改憲の動きをウオッチング

(2022年10月26日号)

2022/10/26
■改憲原案づくり急ぐ4党 首相、所信表明演説で「発議」に踏み込む
 岸田首相は10月3日の所信表明演説で「発議に向け、国会の場において、これまで以上に積極的な議論が行われることを期待する」と改憲への意欲を示した。首相が国会発議に踏み込むのは初めて。
  参院の代表質問で、立憲の石垣議員は「国権の最高機関たる国会を形骸化して憚らない、つまりは現行憲法を守るつもりもない人物が、憲法改正を促すなど言語道断」と手厳しく批判。今、求められているのは「憲法改正よりも、国葬や旧統一教会を巡る問題に、現在の憲法に違反する事例はないか、衆参の憲法審査会で大いに『積極的に議論』する必要があると考える」と首相の改憲加速の姿勢をただした。
  改憲論議の加速を狙う改憲4党の幹事らが会談し、今年の通常国会と同様、衆院憲法審査会を毎週の定例日(木曜日)に着実に開くため、立憲に呼びかけていく方針を確認した。
 さらに公明党の北側副代表は、改憲をめぐり、「自衛隊の明記」や「緊急事態条項」などのテーマは、4党の間で問題意識は共有されていると指摘。今の臨時国会で、共有しているテーマについてさらに議論を深めて、できればもう少し詰めていく議論ができればいいと提起した(NHK)。
  北側氏は、維新の会に負けじと、改憲原案づくりを急ぐ構えを示した。
 全国署名をはじめ、地域・職場で改憲を許さない地道な運動をさらに積み上げていこう。
■軍事費倍増へ 2027年度に10兆円超
 最近の世論調査で軍事費の増額をよしとする声が増えている。NHK世論調査(10月8〜10日実施)では、軍事費の増額に「賛成」が55%、「反対」が29%、「わからない、無回答」が15%だった。
  防衛省は8月31日、反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有を狙う2023年度予算概算要求額として、過去最大となる5兆5947億円を要求した。さらに、具体的な金額を示さない「事項要求」を多数計上。年末の政府の予算編成で決定される軍事費は6兆円台半ばになる見通しだ。
 岸田政権は、年末までに「国家安全保障戦略」など安保関連3法案を改定するとしているが、臨時国会の論戦を通じて、敵基地攻撃能力を含めあらゆる選択肢を排除せず、防衛力を抜本的に強化していく、と強弁している。
 10月8日付の毎日新聞は、複数の政府・与党関係者の話として、23年度の防衛費は6兆〜7兆円程度とし、その後も年に1兆円程度の上乗せを続け、27年度に10兆円超を目指すと報じた。
 22年度の当初予算の防衛費は5兆3687億円。自民党は7月の参院選の公約で国内総生産(GDP)比2%以上とする目標を掲げている。現状ではGDP比1%程度であり、防衛費が5年で倍増になれば、GDP比は2%近くまではねあがることになる。 
  大軍拡と9条改憲は一体。敵基地攻撃能力の保有や軍事費倍増の検討中止を求めていこう。(中)