改憲の動きをウオッチング

(2022年4月27日号)

2022/04/27
■安倍元首相 危険極まりない発言連発
 ロシア・ウクライナ戦争を受け、自民改憲の「顔」と言われる安倍氏の「とんでもない」発言が続いている。
▼(敵基地攻撃能力)「基地に限定する必要はない。向こうの中枢を攻撃することも含むべきだ」(東京)
▼(軍事費)「ドイツはGDP比2%を決断した」(時事)「来年度予算では、少なくとも6兆円程度を確保すべきだ」(NHK)
▼(核には核)「核の抑止力は安全保障上の戦略において重要」(『文芸春秋』5月号)
■憲法審暴走 止めよう緊急事態条項
  「自民党らの狙う緊急事態条項は、9条改憲とあいまって戦争などの緊急事態において、国権の最高機関である国会の立法権を奪い、内閣や首相が独裁的に国民の人権制限を行うことを可能にするものである」(4月6日・改憲問題対策法律家6団体連絡会緊急声明)。
  衆院憲法審は、予算審議中にも開催され、ほぼ毎週開催という異例ずくめの運営となっている。維新の会と国民民主党が与党と同調して議論加速を求めている。
4月7日、衆院憲法審は緊急事態条項に関する論議を行った。
・奥野総一郎氏(立憲) 緊急事態に関する議論を通じて、さまざまな論点が浮かんできた。有識者を呼んで確認したいこともあり、総括には程遠い状況。緊急事態に関し、憲法を改正しなければならない明確な事実があるとは思えない。日本の法制には緊急事態対応はすでに織り込まれている。武力攻撃、内乱テロ、自然災害、感染症、それぞれ基本法制があって、緊急事態の認定を行う仕組みができている。
・赤嶺政賢氏(共産) 緊急事態条項に関する議論で明確になったのは、その目的が国会の権能を奪い、国民の基本的人権を制限することにあることだ。緊急時を理由に内閣への権限の集中を認めれば、権力の乱用につながる恐れがあるのが歴史の教訓だ。国会議員の任期延長についても、国民の参政権を脅かすと同時に、国民の支持を失った政府が政権の維持のために利用する本質的な危険を持つ。
・新藤義孝氏(自民) これまでの議論を通じ、おおむね共通の理解が得られた。1つは憲法改正し、大規模自然災害事態、テロ・内乱事態、感染症まん延事態、有事安全保障事態、この4つを緊急事態の対象として明記すること。もう1つは、どのような時でも国会機能を最大限維持することができるよう、国会議員の任期延長の規定は必須であり、このための憲法改正を行う必要があるということ。
・足立康史氏(維新) 憲法施行75年。憲法論議を深め、一つ一つの憲法改正原案を国民に積極的に提案していく。コロナウイルス感染症のまん延に加え、中国の軍事経済面での急拡大を背景とした覇権主義的な動向、北朝鮮による核開発の進展、ロシアのウクライナ侵略など、国際経済秩序の混乱は、新しい事実を突き付けている。(以上、東京新聞)(中)