改憲の動きをウオッチング

(2022年6月8日号)

2022/06/08
■許すな!9条破壊=「戦争する国づくり」へ策動強まる
(1)衆院憲法審 9条論議が本格化
 ウクライナ危機に悪乗りして、9条を壊し、「戦争する国づくり」の大合唱が起こっている。
  衆院憲法審は、予算審議中にも開催され、ほぼ毎週開催(定例日は木曜日)という異例ずくめの運営となっている。昨秋の総選挙で議席を伸ばした維新と国民民主党が後押ししている。
 補正予算の審議が始まったばかりの5月26日、今国会14回目の憲法審が開催された(安倍政権下で実質審議がゼロの国会もあったが)。
 5月19日の憲法審では、改憲の本丸である9条論議が本格化した。自民、維新と立憲野党の見解を見る。
 新藤義孝氏(自民)「憲法の根幹的な未整備部分である国防規定を設け、実力組織である自衛隊を明記することは主権国家として当然だ」
 足立康史氏(維新)「現行9条を維持した上で『9条の2』を新設し、『前条の範囲内で、法律の定めるところにより、行政各部の1として、自衛のための実力組織としての自衛隊を保持する』と明記」
 奥野総一郎氏(立憲)「9条改憲に国民は慎重だ。(自民党の)改憲4項目ありきの議論、とりわけ9条については断固反対する」
 赤嶺政賢氏(共産)「(9条改憲は)平和憲法の根幹を覆すことであり認められない。必要なのは国と国との争いを絶対に戦争にしないための外交努力だ」(以上、東京新聞)
  維新の改憲案は、ほとんど自民案と変わらない。改憲問題はいよいよ本番である。 
 (2)日米首脳会談 憲法破壊し軍事力強化 大軍拡路線 核抑止約束
  岸田首相とバイデン米大統領は5月23日、首脳会談を行い共同声明を発表した。
  共同声明では「岸田文雄首相はミサイルの脅威に対抗する能力を含め、国家の防衛に必要なあらゆる選択肢を検討し、防衛力の抜本的強化に向けた防衛費の相当な増額を確保する決意を表明。バイデン氏は強く支持」と約束した。
  これは、自民党が4月にまとめた「新たな国家安全保障戦略等の策定に向けた提言」(安保提言)を踏まえたものであることは明らかである。
「安保提言」は「敵基地攻撃能力」の名称を「反撃能力」に変え、対象をミサイル基地に限定せず相手国の政府中枢など「指揮統制機能等」を追加し、政府に能力の保有を求めている。
 提言はまた、対GDP比2パーセント以上」という目標を念頭に5年以内に拡大するよう求める「防衛費の倍増宣言」である。バイデン大統領と大軍拡を推し進めることを約束したことになる。
  さらに、見逃せないのは「両首脳は、米国の拡大抑止が強靱なものであり続けることを確保することの決定的な重要性を確認した」ことである。
核による拡大抑止を確認したことは重大である。
  参院選で、9条破壊、日米共同声明路線に厳しい審判を下そう。(中)