改憲の動きをウオッチング

(2022年4月13日号)

2022/04/13
■戦争法施行6年 「戦争する国づくり」の策動許すな
「今、私たちが議論すべきは九条の『たが』を外して軍事力を強化することではなく、九条の精神に立ち返り、外交力を磨くことではないのか。安保法施行6年を、あらためて考える機会としたい」(東京新聞・3月28付号社説)
 3月29日、安倍政権が強行した戦争法が施行されてから6年となった。自衛隊が他国軍の艦艇などを守る「武器等防護」を昨年、初めて豪州軍に拡大するなど、米国をはじめとする多国間の軍事協力・一体化が進んだ。米軍以外への適用は初めてである。2020年と21年はそれぞれ20件を超えている。
  一方、「ロシア・ウクライナ戦争」に乗じて、自衛隊を憲法に明記する9条改憲論や「敵基地攻撃能力保有」の検討、「核共有」をめぐる議論など、与党・維新など改憲勢力が勢いづいている。
 自衛隊の海外派兵には、イラク特措法やテロ特措法などその都度法律をつくる必要があったが戦争法によって法整備を経ずに派兵できるようになった。
 安倍政権以降、軍事費は膨らみ続け、護衛艦「いずも」が空母化され、最新鋭のステルス戦闘機の搭載が可能となり、長射程ミサイル導入も目論まれている。専守防衛の空洞化がどんどん進む。
 岸田政権は、「国家安全保障戦略」や「防衛大綱」の改定を年末に予定している。戦争法を廃止しよう。
■参院 今国会初めての憲法審 各党が「憲法に対する考え方」を表明
  参院憲法審査会は3月23日、今国会で初めての実質審議を行った。立憲野党と自民・維新の発言を紹介する。
  小西洋之氏(立憲)=議員任期延長は、任期満了までに総選挙を終えるようにする国会法などの改正で解決できる。改憲の必要性、合理性がないものは憲法論議の対象としない。国民投票法のCM規制などの議論も求めていく。不要不急の改憲論議に対峙し、憲法違反を正し、憲法の価値を具現化していく審議を求める。
 山下芳生氏(共産)=(ロシアのウクライナ侵攻)9条を生かした外交戦略こそ必要だ。敵基地攻撃は9条と相いれず、日本を軍事対軍事の危険な道に引き込む。核兵器は絶対悪の兵器だ。唯一の戦争被爆国である日本が「核共有」などという議論を退け、核兵器禁止条約に参加することを強く求める。 
 石井準一氏(自民)=緊急事態における議員任期の延長等について早急に検討していく必要がある。現状は、歴史的に一体性を持つ県から議員を選出できない制度になっている。憲法の観点から合区解消についても議論すべきだ。
 柴田巧氏(維新)=緊急事態条項だ。公共の福祉の制限のあり方や、私権を制限した場合の補償の問題も議論すべきだ。国会議員任期延長も改憲論議を進めていくことが不可欠だ。(以上、東京新聞) (中)