争の反省のうえに立ち、平和への念願と決意の表明として誕生した。第90回帝国議会で若干の修正が行われ、圧倒的多数で可決し、成立した。
 また、憲法に盛り込まれている基本的な原理・原則(国民主権・基本的人権の尊重・平和主義)は、現実の歴史の中から生まれてきた考え方である。とりわけ平和主義は日本国憲法がもつ最も重要な特徴である。侵略戦争の反省の中から生まれた憲法の平和主義の否定は許されない。決して「絶対平和という非現実的な共同幻想を」押しつけられたものではない。
■基地返還 「沖縄の基地負担温存政策」だ
 日米両政府は5日、普天間基地を含む嘉手納基地以南の6基地の返還・統合計画に合意した。
 県外に移設される基地は一つもない。普天間基地の「県内移設反対」の県民の総意を踏みにじる許し難い暴挙だ。
(中)
2013年4月9日号
■4・28は「主権回復の日」? 沖縄の怒り
 日本の法律が適用されない外国軍がいて、何が主権回復か。
 沖縄のメディアは、「主権回復の日」について「日米地位協定で特権的地位を保障された米軍は日本国内で基地の自由使用をほしいままにする。主権は『回復』どころか、脅かされたままだ」(琉球新報社説)、「沖縄の半主権的状態は今も続いている。沖縄国際大学に米軍ヘリが墜落したときの、地元警察、地元消防を排除した米軍の現場検証と機体押収がその典型例だ」(沖縄タイムス社説)と、米国の主権侵害を許している政府を厳しく糾弾する。
 沖縄ばかりではない。米軍・横田基地は首都東京にある。首都圏の上空をおおう米軍の巨大な管理空域があり(高さ4000〜5500b)、羽田空港から大阪などの西日本に向かう飛行機は、一度房総半島(千葉県)方面に離陸し、急旋回と急上昇をしなければならない。首都圏の航空管制権さえ実質的には日本にない。
 この国の主権は未だに回復していない。サンフランシスコ講和条約と日米安保条約、日米行政協定(現日米地位協定)に起因するもので、いずれも1952年4月28日の発効である。
 安倍政権は、この日を「主権回復の日」として、政府主催の記念式典を強行しようとしている。オスプレイの強行配備や辺野古埋め立て申請など、安倍政権の度重なる暴挙に県民の怒りが沸き上がっている。
 「沖縄を政治的質草にして独立を果たし、戦後68年間も在日米軍基地の大半を沖縄に押し付けながら、『主権回復』を祝うなど理不尽極まりない」(琉球新報)。沖縄を完全に取り戻すことなく、日本の法律を適用できない米軍がいる限り、本当の主権回復はない。
■9条改憲と維新の会 衆院憲法審の論議から
 「96条改憲翼賛会」の体制づくりが強まっているなか、衆・参の憲法審査会が相次いで再開され、国会内の憲法論議も本格化してきた。
 3月14日の衆院憲法審査会は、憲法第1章「天皇」と第2章「戦争放棄」について論点整理を行った。
 昨年の総選挙で「自主憲法の制定」を掲げている日本維新の会は、初めての出席。維新は憲法調査会で憲法論議に取り組んでおり、夏の参院選までに「基本的な見解」をまとめることを決めているが、この日の憲法審査会における主張が注目された。
 維新を代表して馬場伸幸衆院議員は、まず「国民に広がっている領土不安の根本原因は憲法9条にある」と、9条をヤリ玉にあげ、「集団的自衛権の解釈変更を求める」(衆院憲法審査会ニュースVol・13)と強調した。
 続いて、第2章を「戦争の放棄」から「安全保障」に改め、「自衛のための戦力保持を明確化する」「個別的・集団的自衛権を有し、行使できる規定を置く」「非常事態条項を新設する」 などを盛り込む方向で議論を行っていく考えを示した。
 自民党、維新の会、みんなの党が9条改憲で足並みをそろえる。
(中)
2013年3月26日号
■安倍首相 9条改憲で国連の軍事行動に参加に意欲
 安倍首相は9日、BS朝日の番組で、自民党の憲法改正草案に関連して、国連憲章に基づく軍事行動にも日本が参加できる道は残すべきだとの考えを示した。9条改憲で国連の集団安全保障(軍事行動)にも道を開こうというもので、「安倍カラー」をいよいよ鮮明にしてきた。
 さらに、安倍首相は11日の衆院予算委員会で、集団的自衛権行使の解釈変更を検討している「安保法制懇」で、集団安全保障活動についても議論していることを明らかにした。
 安倍首相は、「安保法制懇」について「集団的自衛権行使の解釈変更だけについて議論しているのではなくて、安全保障環境が大きく変わった中で、日本をどのようにして守っていくか、国際社会においてどういう責任を果たすべきかに関して議論がなされている」と答弁。
 また、「集団安全保障の中で活動する際の海外での武力行使についての解釈が今のままでいいのかどうかという観点から真摯な議論が行われている」と述べた。
  安倍氏は96条改憲を繰り返し発言しているが、国会の場で9条改憲にまで踏み込んだ。  憲法99条は、大臣や国会議員の憲法尊重擁護義務を規定している。「最近の国会議員や大臣のなかには、憲法上のこの義務をまったく無視している輩がいる。それも決して少なくない数で。これは、国家として異常な姿である」(浦部法穂神戸大学名誉教授)。
■「96条改憲翼賛会」 体制づくり加速
 改憲の発議要件を緩和する96条改憲の動きが強まっている。
 休眠状態に陥っていた「96条改正をめざす議員連盟」は、3月中に活動を再開することを決めた。
 同議連は2011年6月発足。自民、民主、維新、みんなの各党から参加している。
 事実上の安倍派≠ニいわれている創生「日本」は5日に総会を開催。安倍首相の会長続投を了承するとともに、運動方針では、目的を達成した「民主党政権からの政権奪還」を削除し、「憲法改正に向けた政治の流れを強める」ことを新たに付け加えた。役員では、菅義偉官房長官、新藤義孝総務大臣、下村博文文科大臣ら6人の閣僚が幹部として留任しており、憲法尊重擁護義務を踏みにじる異常な体制になっている。
 新たな動きとして、民主、維新、みんなの有志議員の呼びかけで「憲法96条研究会」が発足した。96条改定についての研究会を定期的に開催するとしている。
 維新とみんなは、今国会中に96条改憲原案の提出を合意している。
■維新の橋下共同代表 9条改憲に賛意表明
 橋下氏は、安倍首相が9条改憲に意欲を示していることに対して「9条が今のままでいいとは思わない。堅持すると日本の安全保障上、大問題が生じる」と賛意を示した(日経)。大阪市役所内で記者団に語った。
 維新は「維新八策」で「9条を変えるか否かの国民投票」を行うと規定している。
(中)
2013年3月12日号
■日米首脳会談 異常なまでの対米追従
 「日米同盟の信頼、強い絆は完全に復活したと自信を持って宣言したい」。2月22日(日本時間23日未明)、安倍首相とオバマ米大統領の初の首脳会談。会談の結果を自画自賛し、ひとり高揚感にひたっているのは安倍首相だけではないのか。
 朝日新聞は「米政府はオバマ大統領の発言をほとんど発表せず、米メディアの関心も低調だった」、時事通信は「日本側が要望した両首脳の共同記者会見はついに開かれなかった」と報じている。
 首脳会談で協議した安全保障分野で、安倍首相はオバマ大統領に、防衛力の強化への取り組み、集団的自衛権の行使容認の検討を開始したこと、ガイドライン見直しの検討を進めることなどを強調し、その推進を約束するなど、民意に背く対米追従路線を際立たせた。
 両首脳は、また、普天間基地の移設を早期に進めていくことを確認した。
 とりわけ、県民の総意を踏みにじられてきた沖縄の声は厳しい。沖縄タイムス社説は、「辺野古への強引な移設作業によって『日米同盟の強い絆が復活する』と考えるのは、あきらかな誤りだ」と糾弾し、「日本本土でできないものは沖縄でもできないのだ」と断ずる。
 琉球新報社説は、「普天間飛行場の返還・移設問題については、またしても空手形≠ェ振り出された」と怒り、「日米安保体制が沖縄の犠牲の上に成り立っている状況を抜本的に改善しない限り、日米関係の強化も完全復活も、幻想にすぎないと自覚すべきだ」と強調。
 そして、仲井真知事は、2月26日に開会した県議会の所信表明演説で、「政府に、日米共同発表を見直し、普天間飛行場の1日も早い県外移設・返還・跡地利用の促進に向け、真摯に取り組むよう強く求めていく」と述べ、県外移設を求める姿勢を改めて強調した。
■これは驚き! 「安保法制懇」座長の9条解釈
 歴代政府が憲法解釈で禁じている集団的自衛権の行使について議論している「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)座長の柳井俊二元駐米大使は、日本経済新聞のインタビューで、シーレーン防衛や海賊対処、サイバー攻撃への対応も検討対象に加える考えを示し、集団的自衛権行使を可能にするための法整備も議論する意向を明らかにした。
 また、柳井氏は、中国や朝鮮の脅威に備えるためにも「憲法9条は集団的自衛権の行使を禁じたものではないというのが自然な解釈だ」との驚くべき見解を披瀝している。これでは、憲法解釈を変更しなくても集団的自衛権の行使は可能となる。
 9条が集団的自衛権の行使を禁じたものではないというなら、有識者と呼ばれる十数名のお歴々が雁首そろえて、わざわざ議論することもなかろうというものだ。
 安倍首相にとっては、海外で戦争する道を開くことになる集団的自衛権の行使容認には、世論工作の上からも、どうしてもお歴々のお墨付きが欲しいのだろう。
(中)
2013年2月26日号
■集団的自衛権の行使容認 「戦争できる国」から「戦争する国」へ
 憲法解釈を変更して、集団的自衛権の行使容認に執念を燃やす安倍首相は8日、第1次安倍内閣で設置された私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇、座長・柳井俊二元駐米大使)を約4年7カ月ぶりに再開させた。夏までの提言をめざす。
 07年4月に設置された「安保法制懇」は、安倍首相が示した4類型(公海上の米軍艦艇の防護、米国に向けて発射されたミサイルの迎撃など)を検討。第1次内閣で安倍首相が政権を投げ出した後の福田政権に4類型を合憲とする提言を提出したが、福田首相は提言を「お蔵入り」させていた。
