ひょうごミュージアム

ひょうご描き歩き135
福良港(南あわじ市)

2022/12/14
 福良港は鳴門海峡に面した淡路島南端の湾内にある天然の良港で、画のように洲崎から延びる防波堤に護られて在る。淡路側からのうずしお観潮船はここから出る。400㌧級の帆船を模した大型観潮船「咸臨丸」と「日本丸」の2隻が交互に周航し、1時間で往復する。
 この乗船場の向かいに淡路人形浄瑠璃の常設館である淡路人形座がある。鳴門大橋が一望できる丘の上には巨大な玉葱のオブジェのある「うずの丘 大鳴門橋記念館」が橋の開通と同時に建てられ、その館内に渦潮発生を映像で解説するうずしお科学館をもつ。
 もちろん福良港は貨物港や漁港としての機能も持ち、一画にドックも並ぶ。
 かつて戦後20年頃までこの福良と洲本を結んで淡路鉄道がのどかに走っていて、これに乗って淡路ユースホステルに泊まったことを記憶する。
 港の背後の大見山の山頂には丹下健三氏設計の戦没学徒記念若人の広場の慰霊塔が聳え建つ。400万人に及ぶ学窓にあった若人は様々な形で戦争に巻き込まれ、20万人の青春がはかなく消えてしまった戦争の悲劇を再び繰り返すまいとの願いからこの広場ができて塔が建った。その遥か彼方に淡路島の最高峰、諭鶴羽山(608m)の山並みが聳える。(嶋谷)