改憲の動きをウオッチング

(2022年3月9日号)

2022/03/09
■「先制攻撃も自衛の範囲」 とんでもない憲法違反の岸防衛相答弁
  「ついにここまで来たかと戦慄(せんりつ)せざるを得ない」―2月19日号・琉球新報社説。
 では、何に戦慄したのか。社説は、2月16日の衆院予算委員会分科会における岸防衛相答弁を取り上げている。岸氏は「『敵基地攻撃能力』を巡り、自衛隊機が他国領空に入り爆撃する選択肢を『排除しない』と明言した。もはや国際法違反の『先制攻撃』と区別がつかないのではないか」と指摘し、「『専守防衛』をこれ以上空洞化させてはならない」と警告している。
 立憲民主党の長妻氏が「相手国の領空内にわが国の戦闘機が入って爆弾を落とすことも選択肢として排除しないか」と質問したのに対し、岸氏は「攻撃を防ぐ場合にやむを得ない必要最小限度の措置で、基地をたたくことは自衛の範囲内に含まれる」と明言(東京)。
 岸氏の答弁は、憲法9条に真っ向から反し、踏みにじるものである。国際法違反の先制攻撃を自衛の範囲だというのはとんでもない。
 防衛相の実兄である安倍元首相は、2015年の戦争法制定特別委員会で「外国に出かけて空爆を行うことは自衛のための必要最小限度を超える」と答弁しており、安倍答弁と矛盾する。
 岸田首相は、「憲法・国際法の範囲内の検討だ」と繰り返し、正面から答えようとしなかった。
 首相は2月18日の衆院予算委員会で、自信がないのか、「敵基地攻撃能力」の名称変更の可能性に言及した。「憲法や国際法に反する懸念を和らげる狙いだが、政府は自衛隊が他国領域に侵入して空爆することも選択肢として防衛力強化の方針を変えていない」(東京)。
 自民党は昨年の総選挙公約で「相手国領域内で弾道ミサイル等を阻止する能力」との名称を使った。姑息な手を使わず、正面から議論すべだ。
 政府は、2018年に改定した「防衛計画の大綱」などに「いずも」の空母化や、巡航ミサイルの導入などを盛り込み、事実上の攻撃能力の保有に踏み出している。政府は年末を目途に「国家安全保障戦略」などの改定にむけて作業を進めている。
■国民民主党は、野党?与党?  野党共闘をしっかり固めよう
  国民民主党は、「ガソリン価格の値下げのために」新年度予算案に賛成したことを踏まえ、政府・与党との政策協議を進めたいとしている(NHK)。
  かつて国政選挙、国会共闘で連携してきた立憲、共産党の幹部は…… 。立憲・西村幹事長は「総理大臣指名選挙と内閣不信任決議案、それに当初予算案への対応は、国会で行政監視を行う野党としては譲れない線だ」(NHK)。 共産党の小池書記局長は「当初予算案は政権全体の姿を示すものだ。予算案への賛成は政府の活動全体を信任し、政府を支える意思表示に他ならない。与党になりますという宣言を国民民主党はしたことになる」(共同)との認識を示した。
  参院選勝利へ野党共闘の強化が急がれる。(中)