 「安保法制懇」のメンバーは第1次内閣からそのまま引き継ぎ、安倍首相の「仲良し」人脈。憲法解釈の変更までを視野に入れた布陣。
 再開された会議では今後、「従来の4類型のほか、テロ組織など国家以外からの脅威への対応に関する憲法上の問題点も新たに協議することを決めた」(東京)。座長の柳井氏は会合後、記者団に「(懇談会としては)集団的自衛権行使を容認する基本認識を再確認した」(同)と語っており、これでは、はじめに結論ありきだ。
 「安保法制懇」を再開させた安倍首相の魂胆は、あらためて有識者の「お墨付き」を得て、集団的自衛権の行使容認に弾みをつけることだ。
 朝鮮の核実験を受けて自民党の石破幹事長は、「日本が米国に届く核ミサイルを打ち落とす能力を持つことは喫緊の課題だ」と述べ、集団的自衛権の議論を急ぐ必要性を強調した(毎日)。
 集団的自衛権の行使容認は、単に「戦争できる国」ではなくて「戦争する国」になってしまうであろう。
■維新の会 96条で「改憲連合」呼びかける
 安倍首相は「まずは96条改正から」と、国会答弁を繰り返している。日本維新の会の中田宏議員は8日、衆院予算委員会で「96条改正はぜひ取り組みたい」と述べ、96条が定める改憲発議要件の緩和を強調した。
 さらに中田氏は「公明党さんいなくても日本維新の会がいれば3分の2、衆院である。自民党と一緒になって大いに進めていきたい」「公明党さんも一緒になって進めていきたい」と、96条の「改憲連合」を呼びかけた。
 「公明党も積極的になってください」と問われた太田明宏国交相は「慎重に扱うことが必要であろう。憲法審査会での論議がまずしっかり行われることが大事だ」と答弁。
 改憲手続きの緩和(3分の2から過半数)だからと、96条改憲を許すようなことになれば、安倍自民党政権がもくろむ9条を「本丸」とする改憲への道を開くことになる。  維新の会は「96条改正案を今の国会に提出したいとしており、超党派で協力を呼びかける見通し」(NHK)。
 安倍首相は8日の衆院予算委員会で、改憲について「憲法審査会で議論を深めてほしい」と議論の活性化を呼びかけた(産経)。
(中)
2013年2月12日号
■安倍政権 9条・教育破壊の危険な動き
 改憲のキバ≠むきだしにした第1次安倍内閣の失敗を教訓に、参院選が終わるまでは「タカ派色」を抑え、「経済再生」に集中するかのように報道されているが、どうして、どうして、改憲内閣≠フ名に恥じないさまざまな策動が次々と打ち出されている。教育、安全保障、歴史認識などの「有識者会議」を次々とたちあげ、「安倍カラー」を強めている。第1次安倍内閣でやり残した課題への再挑戦でもある。
 安全保障では、第1次安倍内閣で設置した「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)を復活させ、憲法解釈を見直して集団的自衛権の行使を容認する。
 「安保法制懇」は、安倍首相が示した4類型(近くにいる米国艦船が攻撃された場合の応戦など)を議論。安倍首相が政権を投げ出した後の福田政権に4類型を合憲とする報告書を提出したが、福田首相はこの報告書を「お蔵入り」させた。
 安倍首相は、4類型に縛られずもっと幅広く検討することを狙っており、2月訪米の前にも会議を招集し手みやげにしたいようである。
 また、国連憲章に定められた自衛権の行使を盛り込み、集団的自衛権の行使を容認する「国家安全保障基本法案」の今国会への提出を狙っている。
 さらに、外交、軍事政策における首相官邸の司令塔機能・首相権限の強化をはかる「国家安全保障会議」を創設するため、「有識者会議」を設け検討する構え。設置法案は第1次安倍政権のときに国会提出されたが、福田政権のもとで廃案になったいきさつがある。
 さらに、軍拡を推進するために「防衛計画の大綱」を見直しており、アルジェリア人質事件を口実に海外派兵ができるよう自衛隊法の改悪も企んでいる。
 教育分野では、第1次安倍内閣が設置した教育再生会議の名前を変え、教育再生実行会議を発足させた。「教育再生」の名のもとで教育政策の反動化が推し進められる。
 村山・河野談話の見直しは、過去の「侵略の歴史」を否定する安倍首相がかねがね主張。「村山談話」に代わる「安倍談話」を「有識者会議」を設けて検討する方針。「新安倍談話」の策定は、安倍内閣の歴史認識を打ち出すことで「村山談話」の否定を狙うものだ。
■連合 政治方針変更し改憲論議へ
 連合は、改憲について「時期尚早」としていた政治方針の表現を削除し、「国民的議論の動向にも注意を払いつつ対応を図っていく」とする素案をまとめた(日経)。
 古賀伸明会長は会見で「憲法改正をすべて否定するには至らない」と表明(同)。10月の定期大会で決定する。
■維新 憲法調査会設置改憲案づくりに着手
 先の総選挙で「自主憲法制定」を公約に掲げた日本維新の会は、国会議員団役員会で、憲法調査会の設置を決定し、改憲案づくりに着手する。会長には平沼赳夫国会議員団代表が就く。
(中)
2013年1月22日号
■安倍首相が再登板 改憲をめぐる正念場=参院選がやってくる
 「戦後レジームからの脱却」を持論とし、改憲に執念を燃やす安倍晋三首相が再登板した。
 昨年末の総選挙の結果を受けて、マスメディアは「自民圧勝・民主惨敗」などと報じた。議席数の上では、自公あわせて衆院の3分の2以上を獲得した。が、民意を最もよく反映する比例代表をみると自民の全有権者に占める比率(絶対得票率)は15・99%(小選挙区は24・67%)にすぎず、得票数では惨敗した09年よりさらに219万票減らし、議席は2議席増であった。
 自民の結果は小選挙区でも比例代表でも「少数派」であり、国民の信任を得たとはとても言えない。小選挙区制度に助けられてのことである。
 安倍内閣がいつまでもつかはわからないが、憲法を葬ることに邁進することは間違いない。総選挙直後の記者会見で、「最初に行うことは96条の改正だ」と表明している。当面は96条に特化した改憲を提起するだろう。
 自公で衆院の3分の2以上の議席を獲得したが、問題は過半数に届かない参議院。安倍首相は今夏の参院選に勝利し、改憲に向けた足場固めを狙う。
 かくして参院選は、改憲をめぐる最大の攻防戦―正念場となる。いまこそ踏ん張り時だ。
■2012年―主な改憲の動き(下)
〈7月〉
  • 6日 政府の国家戦略会議、集団的自衛権の解釈見直しを提言/自民党、国家安全保障基本法案(概要)を決定
  • 9日 野田首相、衆院予算委員会で集団的自衛権について「政府内での議論を詰めていきたい」と答弁
  • 16日 野田首相、オスプレイの普天間配備について「米政府の方針だ。どうしろ、こうしろという話ではない」と表明
  • 31日 森本防衛相、2012年版防衛白書を閣議に報告
    〈8月〉
  • 3日 日米防衛相会談、ガイドラインの再改定を検討することで合意
  • 19日 陸自、米海兵隊と共同演習(大分・日出台演習場、〜30日)
  • 21日 陸自、米海兵隊と離島奪還訓練
  • 26日 3自衛隊、富士総合火力演習(静岡・東富士演習場)
  • 28日 防衛省、モロッコで発生したオスプレイ墜落事故は「操縦ミスが原因」と発表
    〈9月〉
  • 8日 防衛省、フロリダで起きたオスプレイ墜落事故も「操縦ミスが原因」と報告
  • 9日 「オスプレイ配備に反対する沖縄県民大会」、10万余人が参加
  • 11日 政府、尖閣諸島を国有化
  • 19日 政府、オスプレイ安全宣言
  • 24日 仲井真沖縄県知事、政府にオスプレイの配備中止を強く求める
  • 26日 安倍晋三氏、自民党総裁に就任
    〈10月〉
  • 1日 日米両政府、普天間基地にオスプレイ配備強行/野田第3次改造内閣発足
  • 14日 野田首相、自衛隊観艦式で時代錯誤的な訓示
  • 15日 安倍自民総裁、集団的自衛権行使について政府解釈の変更を表明
  • 29日 第181回臨時国会召集
    〈11月〉
  • 8日 自民党「憲法改正草案Q&A」公表
  • 16日 衆院解散
    〈12月〉
  • 4日 総選挙公示
  • 16日 総選挙投・開票 自民圧勝、民主惨敗
  • 17日 安倍自民総裁、改憲について「まずは96条の改正」と表明
  • 25日 自民・公明、連立政権発足で合意
  • 26日 第182回特別国会召集 第2次安倍内閣発足
    (中)
  • 2012年12月25日号
    ■この1年、一段と強まった改憲策動
     改憲原案の審議・提案権をもつ憲法審査会の始動(昨年10月)を契機にして改憲策動が一段と強まってきた。
     改憲気運の盛り上げを狙っていたかのように自民党、みんなの党、たちあがれ日本が5月3日の憲法記念日を前に相次いで改憲案を発表した。大阪維新の会(後に、日本維新の会)もこれらの動きに加わってきた。
     また、「動的防衛協力」による日米軍事一体化・軍事演習の拡大や集団的自衛権の行使を容認する策動も活発化した。
     野田内閣は、武器の輸出や他国との共同開発を可能とする武器輸出3原則を緩和し、推進した。
     さらに、民主党、自民党、公明党などの改憲派議員らでつくる「新憲法制定議員同盟」や「衆参対等統合一院制国会実現議員連盟」「憲法96条改正をめざす議員連盟」など、個別的なテーマで改憲の突破口を開けようとする動きも顕著である。
     この1年の改憲をめぐる主な動きを2回に分けて掲載する。
     執筆時点では、まだ総選挙の結果はでていない。いずれの政権になっても、政治が恐ろしく右へ右へと傾き、9条の解釈改憲による集団的自衛権の行使容認など、改憲策動がさらに加速されることだけは間違いないであろう。「武力によらない平和」を体現している前文と9条の理念を活かしきる幅広い運動をつくりだすことが急務となってきた。
    ■2012年―主な改憲の動き(上)
    〈1月〉
  • 13日 第1次野田改造内閣発足
  • 24日 野田首相、施政方針演説で衆院の定数削減に強い意欲を示す
    〈2月〉
  • 15日 参院憲法審査会、参考人として招かれた中山太郎・前衆院憲法調査会長は憲法に「緊急事態条項」を盛り込むべきと主張
  • 23日 衆院憲法審査会、選挙権年齢や成人年齢の引き下げを議論
