改憲の動きをウオッチング

(2022年2月23日号)

2022/02/23
■改憲阻止の運動を強め・広げ、「改憲の草の根運動」に対決しよう
 岸田首相は2月2日の衆院予算委員会で「(自民党の)改憲4項目は国民にとって極めて現代的な課題だ」「国民の理解を得るためにも、国会で議論を行うことは大変重要だ。憲法審査会で議論を深めてもらいたい」(時事)と、与野党議員に改憲論議の加速を呼びかけた。しかも、具体的な改憲内容である自民党の「4項目」まで持ち出してである。首相には、憲法尊重擁護義務がある。三権分立を蹂躙して事実上立法府に改憲の号令をかけたに等しい。首相にそのような権限はない。
  自民党憲法改正実現本部(本部長・古屋衆院議員)は2月1日、「タスクフォース(実働部隊、TF)を結成して、TFに約50人の若手、中堅議員を任命。5月の大型連休までに各都道府県で最低1回の憲法集会を開く」(東京)ことを決めた。従来に見られなかった態勢と構えである。
 実現本部の国民運動委員会責任者の新藤衆議院議員は「改憲の草の根運動として、国民の中に憲法改正の意識を高めていく」と記者団に強調。
 古屋氏は集会の後、次の参院選が勝利すれば最長3年後まで大型国政選挙がない期間が続く。その間に「しっかり世論を醸成し、国民投票に向かっていくというのが一番可能性が高いシナリオではないか」との認識を示した(産経)。
 維新は、改憲実現の突撃隊としての役割を果たしている。馬場共同代表は、日経のインタビューに応じて、「参院は3年ごとに半数を改選する。参院選のときに3年おきに国民投票をするルーティンをつくったほうがいい」などととんでもないことを言い出している。
 改憲勢力の動きに対し、「9条改憲NО!全国市民アクション」が呼びかけた「憲法改悪を許さない全国署名」の取り組みが広がっている。
 また、「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」と「改憲問題対策法律家6団体連絡会」は2月3日、「自民党改憲を許さないキックオフ集会」をオンラインで開催した。集会参加者一同の名で採択されたアピールは「まとめ」として、「私たちは本集会を皮切りに、『戦争する国』につながる9条改憲をはじめとする不要な改憲論にあらためて強く反対し、署名など世論喚起に取り組むととともに、今年の参議院選挙で改憲勢力の議席数が3分の2を大幅に下回るようにすべく、市民と野党の共闘を一層拡大し強化するため奮闘することを宣言し、本集会のアピールとします」と結んでいる。
 改憲派の「草の根運動」に真っ正面から対抗していかねばならない。
■大軍拡・「敵基地攻撃能力保有」はNO!
  「国家安全保障戦略」などを年末までに改定するとした政府方針を受けて、自民党や公明党の議論が始まっている。
 最大の狙いは、ミサイル発射拠点などを直接たたく「敵基地攻撃能力」の保有に踏み出すことだ。(中)