改憲の動きをウオッチング

(2022年3月23日号)

2022/03/23
■「緊急事態」口実にやりたい放題 憲法審に条項解釈権はない
 憲法56条1項は「両議院は総議員の3分の1以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない」と規定している。衆院憲法審査会は3月3日、大規模災害や感染症流行など緊急事態が発生した場合、「例外的に『オンラインによる出席』も含まれると解釈することができる」とする報告書を賛成多数で議決した。
 自民や立憲など6党派は賛成し、共産のみが反対した。
 共産党の赤嶺議員は「憲法審査会があたかも憲法条文の解釈権を持つかのようにふるまうのは越権行為だ」とし、「『緊急事態』を口実に、権力を縛る憲法の規定を緩め、立憲主義を踏みにじることは許されない」と厳しく批判した。
■「核共有」議論―国是「非核3原則」を蹂躙 核兵器のない世界をめざそう
 前号の本欄で「ついにここまで来たかと戦慄(せんりつ)せざるを得ない」との琉球新報社説を紹介した。その後もウクライナ危機に乗じて「戦慄せざるを得ない」発言が、政府・与党幹部から相次いだ。主なものを紹介する。
▼安倍元首相(米国の核兵器を日本国内に配備し日米で共同運用する「核共有」について)「非核3原則はあるが、議論をタブー視してはならない。国民の命をどうすれば守れるかは、さまざまな選択肢をしっかりと視野に入れながら議論すべきだ」(2/27・NHK)
▼日本維新の会の松井代表「議論するのは当然だ」(2/28・時事)
▼岸田首相「非核3原則を堅持するわが国の立場から考えて認められない」(2/28) 
▼自民党の福田総務会長「唯一の被爆国であることを踏まえたうえで、議論はすべきだ」(3/1・NHK)
▼国民の玉木代表「『持ち込ませず』の意味を議論すべきだ」(3/1・NHK)
▼公明党の山口代表「3原則を堅持すべきだという姿勢を貫いていく」(3/1・NHK)
▼岸防衛相(「敵基地攻撃能力」に関連して)「防御するのに他に手段がないと認められる場合に限り、基地をたたくことは法的に自衛の範囲内だ」(3/2)
▼自民党の高市政調会長「『持ち込ませず』の原則については、有事の際には例外を認めるべきだ」(3/2・毎日)
▼維新の会は「核共有による防衛力強化などに関する提言」を政府に提出(3/3・朝日)
▼岸田首相「『国家安全保障戦略』改定はロシア軍のウクライナ侵攻を踏まえて行われる。『防衛力の抜本的強化を考えていかねばならない』」(3/3・東京)
▼自民党の茂木幹事長「国内総生産(GDP)比で何%という、これまでの延長線上ではない拡充が必要。今の5兆円にとどまらない予算が必要になる」(3/6・日経)
  少し長くなったが、本性むきだしである。誰しもが「戦慄せざるを得ない」だろう。戦争―核戦争への道は絶対に許してはならない。(中)