  • 29日 参院憲法審査会、選挙権年齢や成人年齢の引き下げを議論
    〈3月〉
  • 2日 自民党憲法改正推進本部、改憲原案了承
  • 14日 野田首相、参院予算委員会でPKOの「駆けつけ警護」について「検討する余地がある」と答弁
  • 22日 自民党の石破安全保障調査会長、改憲によらずに集団的自衛権の行使を可能にする安全保障基本法案を提示
  • 26日 産経新聞の「国民の憲法」起草委員会、初会合開催
    〈4月〉
  • 12日 自民党国防部会と安全保障調査会、安全保障基本法案了承
  • 25日 たちあがれ日本、「自主憲法大綱案」を発表
  • 27日 自民党、「日本国憲法改正草案」を発表
  • 27日 みんなの党、改憲に向けた「基本的な考え方」を発表
  • 27日 一院制議連、17年に国会を一院制にして、議員定数を500人以内とする改憲原案を衆院に提出
  • 30日 日米首脳会談、「動的防衛協力」の強化をめざす共同声明発表
    〈5月〉
  • 1日 新憲法制定議員同盟、「新しい憲法を制定する推進大会」開催
  • 24日 衆院憲法審査会、現行憲法の各条章ごとの審査を開始
    〈6月〉
  • 4日 第2次野田改造内閣発足
  • 19日 森本防衛相、参院外交防衛委員会で敵基地攻撃能力の保有について、検討が必要と答弁
  • 20日 民主、自民、公明3党が原子力基本法の改悪を強行
  • 26日 沖縄県議会、オスプレイ配備撤回の意見書と抗議決議を全会一致で可決
  • 27日 野田政権、米政府のオスプレイ配備方針を容認
    (中)
  • 2012年12月11日号
    ■自民党の政権公約―「国家安全保障基本法」の制定
     9条の明文改憲を待たずに集団的自衛権の行使を可能に
     自民党の政権公約で9条に関わる重大な問題は、集団的自衛権の行使を禁止している歴代政府の解釈を変更し、集団的自衛権の行使を盛り込んだ「国家安全保障基本法」の制定を明記していることであろう。
     歴代政府はこれまで、自衛隊は「自衛のための必要最小限度の実力組織」であるから9条に違反しないが、海外派兵や集団的自衛権の行使、また目的、任務が武力行使を伴う国連軍への参加は、「必要最小限度の範囲を超える」から憲法上許されないとしてきた。
     右翼的イデオロギーが濃厚な自民党の安倍総裁。総裁再就任直後から「政権を取ったら集団的自衛権の行使の解釈を改める」と繰り返し発言している。
     安倍氏は、かねてから集団的自衛権の行使について「権利はあるが、行使できない、とする論理が、はたしていつまで通用するのだろうか」(『美しい国へ』)と憲法解釈に異論を唱え、首相時代に集団的自衛権の行使を可能にするために有識者会議を立ち上げた。
     有識者会議は、安倍氏が示した4つの類型―@近くにいる米国艦船が攻撃された場合の応戦A米国に向けて発射されたミサイルの迎撃B他国の軍隊が攻撃されたときの駆けつけ警護C戦闘地域での後方支援の拡大について議論。ただ、安倍氏は報告を受ける前に、07年参院選に惨敗し、1年をたたずに政権を投げ出さざるを得なかった。それだけに、集団的自衛権の行使に執念を燃やす。
     9条の明文改憲はハードルが高くて、それまで待てないから、「国家安全保障基本法」という違憲の法律をつくって9条を破壊する意図は明白である。
     「国家安全保障基本法」は、国連憲章に定められた自衛権を行使する場合として「我が国、あるいは我が国と密接な関係にある他国に対する、外部からの武力攻撃が発生した事態であること」(第10条)と明記し、集団的自衛権の行使を認める。
     一方、野田政権の国家戦略会議フロンティア分科会は、歴代政府の9条解釈について「集団的自衛権に関する解釈など旧来の制度慣行を見直す」ことを提言している。
     また、「新防衛計画の大綱」は、日本防衛を建前としてきた従来の専守防衛構想を投げ捨て、米軍とともにグローバル展開することをめざす動的防衛力構想にかじを切っている。
     自民党は、海外で戦争する道を開く「国家安全保障基本法」を総選挙後の国会で成立をめざす。
    ■タカ派族語録
    • 石原維新代表「日本は核兵器に関するシミュレーションぐらいやったらいい。これも一つの抑止力になる」(毎日)
    • 石破自民幹事長「自衛隊は国際法的には間違いなく、れっきとした軍隊だ」(朝日)
    • 安倍自民総裁「(自衛隊を)軍として認め、そのための組織もつくる。海外と交戦するときは、交戦規定にのっとって行動する」(時事)
    (中)
    2012年11月27日号
    ■「改憲を争点に」 自民が改憲草案の解説本
     「改憲を次期総選挙の争点に」(安倍総裁)掲げる自民党は、改憲機運の盛り上げを狙って、今年4月に公表した同党の「改憲草案」の解説本「日本国憲法改正草案Q&A」を発行した。前文と全章(1章〜11章)について順次解説している。
     前文のすべてを書き換えた理由として「全体が翻訳調でつづられており、日本語として違和感がある」とし、その内容については、平和のうちに生きるという憲法が保障した「平和的生存権」をヤリ玉にあげ、「ユートピア的発想による自衛権の放棄にほかならない」と一刀両断に斬り捨てる。
     9条関係では、現9条2項を削って、新9条2項で自衛権を明記しているが、「自衛権」には「個別的自衛権や集団的自衛権が含まれている」と解説。さらに、9条の2を新設し、「国防軍」の保持を規定しているが、「独立国家が……軍隊を保有することは、現在世界では常識」だとしている。
     改めて言うまでもないが、侵略戦争の反省のうえに立った現行憲法前文は、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにする」決意を明らかにし、「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」と謳い、「日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成すること」を誓ったのである。
     この前文の決意をうけ、憲法9条は1項で戦争放棄、2項でそれを確実なものとするため戦力の不保持と交戦権の否認を明記しているのだ。
     前文と9条のどこに「ユートピア的発想」があるというのか。「過去に眼を閉ざす者は、未来に対してもやはり盲目となる」。
     「武力によらない平和」を体現している前文と9条の理念を活かしきる幅広い運動をつくりだすほかない。
    ■ガイドライン改定へ 日米軍事一体化さらに
     8月の森本防衛相とパネッタ米国防長官との会談で、「日米防衛協力の指針(ガイドライン)」の再改定協議に入ることで合意していたが、9日訪米した長島防衛副大臣が国防総省・国務省の幹部らと会談。会談では「中国の軍拡や海洋進出の動きをにらみ、日米の役割分担を見直す」(時事)ことで一致した。記者団に「共通計画の策定や共同演習の実施、沖縄を含む基地の共同使用などを進める方針を確認」(同)したことも明らかにした。
     今年1月の米国防新戦略(アジア太平洋重視)にあわせ、日米の軍事一体化を新たな段階に推し進める危険な動きである。
     ガイドラインは1978年に策定。1994年の朝鮮半島危機を契機に、1997年、現行の防衛指針に改定され、自衛隊が周辺事態で米軍を後方支援し、民間空港・港湾を軍事利用することなどが明記され、日米安保体制が変質した。
     森本防衛大臣は、最近の中国の海洋進出の動きを念頭に、南西諸島などでの有事も想定に含めたものに改める必要があるとしている(NHK)。
    (中)
    2012年11月13日号
    ■「動的防衛力」の構築に「一層奮励努力」せよ 首相が観艦式で訓示
     野田首相は10月14日の自衛隊観艦式で異様な訓示を行った。自衛隊の観閲式は陸海空自衛隊が持ち回りで開催しており、海自の観艦式は3年ぶり。
     訓示では「我が国をめぐる安全保障環境は、かつてなく厳しさを増している。『人工衛星』と称するミサイルを発射し、核開発を行う隣国があり、領土や主権を巡る様々な出来事も生起している」と朝鮮の核問題に加えて、尖閣諸島や竹島をめぐる緊張を強く意識している。
     その上で「自衛隊の活躍の場面は、我が国周辺のみならず、世界各地にまで拡がるようになった」と指摘し、「『防衛大綱』に従って『動的防衛力』を構築し、磨きあげよ」と説き、「諸君が一層奮励努力されることを切に望む」と締めくくった。
     「一層奮励努力」とは、日露戦争における日本海海戦で連合艦隊司令長官東郷平八郎が、旗艦「三笠」のマストに掲げた「Z旗」。その意味は〈皇国ノ興廃コノ一戦ニ在(あ)リ、各員一層奮励努力セヨ〉である。中国や韓国との緊張関係が高まっている中で、このような時代錯誤的な言葉がなぜ出てくるのか。「強い日本」を誇示したいのか。「旧海軍を意識した首相の訓示は論議を呼びそうだ」(朝日)。
     時代錯誤はさらに続く。旧大日本帝国海軍の士官学校である海軍兵学校の「五省(ごせい)」を訓示のなかで全文読みあげたのである。「五省」は兵学校において使われた5つの「自戒の言葉」である。
     その2つめは「言行に恥ずるなかりしか(言行に不一致な点はなかったか)」と問いかけている。自衛官たちは、マニフェストを投げ捨て、言行不一致だらけの最高指揮官たる野田総理の訓示を気恥ずかしい思いで聞いたのではなかろうか。 そもそも、この人に訓示なんておこがましいことだ。
    ■安倍自民総裁 政権とったら集団的自衛権行使の解釈を改める
     「戦後レジームからの脱却」を掲げ、改憲の執念を燃やし続ける安倍氏。「動的防衛協力」による日米軍事一体化と集団的自衛権行使を認める動きが強まっているが、同氏は10月15日、来日したバーンズ米国務副長官と会談し、「政権をとったら集団的自衛権の行使の解釈を改めたい。日米同盟強化にもなるし、地域の安定にも寄与する」(朝日)と決意を表明した。
     政権に返り咲いて、総理大臣にでもなったつもりだろうか?
