「新社会兵庫」 2020年3月24日号
 新型コロナウイルス感染が拡大するなか、安倍首相は2月27日、前日のスポーツ・文化イベントの開催自粛要請に続き、突如として3月2日から春休みまで全国の小中高校と特別支援学校を一斉に休校にするよう要請を行った。専門家の意見も聞かないどころか、文科相でさえ当日朝になって知るというほどの突然の独断的な政治決断であったために、学校現場の混乱は当然、市民生活の面でもたいへんな混乱や大きな不安、困難がもたらされた。こうした事態を受け、親たちの労働・雇用にかかわる不安やトラブルについて相談を受けようと、ひょうごユニオンなど兵庫の労働4団体は、「新型コロナウイルス 労働・雇用ホットライン」を3月6日から開設し、電話相談にあたった。
 ホットラインを実施したのは、ひょうごユニオン、兵庫県パート・ユニオンネットワーク、NPO法人ひょうご働く人の相談室、NPO法人ひょうご労働安全衛生ゼンターによる実行委員会。
 この日、午前10時から始まったホットラインは開始と同時に電話が鳴り始め、岡ア進・実行委員会代表(ひょうごユニオン委員長)や関係団体のメンバーが応対した。
 相談で目立ったひとつが、学校の一斉休校によって生じた、学校給食従業者や保護者の休業補償などをめぐる問題だ。また、フリーランスや個人請負の休業補償をめぐる相談も多い。さらに、学校以外の会社都合によるリストラや休業などの問題も目立つ。経済にも大きな影響が出ており、そのしわ寄せが労働者、とりわけ非正規労働者には厳しく、ここでも格差の現実が浮かび上がっている。経営者からも、サービス業など事業が悪化し、継続が困難に陥っていると、支援を求める相談が寄せられた。
 相談は3月6日の1日で65件にのぼった。相談件数が非常に多いことを受け、実行委員会はその後も引き続きホットラインを開設し、3月15日現在で100件を超えた。
 報道関係の取材が殺到した3月6日、小西純一郎ひょうごユニオン事務局長は、報道のインタビューに応えて「25年前の震災時、被災者の労働相談の窓口がなく混乱し、急きょホットラインを開設した経験があり、その時の教訓が生きた」と語り、「仕方がないとあきらめずに、起きた問題を遠慮せず相談してほしい。事実を話してもらうことによって見えない課題を見つけ、企業や自治体に声を届けることができる」とテレビを通じて訴えた。 4団体は、今回のホットラインの集計結果などをまとめ、3月16日に兵庫県と兵庫県労働局に緊急要望書を提出した。
 また、神戸地区労(宇野克巳議長)も3月7、8日の2日間、「新型コロナウイルス関連 労働トラブル・ホットライン」を開設し、電話相談を受けつけた。
写真:(上)ホットラインの開始直後から電話が鳴り始め相談件数は3日間で80を超えた=3月6日、神戸市中央区のひょうごユニオン、(下)神戸地区労も3月7、8日にホットラインを開設した=3月8日、神戸市中央区


“緊急事態宣言出させるな”
     「新型コロナ改正特別措置法」が成立・施行
 新型コロナウイルスを対象に加えた新型インフルエンザ等対策特措法の改正法がわずか3日間の国会審議で13日、与党や立憲、維新、国民などの賛成多数で可決・成立し、14日から施行された。共産、れいわは反対した。これにより、安倍首相が同ウイルス感染症にも緊急事態宣言を発令できるようになったが、行政が強い権限を持って私権をも制限できる緊急事態宣言をすでにきわめて強権的な安倍首相が発令することには大きな危険性が伴う。出させてならない。
 新社会党兵庫県本部(粟原富夫委員長)は2月24日、神戸市内で2019年度党活動交流会を開いた。
 今回は合宿形式ではなく、1日だけの交流会となったが、いま県本部で進めている「2023自治体選挙に向けた党建設中期計画づくり」を主なテーマに活動の交流と意思統一を図った。
