ひょうごミュージアム

ひょうご描き歩き137
大避(おおさけ)神社(赤穂市坂越)

2023/02/22
 坂越湾を望む宝珠山の山麓に秦河勝(はたのかわかつ)を祀る大避神社がある。河勝は聖徳太子の同志として国造りにも大きく貢献した人物と言われ、太子の死後海路をたどり坂越に移り、千種川流域の開拓を進め、養蚕技術も伝えた。この地で死去し、地元の民がその霊を祀って建てたのがこの神社と言われる。坂越湾に浮かぶ生島(いきしま・国の天然記念物)に墓があり神域とされて現在も人の立ち入りが禁じられている。毎年10月の第二日曜日、秦河勝が坂越に渡来した伝承を再現する「坂越の船祭り」(重要無形民俗文化財)が荘厳華麗勇壮に行われる。大阪天満宮の天神祭、安芸厳島神社の管絃祭とともに瀬戸内海三大船祭の一つに数えられるこの和船の船渡御祭は、ご神体が大避神社を出て浜に下り、神輿船に乗船し、和船12隻が船行列を組む。船上で獅子舞や雅楽が奏でられ御旅所のある生島までを海上の大名行列よろしく華麗に往復し、夕刻に高張提灯を灯して船団が再び神社に還幸して祭事は終る。「大避」の「避」は秦河勝が蘇我入鹿の難を避けるの意味から、地名の「坂越」も「避来」(さけこし)からきているとも。この時期、浜の海の駅しおさい市場はカキで賑わう。
(嶋谷)