    ■沖縄県会基地返還≠突きつける決議初めて
     沖縄県議会は10月22日、臨時議会で米海軍兵による集団女性暴行事件に対し、「激しい憤りを禁じ得ない」とする抗議決議と意見書を全会一致で可決した。暴行事件はオスプレイが強行配備された直後の蛮行である。
     決議は「県民の我慢の限界をはるかに越え、県民からは米軍基地の全面撤去を求める声も出始めている」と強調し、従来の決議の「基地の整理・縮小」に加え、この決議は初めて「返還」の促進を突きつけている。
    (中)
    2012年10月23日号
    ■自衛隊 離島防衛能力の強化急ぐ
     9月の尖閣諸島国有化後、防衛省・自衛隊は離島防衛能力の強化を急いでいる。統合幕僚長や陸上幕僚長ら防衛省の幹部が相次ぎ訪米。米太平洋軍司令官や米海兵隊総司令官らと会談した。「自衛隊と米軍の共同訓練の充実や日中関係を踏まえたアジア太平洋情勢について協議したとみられる」(日経)。陸上幕僚長は、グアムやテニアンで実施中の日米共同訓練を視察。共同訓練には、在沖縄海兵隊と沖縄に駐在する陸上自衛隊が参加した。
     離島奪還訓練は、毎日新聞によると、米海軍の揚陸艦を出た上陸用船艇が陸地に近づき、陸自と海兵隊の約60人が7隻のボートに乗り換えて出撃。陸自隊員は砂浜から上陸後、89小銃を携えて前進し、襲撃の足がかりとなる場所を確保する、というもの―離島を確実に奪還するため、いつでも、どこでも軍事介入するノウハウを持ち、「なぐり込み部隊」とも言われる米海兵隊の訓練を受け、その演習に自衛隊が組み込まれていたことになる。
     テニアンには、5月の日米首脳会談で合意した「動的防衛協力の促進」にそって日米共同の訓練施設の建設が計画されている。日米軍事一体化がさらに進む危険がある。
    ■安倍自民総裁 改憲を次期総選挙の争点に
     安倍晋三元首相が決選投票で新総裁に選出された。安倍氏は、首相時代、靖国神社への参拝や教育基本法改悪、改憲手続き法の強行などタカ派路線をひた走った。
     安倍氏は早速、講演で改憲を次期総選挙の争点とすることを示し、「教育再生」に関する法案づくりへの決意を表明した。タカ派路線をひた走り、政権を投げ出した反省はどこにも見あたらない。
    ■オスプレイ 普天間配備完了 怒りの声を聞く
     米海兵隊は6日、米軍岩国基地に残っていたオスプレイ3機を普天間基地に移動。沖縄県民の民意を踏みつぶし、全12機の沖縄配備を強行した。
     9・9県民大会の共同代表らは、「配備で終わりではない」「全国的な運動に」と訴えた(以下、沖縄タイムスから)。
     県市長会長の翁長雄志那覇市長は、「国家の安全保障の中でやはり、沖縄が切り捨てられている」と憤り、運用面が守られていない状況に、「日本政府(の安全宣言)がいかにうそっぱちかがわかる」と怒りが収まらなかった。
     喜納昌春県議会議長は「県民の総意を知りながら日米政府は配備を淡々と行った。激しい怒りを覚えるが、われわれも淡々と抵抗運動を始めるしかない」と、全国的な連携を呼びかけた。
     県商工会連合会の照屋義実会長は「腹立たしい限り。これまでの県民の抗議・要請を無視し、県民の安全と生命を保障しないと日本政府が宣言しているようなものだ」と憤った。
     仲村信正連合沖縄会長は「既定路線の強行配備に怒り心頭」、「沖縄の運用ですでに安全ルールが破られていることを、全国の関係自治体に伝える必要がある」と全国的な連携を訴えた。
    (中)
    2012年10月9日号
    ■オスプレイ配備強行 不安と怒りは頂点に
     日米両政府は、島ぐるみの叫びを無視し、沖縄の人命を軽視してオスプレイの普天間配備を強行した。
     沖縄県議会と県内全市町村議会がオスプレイ配備反対を決議し、9月9日の県民大会には10万人余が参加した。「配備計画撤回、普天間閉鎖・撤去」の決議を採択。これこそが沖縄の民意だ。
     この民意を踏まえて仲井真県知事は、政府に「絶対に受け入れられるものではない」と、配備中止を強く求めた(9月24、25日)。しかし、森本防衛相は「東アジア情勢の中で米国の抑止機能をどう維持していくかというのが大きな課題だ」(琉球新報)と対米従属の姿勢を崩さなかった。その直後に、28日配備を通告した(その後、台風のため、沖縄への配備はずれ込んだ)。米国に隷従し、民意を踏みつぶす野田政権を許してはならない。
     現地沖縄では強行配備が通告されて以降、県民大会実行委員会が軸となって普天間基地ゲート前で連日、抗議行動を展開している。
     このままだと全ての基地が県民の敵意に囲まれ、知事が語った「全基地閉鎖への行動」につながっていかざるをえなくなるだろう。
    ■毎日・世論調査 改憲賛成が65% 国政停滞は憲法のせい57%
     民主党代表選や自民党総裁選、「日本維新の会」結党の最中、毎日新聞が9月15日付の紙面で憲法に関する全国世論調査の結果を発表した。
     そのメイン見出しは「改憲『賛成』65%」(1面)、「国政停滞『憲法に原因』57%」「政治不信『改憲』強め」(23面)である。
     改憲賛成は65%(09年9月の前回調査に比べ7%増)で、過去最高になった。反対は前回調査に比べ5%減の27%(ちなみに、ほぼ1年前の読売調査は賛成が43%、反対が39%)。
     9条改憲に賛成は56%(反対は37%)だったが、集団的自衛権行使については賛成43%、反対51%と逆転。集団的自衛権の行使に反対が多数を占め、政府解釈変更のハードルはなお高いことを示している。
     政局がらみの設問では、国会の一院制導入に賛成48%(反対46%で拮抗)、首相公選制に賛成63%、改憲要件の緩和に(3分の2から過半数へ)賛成51%だった。
     「この調査の最大の問題点は、初めて、『国政停滞』と憲法との関係を問うたことである」と指摘するのは水島朝穂・早稲田大学教授(憲法)。
     「ねじれ国会」で国政が停滞しているが、「国の政治の仕組みを定めた憲法に原因があると思うか、思わないか」の設問に、「思う」と答えた人は57%で、「思わない」の36%を上回った。
     いま、多くの国民が政治に対する不信や国政の停滞に不満を持っている。だからといって不信や不満に乗じて国政停滞の原因を「憲法」に求めるような設問は安易で、不適切であるといえまいか。憲法さえ変えれば国政の停滞は解消するのか。これは稚拙で、恣意的な設問による改憲への誘導ではないか。
    (中)
    2012年9月25日号
    ■島ぐるみの怒り オスプレイ断固拒否
     「日米両政府は、我々県民のオスプレイ配備反対の不退転の決意を真摯に受け止め、オスプレイ配備計画を直ちに撤回し、同時に米軍普天間基地を閉鎖・撤去するよう強く要求する」―沖縄県民大会決議。
     9月9日、島ぐるみの怒りが結集した。参加者は10万1千人。復帰後の米軍基地関係の県民大会としては過去最多、会場は怒りのレッドカードで埋め尽くされた。
     県民大会の2日後に森本防衛相が沖縄を訪問し、オスプレイのフロリダ墜落事故も、モロッコ墜落事故と同様、「人的要因が大きい」と説明。またまた米国側の事故調査を全面的に追認し、うのみにした内容であった。これでは、米軍の「使い走り」ではないか。県民・国民の理解は到底得られない。
     防衛省は、専門家チームを作って独自に事故原因の分析を行ったとしている。しかし、「操縦ミスだから安全だ」と言っているにすぎず、何の意味もない。 相次ぐオスプレイの墜落と緊急着陸は、米国の軍事専門家さえ「構造的欠陥機」と指摘している。
     オスプレイ配備後の低空飛行訓練ルートは全国に張り巡らされており、生活と命を守る全国の闘いにならねばならない。
    ■水陸両用車予算を要求 離島奪還能力強化へ
     防衛省は、来年度予算案の概算要求で、尖閣諸島を含む南西諸島地域への機動展開を強化するため、水陸両用強襲車(4両分・25億円)の費用を要求した。
     中国や韓国対象の動的防衛力強化の一環でもある。陸上自衛隊は、洋上から陸地に上陸する能力を持っていない。「迅速に洋上から隊員や物資を送り込み、島を奪還する能力の取得が必要と判断した」(読売)ためである。
     また、野田首相は、島嶼(とうしょ)防衛に関連して参院予算委員会で、オスプレイは「南西諸島防衛に有用」と答弁している。
     陸上自衛隊と「なぐり込み部隊」の異名をもち、優れたノウハウを持つ米海兵隊との共同訓練が盛んに行われてきた。今も、グアム島とテニアン島で日米の島嶼防衛訓練が実施されている(9月26日に終了予定)。
    ■森本防衛相語録 「原発は大きな抑止力」
     集団的自衛権行使容認の持論を封印してまで防衛相に就任した森本氏。
     その森本氏が就任前の今年1月、「電力関係の講演会で日本の原発維持を主張し『単にエネルギーの問題だけではない』『周りの国から見て非常に大事な抑止的機能を果たしている』と発言していたことが5日分かった。原発の維持が周辺国に核兵器開発の潜在的能力を意識させ、それが日本の国防上のメリットにつながるとの考えだ」と、東京新聞(6日付)が報じた。
     「原子力の憲法」ともいわれる原子力基本法は、原子力開発を平和利用に限定しているが6月、民主・自民・公明の多数によって、同法の「目的」に「我が国の安全保障に資する」との文言が付け加えられている。
    (中)
    2012年9月11日号
    ■防衛省 オスプレイ事故分析 米の調査追認
     「機体に不具合がなかったというのは結構な話だが、機体に不具合や欠陥があるからおかしいと言っているのではなく、落ちたことが問題だ。落ちない操縦をしてくれなければならないのにそれが操縦ミスでしたというのは意味が分からない」(仲井真知事―NHK)。
     防衛省は8月28日、米軍が普天間基地に配備予定の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが今年4月にアフリカのモロッコで発生した墜落事故に関する分析評価報告書を発表した。
     報告書は予想通り、「(操縦ミスが)複合的に重なったことが主たる事故原因であり、人的要因によるところが大きい」と断定し、「機体自体が本件事故の要因となったとは認められない」と、米側の事故調査を全面的に追認し、なぞるような内容となっている。