 交流会の冒頭、鍋島浩一党建設推進委員長(県本部副委員長)が「中期計画づくりは、総支部・支部のしっかりした現状把握から議論しよう。党活動でのぶつかりや成果を共有し、前に進もう」とあいさつ。
 事務局から交流会の基調が提起され、若い仲間の入党や機関紙拡大などがすすみ一方で成果を上げていることが報告されるとともに、自治体選挙の候補者づくりや大衆運動の強化と党建設、党員・党友・機関紙の2割以上の拡大目標などを柱とする中期計画の課題も示された。
 特別報告として、若い仲間との学習会の組織化の成果と教訓(灘総支部)、20回にわたる憲法カフェの開催を通じた仲間とのつながりの努力(長田総支部)、若い労組役員との学習会の組織化と運営の努力(加古川総支部)の3つの報告が行われた。
 その後は2つの分散会に分かれ、各総支部・支部での中期計画づくりの議論の状況や、総支部・支部が抱える悩みや問題点などの交流を行った。
(菊地)
写真:特別報告や分散会も交えて各総支部・支部の活動を交流した=2月24日、神戸市中央区
 コミュニティ・ユニオン全国ネットワークは、昨年10月に姫路で開かれた全国交流集会で「最低賃金 今すぐ全国どこでも時給1000円に! 残業なしで生活できる賃金を! そして時給1500円をめざそう」のスローガンを掲げ、最低賃金引き上げ運動に力を入れて取り組んでいる。2月21日〜23日、全国一斉の最賃引き上げキャンペーンを展開、各地で様々な工夫を凝らした取り組みが行われた。
 兵庫県パート・ユニオンネットワークでは2月22日に「パートアクション」として取り組んだ。午前中は各地で「最低賃金 いますぐどこでも1500円に!」を求める署名活動を行い、午後は神戸市三宮の東遊園地に集合してミニ集会を開き、JR元町駅までデモ行進し、元町駅前でも署名活動を取り組む予定だったが、当日は朝から小雨が降り、昼前に雨脚が強まったことから、残念ながら午後からの行動は中止せざるを得なくなった。
 午前中の地区別の宣伝行動として、JR尼崎、明石、姫路の各駅前で署名活動を行った。  JR尼崎駅には阪神間のユニオンや自治労臨職評から38人が参加。各組合が順番にマイクで「全国一律最賃1500円をめざそう」と訴え、「仕事が同じなのに働く地域で時給が違うのはおかしい」「尼崎と大阪で65円も時給が違うのは納得できない」「いまの最低賃金では生活できない」なども加えて訴えた。
 市民の関心も非常に高く、雨にも関わらず多くの署名の協力があり、1時間で70筆が集まった。
 最賃の署名は、6月の中央最低賃金審議会に提出する予定で、5月末集約で取り組んでいる。各地・各組合でもぜひ取り組みを。
(塚原)
写真:最低賃金1500円を訴える宣伝行動を終えて行動参加者で集合写真=2月21日、尼崎市
 神戸地区労などで構成する神戸地区春闘が主催する恒例の「春闘講演会」が3月4日、神戸市中央区のポートオアシスで開かれた。新型コロナウイルス禍の影響で当初予定の会場を変更しての開催となった。
 宇野克巳神戸地区労議長のあいさつにつづき、「ブラック企業から労働運動へ〜なぜユニオンで活動しているのか〜」と題して名古屋ふれあいユニオン委員長の鶴丸周一郎さんが講演を行った。
 鶴丸さんはまず自己紹介として、昆虫の研究者をめざした経歴や自身の難病のこと、さらに労働運動にかかわるきっかけとなったブラック企業相手の自らの労働争議のことを報告しながら、名古屋ふれあいユニオンで活動するようになったいきさつを語った。
 さらに名古屋ふれあいユニオン(約470人)の活発な活動にふれ、ユニオンみえとの連携で若者だけで結成した東海初のユースユニオンのことや、組合員の4割を占める外国人労働者の争議支援、さらにアメリカ労働運動との交流などで得た成果や教訓などを紹介した。そのなかでは、労働運動の前進のためにも他の活動と連携していくことの大切さや、アメリカの労働運動が重視する“コモングッド”(公共の利益)が強調された。
写真:講演する鶴丸周一郎・名古屋ふれあいユニオン委員長=3月4日、神戸市中央区