ひょうごミュージアム

ひょうご碑物語70
旧石屋川隧道記念碑(神戸市東灘区御影石町4丁目)

2023/09/13
 この碑は、今は高架化されたJR東海道線と石屋川が交差する地点の南側の公園内にある。
 旧石屋川隧道は日本で最初の鉄道トンネルとして建設された。完成したのは1871(明治4)年。住吉川や芦屋川でも同様のトンネルが完成、1874年5月に大阪―神戸間が開業した。
 六甲山南麓は急峻であるために、河川ごとに扇状地が形成され、中流部では住宅よりも高いところを流れる天井川になっている。当時の機関車は勾配に弱かったため、天井川の上を超えるのは困難で、川底の下に隧道を通して線路を敷設する工法がとられた。
 なぜ、工事が困難な山麓近くに鉄道を敷設したのか。浜手に建設する計画に、酒造家から「汽車のゴベラ(石炭)の煙で酒が腐る」とのクレームがついたからだという。
 ちなみに「天井川」がいかに盛り上がっているか。JR線のすぐ北側を並走する山手幹線を車や自転車で走ってみると実感できる。最大で15mの高低差がある。阪神・淡路大震災の直後、交通手段が奪われ、自転車で神戸に通ったが、川を越えるごとのアップダウンに閉口したことを覚えている。
(鍋島)
【メモ】阪神・石屋川駅下車。北へ600m。石屋川公園内。