改憲の動きをウオッチング

2021年7月13日号

2021/07/13
■住民を監視・弾圧する土地規制法 悪法の廃止を求める
  自衛隊や米軍基地など安全保障上重要な施設周辺の土地利用を規制する「土地規制法案」が6月16日未明の参院本会議で自民、公明、維新、国民各党の賛成多数で可決、成立した。立憲、共産党は反対した。審議時間は衆参合わせてわずか26時間だった。
 多くの米軍基地を抱え、県土そのものが国境離島である沖縄は、この法律に特に敏感である。琉球新報の社説から問題点を拾ってみよう。
 まず社説は「どのような施設が規制の対象となり、どのような行為が規制されるのか全てあいまいだ」と指摘する。土地規制法は、「自衛隊や米軍基地などの周囲約1キロや国境離島を『注視区域』に指定し利用状況を調査できる。施設への妨害に中止勧告、命令を出す。命令に応じなければ、懲役か罰金を科す」「『注視区域』のうち自衛隊司令部周辺や無人国境離島を『特別注視区域』に指定し一定面積以上の売買に事前届け出を義務付ける」。
 しかし、政府は自衛隊施設のリスト提出を拒み、米軍施設も国会で明らかにしなかった。
  そのうえ、「施設の『機能を阻害する行為』も国会で例示しなかった。閣議で決める基本方針に盛り込むという」。辺野古新基地反対闘争が「阻害する行為」とされかねない。 「『注視区域』の調査は、内閣府に新設する部局が公安調査庁など関係省庁と連携して行い、情報を一元的に管理する」。「『安全保障』を理由に、思想信条、集会、表現の自由や財産権を侵害し憲法に抵触する恐れがある」。
 これらは沖縄のみならず全国の基地反対・平和運動などにもあてはまる。具体的な事柄をすべて閣議決定・政令に任せる悪法は認められない。
■自民が次期総選挙公約に中期防前倒し改定 国家安保戦略・防衛大綱の見直しも視野
  日経新聞によれば、自民党は次期総選挙の公約で「5年ごとの中期防衛力整備計画(中期防)の改定を明記する検討に入った」という(通常なら次の改定は2023年末)。「中期防の前提になる国家安全保障戦略や防衛大綱の見直しも視野に入れる」。自民党内では軍事費を増やすため前倒しすべきだとの声がひろがっている(前号の小欄参照)。
 4月の日米首脳会談の共同声明で「日本の防衛力強化の決意」を確認。日米は、中国が台湾に武力侵攻するのではないかと警戒する。
  台湾有事が起こった際、「最前線で戦う在日米軍などへの後方支援は自衛隊が主に担う想定だ。大量の弾薬や燃料、装備品(武器)の部品の備蓄が必要になる」。
 自民党は公約で「2013年にまとめた国家安保戦略と2018年に改定した防衛大綱の見直しも掲げる見通しだ」。さらに、自民党内では「中国の台頭や米中対立といった安保環境の変化に合わせるべきだ」などの意見が出ているという。
 憲法をないがしろにする日米一体の軍事大国化路線は許されない。(中)