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石の宝殿(高砂市阿弥陀町)

2023/03/22
 JR宝殿駅から南西に徒歩25分の所に日本三奇に数えられる「石の宝殿」がある。因みに残る2つは仙台塩釜神社の塩釜と宮崎県霧島神社の天逆鉾。日本三奇とは、江戸時代に諸国を旅した橘南谿という医者が自著の中で不思議スポット「3つの奇跡」として古代の遺物を紹介したものだそうだ。
 この石の宝殿は小高い竜山山腹の生石(おうしこ)神社に神体として祀られている巨石で、横6・4m、奥行7・2m、高さ5・7mの直方体の形をなし、奥の側面に屋根とおぼしき形状の突起物があり、家を横倒しにしたような全容で、重さは465㌧。水が張られた溜池の上にこの巨石が底部の中央部で乗っかるように据えられているので、一見この石が水に浮かんでいるように見えることから「浮石」とも呼ばれている。いつ誰が、何のために造ったのかわからないが、古代、この地の豪族が巨大な石の神殿を造ろうとしたが途中で中止されたものと考えるのが自然なところか。播磨風土記には物部の守屋が造らせたと書かれている。
 辺りは竜山石の産地として古くから栄え、この生石神社は3世紀頃の創建と伝えられる。10年ほど前に石の宝殿及び竜山石採石遺跡として、他の史跡群とともに国の史跡に一括指定された。(嶋谷)