改憲の動きをウオッチング

(2022年10月12日号)

2022/10/12
■「国葬やめろ!」 民意無視し強行 安倍の美化は許されない
 全国各地で抗議の声があがるなか9月27日、岸田政権は民意を無視して安倍元首相の「国葬」を強行した。
 岸田首相は「国葬」で、安保法制=戦争法などを成立させた安倍氏の実績をたたえる追悼の辞を述べた。「平和安全法制、特定秘密保護法など、苦しい経過を乗り切って、あなたは成就させ、ために、わが国の安全は、より一層保てるようになった」と安倍氏を賛美し、アベ政治を高く評価した。
 ところが、国内の約6千人に案内状を送付したが、事前に出席の連絡があったのは3,600人(6割、東京)。政府は「国葬」を行う理由の一つに「各国から首脳クラスの参列希望が相次いでいる」ことをあげたが、先進7カ国(G7)首脳の出席はゼロ。対中国を念頭に関係強化を目指す東南アジア諸国連合(ASEAN、10カ国)も、首脳の出席は3カ国にとどまった。全体では、210を超える国・地域と国際機関の代表者を含めても当初想定の7割ほどにとどまっている。
 朝日の社説は、岸田首相の弔辞に対して「安保・外交分野を中心に安倍政権の業績をたたえ、集団的自衛権の一部行使に道を開いた安保法制や特定秘密保護法の制定などを挙げた。しかし、これらは、強い反対論があるなか、数の力で押し切って成立させたものだ。国葬が安倍政権に対する評価を定め、自由な論評を封じることがあってはならないことを、改めて確認したい」と強調する。 しかし、安倍賛美の追悼の辞は、ほとんどのテレビ局が全国に流している。多くの国民がどうとらえたか。朝日の主張を肝に銘じ、岸田政権の「国葬強行」の意図(狙い)を許してはならない。 
■安倍の大罪 戦争法成立7年 「戦争する国」づくり断固阻止
 「仮に台湾有事が想定される場合、先んじて自衛隊による米艦などの武器等防護が行われ、それが集団的自衛権の発動の端緒になる危険がある。『武力の行使を放棄する』とした憲法の下で、専守防衛や自国防衛を超える法制度を構築したことに無理がある。集団的自衛権の行使が現実化していない今こそ、状況を元に戻すチャンスだろう」(学習院大・青井未帆教授に聞く。東京新聞)
 2015年9月19日、安倍政権(当時)は、歴代政府が違憲としてきた集団的自衛権の行使などを可能にする安保法制=戦争法の成立を数の力で強行した。
 当時の模様を東京新聞は、「国会前には、多い時で約12万人(主催者発表)が抗議デモに集まり、若者や学者、母親など多様な人々が立場を超え、反対の意思を政権に突きつけた」と報じている。
 日本が直接、攻撃を受けていない相手に反撃する集団的自衛権は、海外における武力行使に道を開き、「戦争する国」に変わる。岸田政権は、相手国のミサイル発射拠点などを攻撃する敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有を目指す。
 東京新聞によると、自衛隊は今夏に初めて、米軍などと共同で、集団的自衛権を発動する『存立危機事態』(※)想定の実動訓練を行うなど、法制化によって拡大した任務は実際の運用も可能な段階に入った。台湾を巡る米中対立の深刻化で、日本が戦闘に関わる可能性も現実味を帯び始めている。(中)
 
  ※存立危機事態 日本への攻撃がないにもかかわらず、米国など「密接な関係にある他国」が攻撃された場合に「日本の存立が脅かされ、国民の幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある」事態→自衛隊が集団的自衛権に基づく他国への武力行使ができる。