ひょうごミュージアム

ひょうご碑物語76
雪見御所旧跡の碑(神戸市兵庫区雪御所町)

2024/03/27
平清盛が遷都した福原京で持っていた邸宅のひとつが「雪見御所」。旧跡の発掘を機に1908年に碑が建立された

 兵庫区は神戸港の起こりとされる「大輪田泊」や一時的にせよ、歴史上の首都「福原京」のあったところとして知られる。
 福原京は、平清盛が平安時代末期に、京の都を廃して安徳天皇などを引き連れて遷都したもので、周辺にはそのころの遺跡がたくさん遺っている。
 その象徴的な場所が、石井川と天王谷川の合流地点だ。この辺りは平安時代末期に平家が領有していた「福原」という地域で、『平家物語』などによれば、清盛がいくつかの邸宅を持っていたとされる。「雪見御所」もその一つで、今日まで「雪御所」という地名が残っていたことから、御所跡とされている。実際、湊山小学校改築の時に、校庭から多くの土器や瓦、建物の礎石などが出土した。石碑に使われている大きな石も校庭から掘り出されたもので、庭石だったものと推定されている。
 これらの発掘を機に、1908(明治41)年に「雪見御所旧跡」の碑が建立された。
 ちなみに、141年の歴史の幕を閉じた湊山小学校は、保育所や学童保育、ミニ水族館、この土地の地下水を使ったクラフトビール醸造所などの複合施設に生まれ変わり、憩いの場になっている。
(鍋島)
【メモ】市営地下鉄、神戸電鉄・湊川駅下車、北へ徒歩15分。