     「『人為的ミス』はまやかし」と題する琉球新報社説は「オスプレイの墜落事故の大半は離着陸時に集中しており、コンピューター制御という最先端の技術が事故の集中する飛行形態時に発揮されないとなれば、欠陥機と言われても仕方ない。人為的ミスに加え、人為的ミスに脆弱な運用形態がまかり通っていることこそ問題だ」と指摘する。
     開発段階から墜落事故を繰り返し、「欠陥機」といわれてきたオスプレイは4月のモロッコ事故に続いて、6月にも米フロリダ州で墜落事故を起こしている。ヘリ機能と固定翼機能をあわせもつオスプレイは、他の機種に比べて複雑な操縦技術を要するため、小さな操縦ミスが事故につながる―と米国の関係者がくりかえし指摘している。
     そのためアメリカ国内では、オスプレイ配備の見直しや飛行訓練の中止が相次いでいる。危険きわまりない「欠陥機」が普天間を基点に沖縄県内と低空飛行訓練のため日本各地を飛び回る。
     普天間基地を抱える宜野湾市の佐喜真淳市長は、「配備ありきの報告書で市民の理解は得られない。むしろ市民の反発を招くようなもので憤りを感じる」と語っている。県民・国民の生活と命を危険にさらすオスプレイの配備は断じて許されない。
    ■島嶼(とうしょ)防衛で日米が初の共同訓練 「動的防衛協力」を推進
     8月に入って日米共同訓練や陸海空3自衛隊の総合火力演習が相次いで行われている。
    • 8月19日〜30日 陸自と米海兵隊の共同演習(大分・日出台演習場)
    • 8月21日〜9月26日 陸自と米海兵隊の島嶼防衛訓練(グアム島とテニアン島)
    • 8月26日 3自衛隊の富士総合火力演習(一般公開)―島嶼防衛(静岡・東富士演習場)
     とりわけ、グアムでの共同訓練は、日米軍事一体化を強める「動的防衛協力」の合意を具体化する危険な企てである。また、富士総合火力演習について産経新聞は「中国による沖縄県・尖閣諸島侵攻への対処を強く意識していることは明らかだ」と報じている。
    (中)
    2012年8月28日号
    ■防衛白書 動的防衛協力の深化を強調 米軍とともに海外で武力行使へ
     政府は7月31日の閣議で2012年度版「防衛白書」を了承した。
     ことしの防衛白書の大きな特徴は、「動的防衛協力」の項を初めて設け、日米の軍事協力をより強化する方向が打ち出されていることである。
     「動的防衛力」とは、民主党政権が10年12月に閣議決定した「新防衛大綱」で導入した構想。これまで基本理念としてきた日本の防衛を建前とする専守防衛―基盤的防衛力構想を投げ捨て、新たに即応性や機動性を高めることを重視した動的防衛力の構築を打ち出し、自衛隊が9条の枠を突破して、米軍とともにグローバル展開することをめざしている。
     5月の日米首脳会談では、「両国の安全保障・防衛協力のさらなる強化をめざす」ことを確認し、「日本の動的防衛力の構築と、米国がアジア太平洋を重視する戦略を含め、われわれはそれぞれのコミットメントを実行していく」(共同声明)と表明し、自衛隊と米軍が海外で共同した軍事行動をとる「動的防衛協力」の道を突き進むことを約束した。
     白書では、日米軍事一体化を強める「動的防衛協力」の具体策として、@共同訓練、A共同の警戒監視活動、Bそれらの活動の拠点となる基地の共同使用をあげている。
     また、グアムおよび北マリアナ諸島連邦への共同基地建設にもふれており、さらに、「日米韓、日米豪など3カ国間の防衛協力や、多国間の枠組みの中での日米協力を含む重層的な防衛協力を推進する」としている。
     米軍が普天間基地への配備を強行しようとしている欠陥機MV22オスプレイについて白書は、コラムで紹介するにとどまり、4月のモロッコや6月の米フロリダでの墜落事故や地元の不安、懸念にはふれていない。
     政府の国家戦略会議フロンティア分科会が7月6日に集団的自衛権の行使を禁じた9条の政府解釈の見直しを求める報告書を提出したのに対し、直後の衆院予算委(12日)で、野田首相は「政府内の議論も詰めていきたい」と積極的な答弁をしている。「動的防衛協力」の具体化にとって集団的自衛権の政府解釈が大きな制約となるからである。
    ■日米防衛相会談 防衛指針改定で合意
     森本防衛相は3日(日本時間4日)、パネッタ米国防長官と初会談。周辺事態で米軍の戦争に日本が自動的に加わる仕組みになっている「日米防衛協力の指針(ガイドライン)」の再改定を協議することで合意した。日米の軍事一体化をさらに深める危険な動きである。
     1978年に策定されたガイドラインは、94年のいわゆる朝鮮半島危機を契機に97年、現行の防衛指針に抜本改定された。自衛隊が周辺事態で米軍を後方支援し、民間空港・港湾を軍事利用することなどが明記され、日米安保体制が変質した。
     再改定協議の時期などは明らかにされていない。
    ■森本防衛相 茶番のオスプレイ試乗
     森本防衛相は3日(日本時間4日)、ワシントン郊外でオスプレイに試乗。「茶番劇はたくさんだ。防衛官僚と米国の振り付け通りのお芝居に、国民が付き合わされるいわれはない」「これで何か(安全)を確認したとは噴飯物だ」と、痛烈な批判を浴びせる琉球新報。
     ところが、この御仁、試乗後の会見で「飛行は大変快適、横振れは全くない、騒音がそれほど被害を受ける印象はない」とのたまい、「オスプレイを絶賛するようにまくし立てた」(時事)という。
     「仲井真弘多知事は『大臣はテストパイロットでもないんだし、(試乗に)何かありますか』」(沖縄タイムス)と苦言を呈したそうだ。
    (中)
    2012年7月24日号
    ■政府の国家戦略会議分科会提言 集団的自衛権行使を容認
     中長期の国家ビジョンを検討している政府の国家戦略会議フロンティア分科会は6日の会合で、集団的自衛権の行使を禁じた憲法9条の解釈について、「集団的自衛権に関する解釈など旧来の制度慣行を見直すことも検討すべきである」と明記した報告書を野田首相に提出した。
     分科会は首相の肝いりで2月にスタート。「叡智」「繁栄」「幸福」「平和」の4部会で議論され、安全保障分野は「平和のフロンティア部会」(部会長・中西寛京大大学院教授)の報告に基づくもの。
     報告書は、将来のアジア太平洋地域の大規模な変化が予想されるとして「アメリカや価値観を共有する諸国との安全保障協力を拡大深化すべきである」と強調している。
     また、集団的自衛権行使容認のほか、国際平和維持活動(PKO)については「自衛隊が国連加盟諸国の部隊とともに活動できるよう運用条件の改善」を提案し、「PKO参加5原則」の見直しを示唆している。
     さらに、秘密保全法制の整備や日本版国家安全保障会議(NSC)の設置なども提言。
     6日の会合に出席した野田首相は報告書について「近々取りまとめる日本再生戦略の中に存分に反映させたい」と述べた。
     9日の衆院予算委で「集団的自衛権の解釈見直しの提言もあった。政府内の議論も詰めていきたいと考えている」と、自民党議員の質問に答えた。
     集団的自衛権に関し、野田首相は09年総選挙直前に出版した著書で「この問題をクリアしない限り、自衛隊を海外に出す話など、本来はしてはいけない」と言い切り、集団的自衛権の行使を主張した。首相就任後は持論を封印している。
    ■自民 安保基本法で集団的自衛権行使可能に
     自民党は6日の総務会で、集団的自衛権について、改憲によらずに行使を可能とする「国家安全保障基本法案」の概要を決定した。次期総選挙の公約に盛りこみ、政権奪還後に成立をめざす。
     法案は「国連憲章に定められた自衛権(注―個別的自衛権も集団的自衛権も含む)の行使については、必要最小限度とする」と規定し、自衛権を行使する場合として「我が国、あるいは我が国と密接な関係にある他国に対する、外部からの武力攻撃が発生した事態であること」としている。
     9条2項が海外での武力行使を許さない歯止めとなってきた。歴代政府は、自衛隊は「自衛のための必要最小限度の実力組織」であるから9条に違反しないが、海外派兵や集団的自衛権の行使、また目的、任務が武力行使を伴う国連軍への参加は、「必要最小限度の範囲を越える」から憲法上許されないとしてきた。
     「自衛権の行使は必要最小限度とする」と法案に規定したからといって集団的自衛権の行使を可能にすることにはならない。歴代政府の憲法解釈を変える究極の解釈改憲の企ては断じて許されない。
    (中)
    2012年7月10日号
    ■民主・自民・公明が原子力基本法改悪 「核武装に道を開くのか」
     消費税増税政局(会期末)のどさくさに紛れ、ろくに審議もなされないままに、原子力政策の基本を定める原子力基本法の改悪が行われていた。
     福島原発事故を受けて民自公3党が提出した原子力規制委員会設置法案の附則第12条で「原子力基本法の一部を次のように改正する」として、同法の「目的」に「我が国の安全保障に資する」という文言が付け加えられた。原子力利用に国家安全保障の視点が盛り込まれたことになる。立法趣旨を踏みにじるとんでもない改悪である。
     これほど重大な変更について、国会でちゃんと審議されたのだろうか。
     この附則12条を含む原子力規制委員会設置法案は6月15日、衆院に提出され、即日可決。同20日には参院で可決、成立した。多くの国民は成立後に初めて知ることになった。その翌日、9月8日までの会期延長が決められた。これでは議論が十分尽くされたとは言えず、議会政治の自殺行為だというほかない。
     「原子力の憲法」ともいわれる原子力基本法は第2条で「目的」を「原子力の研究、開発及び利用は、平和の目的に限り、安全の確保を旨として、民主的な運営の下に、自主的にこれを行うものとし、その成果を公開し、進んで国際協力に資するものとする」と定めている。原子力基本法により、半世紀以上にわたって、わが国の原子力利用は平和目的に限定されてきた。「自主・民主・公開」の「平和利用3原則」が確立されてきたのである。
