ひょうごミュージアム

ひょうご碑物語45
横山省三の陶像と頌徳碑
(たつの市龍野町上霞城)

2021/05/25
 横山省三は、龍野の醤油産業の興隆と発展に尽くした人である。
 1587年(天正15年)、円尾孫右衛門長村が武士を捨てて龍野で商人となり、円尾屋の屋号で酒と醤油の醸造販売を始めたのが、龍野の醤油の起源と言われている。
 揖保川の伏流水は軟水で、酒よりも醤油造りに向いていたのと、佐用や山崎や林田川流域での、醤油づくりに必要不可欠な良質の大豆と、赤穂の塩が地理的な条件としても結びついた。
 寛文年間(1600年代半ば)には甘味料として甘酒を用いた薄口醤油が発案され、龍野醤油の伝統技法となった。
 幕末の龍野藩は、窮迫する藩財政を建て直すために半官半民の生産局を設けて醤油を藩業にしようとした矢先、廃藩置県ですべての計画は水泡に帰した。これを見た横山省三は、有志を募り、1876年(明治9年)龍野醤油醸造組合を結成し、自らが組合長となって醤油組合の基礎を固めた。その功績を称え、大正ロマンが漂うレンガ造りの旧龍野醤油同業組合事務所(国の登録有形文化財)の敷地内に陶像と頌徳碑が建てられた。(森山)
【メモ】旧龍野醤油同業組合事務所は現在、「醤油の郷 大正ロマン館」としてオープンしている。JR姫新線本竜野駅から徒歩20分。

龍野の醤油産業の興隆と発展に尽力した横山省三の陶像が今は「醤油の郷 大正ロマン館」となっている旧龍野醤油同業組合事務所の敷地内に立つ