ひょうごミュージアム

ひょうご描き歩き140
北山緑化植物園 (西宮市北山町)

2023/06/28


 阪急・夙川駅から桜並木の堤を川沿いに北上すること半時間、銀水橋を越えて山懐に入り、山道を登る。3つの池を過ぎると北山緑化植物園内に入る。この公園の正面入口は北西に位置する県道沿いにあるが、逆の方向から園内に入った。すぐに目に飛び込んでくるのが、優雅に屋根が反り上がった中国風のスケッチの建物。紹興酒で知られる中国紹興市と酒の縁で西宮市が友好都市提携していて、その記念として紹興市にある書家・王義之ゆかりの庭園を模して「北山墨華亭」「小蘭亭」が造られている。
広い園内では春の桜、秋の紅葉をはじめ約2千種類の四季の植物に出会える。緩やかな起伏のある園内の散策路を巡り、花壇や温室を辿る。
北の一画に「北山山荘」がある。故人からの寄付を受け、市制60周年を記念して建設された優雅な数寄屋造りの山荘で、北山杉や紅葉が見事な日本庭園があり、この時は緑のもみじや石楠花、サツキが見頃であった。山野草の小径もある。
帰途、西宮震災記念碑公園に3年前にできた野坂昭如氏の代表作「火垂るの墓」の文学碑に立ち寄る。戦後22年、世話になった西宮の家の家族構成をモデルとし、主人公「清太と節子」兄妹の戦争による不条理をこの小説にし……、と碑文に記されている。(嶋谷)