     23日付の「毎日」社説(タイトル「安全保障目的」は不要)は明快である。「将来、核兵器開発に道を開く拡大解釈を招かないか」と指摘し、「誤解を招く表現は避けなければならない。『安全保障』部分の削除を求める」と。
     そして、20日には宇宙航空研究開発機構(JAXA)法から「平和目的に限る」との規定を削除する改定案なども可決、成立しており、宇宙の軍事利用を進める体制が整備されることになる。
    ■本性を露呈し始めた森本防衛相
     集団的自衛権行使容認の持論を封印してまで防衛大臣に就任した森本敏氏が本性を露呈し始めた。
     時事通信によると森本防衛相は先月19日の参院外交防衛委員会で、他国からまだ攻撃が行われていない段階で相手の基地を攻撃するための敵基地攻撃能力の保有について「従来の専守防衛だけで全ての国家の防衛ができるのか、常に見極めながら防衛政策を進めるのは国家の責務だ」と述べ、検討の必要性を認めた。
     また、「他の手段がないと認められる限り、敵の基地をたたくことは、国際法上もわが国の憲法解釈上も自衛の範囲に含まれる」と強調。
     先制攻撃論である。国連憲章は、自衛権は「武力攻撃が発生した場合」にのみ行使できると明記しており、政府はこの順守を建前にしている。9条を持つ日本はあくまで外交的な努力で問題を解決すべきある。
    (中)
    2012年6月26日号
    ■衆院憲法審査会 自民党の9条改憲案戦争への道*セ確に
     衆院憲法審査会は5月24日の審査会を皮切りに、毎週1回のペースで現行憲法の各条章ごとの審査を行っているが、改憲論議の最大の焦点である第2章「戦争の放棄」に関する審議を行った(5月31日)。
     自民党を代表して中谷元議員が5月に発表した同党の改憲草案を説明したが、「戦争放棄の憲法」から「戦争する憲法」への転換であることを明らかにした。中谷氏の表明を審査会の会議録から拾ってみた。
     中谷氏は、まず「独立国家が、その独立と平和を保ち、国民の安全を確保するため軍隊を保有することは、現代の世界では常識であって、自民党の草案では、自衛隊を国防軍として憲法に位置づけている」と切り出した。
     続いて集団的自衛権を含む自衛権について「集団的自衛権の行使を認めないという考え方は、例えば、日米の共同行動の際に米軍が他国から攻撃を受けた場合の対処や、弾道ミサイルの迎撃といった場面に見られるように、我が国をめぐる安全保障環境の変化に対応する上で大きな制約となっている」と指摘し、「自民党の草案では、新たに9条2項として自衛権の規定を追加しており、この自衛権には個別的自衛権も集団的自衛権も含まれる。また、個別的(注:集団的)自衛権を保持しているが行使できないという解釈の根拠の一つである現行2項を削るとともに、新2項で改めて『自衛権の発動を妨げるものではない』と規定して、集団的自衛権は何ら制約なく行使できることにしている」と強調。
     さらに、国際協力については「自衛隊の海外活動は重要性を増している」とし、にもかかわらず「憲法上の制約から十分な権限が付与されないままであり、現地での活動内容が制約され、任務遂行上、また安全性においても、国際協力を果たす上での支障や指揮官の困惑などの状況が出ている」「特に、海外派遣された自衛隊は、同じ活動に参加している他国の部隊が攻撃された場合にもほとんど何もできないし、任務遂行のための武器使用を行うこともできない」と述べ、自民党の草案では「現行2項を削って新たに自衛権の規定を置いたことで、個別的あるいは集団的自衛権に基づく武力行使はもちろん、制裁目的の武力行使も否定されていない」と明言した。
     また、中谷氏は「(新設された)9条の2、3項は、国防軍の活動として、『国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動』を規定し、武力行使を伴う活動にも参加できることを明確にしている」と海外における武力行使が可能になっていると唱えた。
     会議録から長々と引いたが、自民党の9条改憲の内容・性格は鮮明である。侵略戦争の反省のうえに立った9条を、再び戦争への道を歩む9条に変えるものである。
    (中)
    2012年6月12日号
    ■衆院憲法審 現行憲法を各条章ごとに検証
     衆院憲法審査会は「現行憲法の各条章ごとの検証を行い、論点を抽出し、整理する」(大畠章宏会長)ための審査を開始した。
     審査会は原則毎週開き、全11章と前文について各党が意見を表明することになっている。
     初回となる5月24日の審査会では第1章「天皇」について7党がそれぞれ意見表明。天皇の地位をめぐり、「元首」と明記するよう改憲を主張する意見(自民、みんな)と「象徴天皇は定着している」として改憲に反対する意見(公明、共産、新党きづな、社民)に分かれた。民主党は「第1章の各条項については、党としてまとまった意見はない」と表明。
     各党の意見表明にあたって、自民党の中谷元議員が同党の「改憲草案」を配布し、天皇元首の明記などを主張したこともあって各党の議員から検証のあり方をめぐって批判が相次いだ。
     共産党の笠井亮議員は「現行憲法の諸原則に照らし、現実がどうなっているかを徹底的に点検することが検証であると考えている。憲法を検証すると言いながら、自らの党の改正草案を説明したり、改憲を前提に一定の方向に導こうとする方法は取るべきでない」(衆議院憲法審査会ニュース8号)、社民党の照屋寛徳議員は「沖縄県民は、反憲法的な状態に今なお苦しんでいる。各条文ごとの議論をするのは良いが、それは決して、改憲を前提にすべきではない。現行憲法の平和理念を、やはり現実に照らして真摯に見つめるのが国会議員の責務ではないか」(同)と指摘し、審査会を改憲前提の場にしてはならないと強調した。
     また、民主党の辻元清美議員も「まず憲法審査会の役割に関する共通認識について議論すべきであり、各党、各個人の考えやイデオロギーを反映した憲法改正原案を作る場ではない」(同)と表明。
    各条章ごとの検証を提案した公明党の赤松正雄議員からも「憲法審査会で具体的な改正原案を審査する前に、中立的な立場で現行憲法を点検することに主眼がある。自民党の改正草案について踏み込んだ発言があったことは若干遺憾に思う」(同)と批判した。
     大畠章宏審査会長は記者会見で「改憲が前提ではない」と述べているが、具体的な議論が進めば改憲論が強まってくる恐れもあり、改憲機運を盛りあげようというのか。
    ■参院審査会長 自民党改憲草案などの審査を
     時事通信によると参院憲法審査会の小坂憲次会長は5月16日の記者会見で、自民党が4月末にまとめた改憲草案などを衆参両院で審査したいとの考えを表明した。
     小坂氏は「衆院と役割分担したい。各党の意見はどちらかで表明すればいい」と述べ、6月21日までの今国会会期にとらわれずに審査を続行したいとの見解を示した。
     自民党は4月末、「改憲草案」を発表。みんなの党は改憲の「基本的な考え方」、たちあがれ日本は「自主憲法大綱(案)」をまとめている。
    (中)
    2012年5月22日号
    ■自民・みんな・たちあがれの改憲案比較
     3日の憲法記念日を前に自民党、みんなの党、たちあがれ日本の3党が相次いで改憲案を発表した。その背景には、改憲原案の審議・提案権をもつ衆参の憲法審査会が始動したことと無関係ではなかろう。
     3党の改憲案の共通項は9条改憲と軍隊の保持、集団的自衛権行使の容認にあるが、天皇制や9条改憲などについて比較する。
    《天皇》 3党とも元首であり象徴。たちあがれは男系男子による皇位継承を明記。 《国旗・国歌》 3党とも国旗は日章旗、国歌は君が代。自民は国旗・国歌の尊重義務を明記。
    《9条》
    • 自民―国防軍の保持。現行1項の「戦争放棄」を残し、2項は削除。新たに2項として(1項の戦争放棄の規定は)「自衛権の発動を妨げない」と明記し、集団的自衛権の行使を容認。
    • みんな―自衛権の規定を明確化し、国民投票で9条改正を決定。
    • たちあがれ―自衛軍の保持。個別的自衛権・集団的自衛権の行使容認を明記。
    《改憲の発議要件》 3党とも改憲のための国会発議の要件緩和。自民とたちあがれは、衆参両院の全議員の3分の2以上の賛成から「過半数」に緩和。ただし、たちあがれは、各院の3分の2以上の賛成で発議されれば国民投票は不要。
    (3党の改憲案の題名)
    • 自民党―日本国憲法改正草案
    • みんなの党―憲法改正の「基本的な考え方」
    • たちあがれ日本―自主憲法大綱「案」
      ※条文形式による改憲案は自民党案のみ。
    ■改憲原案 国会に初提出 一院制議連
     民主、自民、公明などの各党議員らでつくる「衆参対等統合一院制国会実現議員連盟」は4月27日、5年後の2017年に国会を一院制にして、議員定数を500人以内とする改憲原案を衆議院に提出した。2院制を定めた憲法42条を改定しようとするもの。
     改憲原案の発議には、衆院で100人以上の賛成が必要だが各党の120人が賛同者に名前を連ねた。
     改憲原案が議院運営委員会の議論を経て受理されれば、現憲法が制定されてから初めてということになる。
    ■究極の解釈改憲 自民党が安全保障基本法案まとめる
     自民党はこのほど、改憲によらずに集団的自衛権の行使を可能にする「国家安全保障基本法案」をまとめた。
     安保基本法の制定は次期総選挙のマニフェストにも掲げている。
     法案では、個別的・集団的自衛権は国連憲章に定められているとし、その行使の条件を「わが国あるいはわが国と密接な関係にある他国に対する外部からの武力攻撃が発生した事態」としている(毎日)。
     これは、歴代政府が憲法解釈で禁じている集団的自衛権の行使を合憲化するもので、究極の解釈改憲の企てにほかならない。
    (中)
    2012年4月24日号
    ■産経新聞が新憲法起草へ 来年5月めざし
     「わが国を取り巻く安全保障環境が激変、国内でも政治や教育の劣化が顕著となり、国家としての対応が問われている。産経新聞社は国の根本的な立て直しには、新たな憲法が不可欠との認識にたち『国民の憲法』起草委員会(田久保忠衛委員長)を発足させ、26日初会合を開いた」(産経・3月27日付)―産経は、読売と並んで改憲キャンペーンの先頭を走っているが、同社の新憲法の要綱を来年5月までに策定するという。「紙面でも積極的に憲法を取り上げていく」としている。
     4月の紙面から、元首相の中曽根康弘氏や自民党の石破茂氏などを登場させ、前文や天皇などについて持論を語らせる「憲法の焦点」を連載中。
     メディアの改憲案は読売新聞がすでに「憲法改正試案」を発表しており(94年11月3日)、それに次ぐものとなる。
     新憲法の行き先は見えている。27日付の紙面は、現行憲法の「最大の欠陥は『戦争の放棄』を定めた9条の規定だ。普通の主権国家が持っている軍隊の保有を禁じている」と指摘し、9条を目の敵にしている。
     さらに、「自衛隊が自衛のための『戦力』か『実力組織』かも明確ではない。同盟国が攻撃を受けた場合の集団的自衛権についても、政府は『行使できない』として、自衛隊の行動を縛ってきた」と嘆き、「国際貢献においても9条は足かせとなっている」と決めつける。
     このように「現行憲法の不備」のご託宣を並べ立てた挙げ句に「憲法は『公権力の行使を制限するために主権者が定める根本規範』という理念が強調されすぎている」と近代立憲主義の基本要素をも否定してみせる。
     どんな新憲法になるものやら?改憲勢力の攻勢はいよいよ強まり、続く。
    ■改憲が前面に 自民が次期総選挙公約発表
     自民党は9日、「日本の再起のための政策」と題する次期総選挙に向けたマニフェスト(政権公約)を発表した。
     マニフェストは7つの柱からなるが、最初の柱の中に改憲を掲げている。同党の改憲原案にも示されている自衛権の明記や自衛隊を自衛軍と位置づけることを盛り込んでいる(党内には国防軍と明記すべきだとの意見も根強くある)。
     さらに、戦争・テロや大規模災害などによる非常・緊急事態に憲法の拘束を外して首相に権限を集中させることを意図した緊急事態条項の新設も盛り込んでいる。
     改憲を掲げる一方、安全保障政策の目玉として、集団的自衛権の行使を可能にするための「安全保障基本法」の制定を打ち出している。
     07年参院選挙の公約に「2010年の国会で改憲案の発議をめざす」ことを盛り込み、改憲の牙≠むき出しにした安倍自民党は歴史的な惨敗を喫する苦い経験を持っている。しかしその後、改憲勢力の巻き返しが強まっており、反転攻勢に出ようというのか(本紙前号・小欄の「読売新聞世論調査」参照)。
    (中)
    2012年4月10日号
    ■自民 新法制定で集団的自衛権の行使容認へ
     時事通信によると、自民党の石破茂安全保障調査会長は先月末の同調査会と国防部会の合同会議に、改憲によらずに集団的自衛権の行使を可能にする「安全保障基本法案」の私案を提示した。同案をたたき台に、次期総選挙前の法案とりまとめをめざし、総選挙の公約にも明記する方向である。
     時間がかかる明文改憲を待たずに、新法の制定によって集団的自衛権の行使を容認するというのである。明文改憲の先取りによる憲法破壊にほかならない。
     石破私案は「わが国は自衛隊により、国連憲章に定められた権利を行使することができる」とし、集団的自衛権の行使を容認している。
     後述の読売世論調査によると、集団的自衛権行使について「改憲で認める」28%、「憲法解釈の変更で認める」27%で過半数の人が容認。「認めなくてよい」は37%。
    ■読売・全国世論調査 改憲「賛成」が54%、「反対」は30%
     読売新聞社は毎年、憲法に関する全国世論調査を行っているが、3月14日付の紙面で2012年2月調査の結果を発表した(面接方式・2月25、26日実施)。
     それによると、改憲賛成は54%となり、昨年9月調査(43%)から11?も跳ね上がり、一方、反対は30%で昨年調査(39%)から9?も減少した(カッコ内は昨年9月調査。以下同じ)。
     読売新聞によると改憲派が半数を超えたのは09年(52%)以来で3年ぶり。
     同紙社説は「中国の軍事力増強は著しく、北朝鮮の核開発にも歯止めがかからない。日米同盟は、重要性を増している。憲法9条に関連し、集団的自衛権の行使を容認する人が55%と初めて半数を超えたのも、そんな意識の反映とも言えよう」と指摘している。
     9条については、「解釈や運用で対応するのは限界なので改正する」は39%(32%)。「これまで通り解釈や運用で対応する」39%(45%)と「9条を厳密に守り、解釈や運用では対応しない」13%(13%)で、その合計は52%(58%)となり、9条の明文改憲反対派は昨年より6?減少し、9条改憲派は7?増えた。
     9条のうち「戦争放棄」を定めた第1項については改憲反対が73%(77%)で、昨年の調査で8割の高率を初めて割り込んだが、さらに減少した。賛成は21%(16%)。
     「戦力の不保持」などを定めた第2項については、改憲反対が48%(55%)で5割を割り込み、一方、賛成は43%(35%)で、反対・賛成が拮抗してきている。
     9条に関する調査結果から、1項の戦争放棄を現実のものとするために、「戦力の不保持」を規定した第2項が持っている世界史的な意義を、もっともっと世論に働きかける活動が強く求められているといえるのではなかろうか。1項と2項は不可分一体であり、1項は維持するが2項は変えてもいいという問題ではないはずである。
    (中)
    2012年3月27日号
    ■自民党が改憲原案 前文と9条破壊が最大のねらい
     自民党の憲法改正推進本部(保利耕輔本部長)は2日の役員会で、天皇は「元首」、9条2項の削除と自衛軍の保持・自衛権の発動、国旗国歌の尊重、緊急事態条項などを明記した「改憲原案」を了承した。
     国会議員による党内議論を加速させ、サンフランシスコ講和条約発効から60年を迎える4月28日までに成案をまとめ、国会提出をめざす。
     自民党は、すでに同党が条文として初めてまとめた「新憲法草案」(05年11月発表)を持っている。ところが、この「新憲法草案」は早々に、前文の書き換え(日本の伝統、文化、国柄の記述)や集団的自衛権行使容認を盛り込むなどの再検討が課題とされていた。
     天皇を「元首」と定める「改憲原案」の前文では「わが国は、長い歴史と固有の文化を持ち、日本国民統合の象徴である天皇を戴く国家」と規定し、「この伝統ある国家を長く子孫へと引き継いでいかなければならない」とうたい、国旗国歌についても「国民は尊重しなければならない」ことを盛り込み、復古的色彩もちりばめられている。
     侵略戦争の反省のうえに立った現行憲法前文は、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにする」決意を明らかにしているが、自民党の「改憲原案」前文には侵略戦争への反省は微塵もなく、現行憲法の基本理念をかなぐり捨てている。現行憲法が徹底した平和主義に立っている所以である前文と9条の破壊は断じて許されない。
     現行憲法9条は1項で戦争放棄、2項で戦争放棄を現実のものとするために戦力の不保持と交戦権の否認を明記している。
     05年の「新憲法草案」も今回の『改憲原案』も1項は残し、2項を削除して「自衛軍」の保持を明記しているが、「改憲原案」では、戦争放棄(1項)の規定は「自衛権の発動を妨げるものではない」とする条文を新たに付け加えている。このことによって、自民党の長年の懸案であった集団的自衛権行使の発動に結びつくことになる。
     2項によって阻まれていた集団的自衛権の行使や海外での武力行使が正当化され、アメリカとの軍事的行動の道をますます開くことにつながる。
     神戸大学の名誉教授である浦部法穂氏は、9条2項の重みについて「戦争放棄を定めるといったことは諸国の憲法や国際条約に、例がないわけではない」とし、「日本国憲法は、これらの国際条約や諸国の憲法よりもさらに一歩進んで、戦争放棄を現実のものとするための軍備廃止を宣言している点で、徹底した平和主義に立っているといえる。この点に、日本国憲法の平和主義の世界史的な意義があるのである」と説かれている(法学館憲法研究所双書「憲法の本」)。
     改憲派の最大のねらいが、「世界史的な意義」を持つ前文と9条の破壊にあることは明白である。
    (中)
    2012年3月13日号
    ■衆院憲法審査会 選挙権年齢引き下げを議論
     衆院憲法審査会(大畠章宏会長)は2月23日、改憲手続き法で定められている18歳以上の選挙権年齢にあわせて、公職選挙法の選挙権と民法の成人年齢を、現在の20歳から18歳に引き下げるかどうかを議論した。
     審査会では、選挙権年齢と成人年齢を同時に引き下げるべきだとする総務省と選挙権年齢の引き下げを先行すべきとする法務省の見解が対立したが、審査会委員は「(同時)引き下げを求める意見が多数だった」(日経)。
     07年に成立(10年施行)した改憲手続き法の付則は、選挙権年齢や成人年齢を「18歳以上」とするために「必要な法制上の措置を講ずる」ことを定めている。
    ■兵庫県弁護士会 秘密保全法制定に反対声明
     兵庫県弁護士会(笹野哲朗会長)は2月23日、政府が通常国会への提出に向けて法制化作業を進めている秘密保全法制定に反対する会長声明を発表した。
     声明は「政府情報を知る権利は、国民主権の理念に基づき、かつ民主主義の根幹を支える重要な人権」であると強調。「国政の重要情報は、本来、国民に帰属すべきであることを出発点とすべきであり、これら情報を知る権利を制限することには極めて慎重でなければならない」と指摘。政府の情報公開が不十分な状況において「政府情報を国民の目から隠すことになる秘密保全法制を作ることは、多くの情報が時の権力者にとって都合が悪いという理由だけで秘匿されることになりかねず、国民主権原理に反し、民主主義の根幹を揺るがせる事態を生じかねない」と批判している。
     また、規制の鍵となる「特別秘密」の概念が曖昧なため、報道機関の取材活動の制約や国民のプライバシーが侵害される危険性を指摘している。
    ■東も、西も、改憲の大合唱
     NHKによると東京都の石原知事は2月24日の会見で、新党の憲法に対する姿勢について「時の政府が破棄して新しい憲法を即座に作ったらいい」「改正なんて手間取る」と持論を展開した。
     さらに「占領のために作られた憲法と称する法律体系を続けることは、歴史的にも例がなく正当性がない」とも。
     石原氏のあほさかげんもいい加減にしてもらいたいものだ。 西方の橋下大阪市長。東方と同じ日の会見で「今後の日本の安全保障政策を決めるためにも、憲法9条の改正の是非を問う、国民投票を実施すべきだ」と述べ(NHK)、大阪維新の会の政権公約(維新八策)に盛り込む考えを示した。
     すでに維新の会は、参院の廃止や首相公選制、改憲の発議要件緩和(3分の2以上から2分の1以上に)などの改憲案を明らかにしている。
     新しい装いで改憲を企もうというのか。
    (中)
    2012年2月28日号
    ■参院憲法審査会 大震災に乗じ 憲法に「非常事態条項」を
     参院憲法審査会が2月15日に開かれ、参考人として招かれた中山太郎・前衆院憲法調査会長は、衆院憲法調査会報告書を説明するなかで、「東日本大震災を経験した今日、緊急事態条項は真剣に議論するべき論点である」と強調し、改憲論議の具体的な進展を促した。
     産経新聞によると参院憲法審は「今後、東日本大震災と人権、統治機構、緊急事態を重点的に参考人の意見聴取を進める方針を確認」。緊急事態条項を口実に改憲論議が進んでいくことが予想される。
     中山氏は昨年8月、憲法の緊急事態条項についての改憲試案を公表。試案は、大規模な自然災害やテロなどで、首相が緊急事態を宣言する規定を設け、内閣総理大臣への権限の集中や自治体首長への指示権、国民の通信の自由・居住および移転の自由・財産権などの私権を制限できるようにしている。
    ■「たちあがれ日本」「大阪維新の会」が改憲案
     たちあがれ日本の平沼赳夫代表は2月8日、党内に調査会を設置し、自主憲法の素案づくりに着手する方針を明らかにした。サンフランシスコ講和条約発効から60年にあたる4月28日までに案をまとめる。
     大阪維新の会は党内論議を行っている「維新八策」(政権公約)に参院の廃止や首相公選制、改憲の発議要件緩和(3分の2以上から2分の1以上に)などの改憲案を盛り込んでいる。
    ■米軍再編見直し 沖縄2紙の社説を読む
     日米両政府は2月8日、06年に合意した「在日米軍再編ロードマップ(行程表)」を見直すとの「共同文書」を発表。普天間基地の辺野古移設と海兵隊のグアム移転を切り離し、グアム移転を先行して進める。アジア太平洋重視のオバマ政権の新国防戦略に沿った動き。
     沖縄の地元紙(2紙)の社説を紹介しよう。
     沖縄タイムスは、辺野古新基地建設とグアム移転は一体であるとしていたにもかかわらず「日米両政府はあっさり、パッケージを放棄した。辺野古移設の見通しが全く立たないからだ」と指摘し、「この期に及んでも野田佳彦首相は、辺野古移設を堅持する、と強調している」と厳しく批判。
     「沖縄にとって、普天間の早期返還と辺野古移設の断念は、切り離せないパッケージである」とし、普天間返還を引き出した95年の島ぐるみ闘争のように「今、求められているのは、沖縄からの島ぐるみ闘争規模の意思表示である」と訴える。
     琉球新報は、「県民は普天間飛行場の県外・国外移設もしくは無条件返還を求めている」「沖縄は、何でも許される日米の植民地ではない」と訴え、「対米追従外交が連綿と続いている。米軍の基地自由使用を優先し、国民の生命や人権を二の次とするゆがんだ安保政策をこの国はいつまで続けるつもりか」「民意をしっかり受け止めて辺野古移設の断念と普天間撤去をオバマ米大統領に進言すべきだ」と政府に強く迫る。
    (中)
    2012年2月14日号
    ■改憲への準備進める政府・民主党
     民主党憲法調査会(中野寛成会長)は、1月18日の役員会で「選挙権年齢を現行の『20歳以上』から『18歳以上』に引き下げるための公職選挙法の改正について、議論を本格化させることを決めた」(読売)。
     07年に成立(10年施行)した改憲手続き法の付則は、選挙権年齢や成人年齢を「18歳以上」とするために「必要な法制上の措置を講ずる」ことを定めている。公職選挙法や民法など関連法は196にのぼる。
     民主党憲法調査会が選挙権年齢の引き下げ議論を決めたことから政府は、公職選挙法や民法などの改正の検討状況を2月中旬までにまとめるよう各府省に指示。
     藤村官房長官は先月末の記者会見で「2月にも年齢条項の見直しに関する検討委員会で検討していく」と表明した。
     改憲のための法整備が進むことになる。
    ■自民党 4月28日(講和条約60年)に「新しい憲法草案」発表
     自民党は1月22日の党大会で改憲を前面に打ち出した運動方針を決定した。
     運動方針は、サンフランシスコ講和条約発効から60年にあたる4月28日までに、05年に発表した「新憲法草案」とその後の状況の変化を踏まえ、新たな改憲案を策定し、国会への提出をめざすことを明記している。
     保利耕輔憲法改正推進本部長は「憲法改正中間報告」の中で、「尖閣諸島、竹島、北方領土問題、昨年3月11日の東日本における大災害などにいかに対処すべきかなど、国家の非常事態への対応を憲法上に規定することが必要だとして、憲法改正推進本部の中に、緊急事態条項について小委員会を設けて検討を続けてきました」と報告。改憲案に「緊急事態条項」を盛り込むことを明らかにした。
    ■民意を切り捨てる比例定数80削減
     野田首相は施政方針演説(1月24日)で、「政治・行政改革を断行する決意」として国家公務員給与の8%削減をあげ、行政だけでなく「誰よりも、政治家自身が身を切り、範を示す姿勢が不可欠」であるとして、「衆議院議員の定数を削減する法案を今国会に提出する」と述べ、定数削減に強い意欲を示した。
     消費税大増税に執念を燃やす野田首相。定数削減によって消費税増税を国民に押しつけるのは筋違いである。「身を切る」というのであれば民意を切り捨てる定数削減ではない。歳費を削減し、政党助成金を廃止することである。
     民主党は、小選挙区「0増5減」と比例定数80減を決定し、衆議院選挙制度に関する協議会に提示。野党各党は比例定数80減を拒否した。「1票の格差」是正・定数削減・選挙制度改革の3点について月末をメドに同時決着をはかるとしている。
     現行の小選挙区比例代表並立制が民意をゆがめており、民意を正確に反映させる選挙制度への抜本改革が求められている。衆院選挙制度協議会の動向を注視しなければならない。
    (中)
    2012年1月24日号
    ■野田民主党政権 憲法9条・25条を踏みにじる
     野田・民主党政権は、年末のどさくさに紛れるように武器輸出3原則の大幅緩和や10%消費税と社会保障改悪をうち出し、辺野古新基地アセス評価書の「闇討ち」提出を強行した。
     憲法9条と25条の精神を踏みにじる野田・民主党政権の暴走は、断じて許されない。「保守政治家であることを自負している」(著書『民主の敵―政権交代に大義あり』)野田首相。自民党も顔負けの本領発揮である。
     2012年政治闘争の課題が鮮明になった。
    ■2011年―主な改憲の動き(下)
    〈7月〉
      7日 自衛隊、アフリカ東部のジブチに初めての海外基地建設
     14日 沖縄県議会、普天間基地へのオスプレイ配備反対の意見書を全会一致で可決
     20日 自民党の国家戦略本部、「日本再興」を発表
    〈8月〉
      2日  政府、閣議で2011年版防衛白書了承
      4日 自民党の憲法改正推進本部、来年4月までに改憲案のとりまとめを確認
     30日 衆・参両院本会議、野田佳彦民主党代表を首相指名
     31日 第177通常国会閉会
    〈9月〉
      2日 野田内閣発足
      8日 民主党・前原政調会長、訪米先の講演で武器使用基準や武器輸出3原則の見直しを表明
     13日 臨時国会召集 野田首相、初の所信表明演説/読売新聞世論調査、改憲賛成43%・改憲反対39%
     20日 仲井真沖縄県知事、ワシントン市内で記者会見し、「銃剣とブルドーザーで辺野古基地を強行するつもりか」と県内移設反対を表明
     22日 オバマ大統領、野田首相との初会談で、普天間基地について具体的な進展を強く迫る
     30日 臨時国会閉会
    〈10月〉
     13日 民主党・防衛部門会議、武器輸出3原則の見直しを政府に求める方針を決定
     17日 一川防衛相、仲井真沖縄県知事と会談し、辺野古新基地に関するアセスメントの評価書の年内提出の方針を表明
     20日 第179臨時国会召集/衆参両院本会議、憲法審査会委員の選任を、共産・社民党の反対を押し切って民主・自民 公明党などの賛成多数で強行。翌21日の初会合で両院の憲法審査会の会長が選出され、正式に始動
    〈11月〉
      1日 政府、武力衝突のある南スーダンへのPKOに陸自の派兵を決定
     12日 野田首相、日米首脳会談で辺野古新基地に関するアセスメントの評価書を年内に提出することを約束
     14日 沖縄県議会、普天間基地の辺野古移設に反対し、アセスメント評価書の県への年内提出断念を求める意見書を全会一致で可決
     17日 衆院憲法審査会、改憲案づくりの審議がスタート、各党委員が意見表明
     28日 参院憲法審査会も実質的な審議を開始
    〈12月〉
      1日 衆院憲法審査会
      7日 参院憲法審査会
      9日 第179臨時国会閉会
     20日 自民党、「第2次憲法改正草案」起草委員会発足
     22日 自民党、第2次改憲案策定の検討開始。1月に中間報告、4月に改憲案をまとめる
     26日 防衛省、辺野古新基地に関するアセスメント評価書を沖縄県庁に発送
     27日 政府、武器輸出3原則の緩和を決定/防衛省、辺野古アセスメント評価書提出できず、市民団体が阻止
     28日 沖縄防衛局、未明(午前4時すぎ)に評価書を県庁に搬入
    (中)