改憲の動きをウオッチング

2021年4月27日号

2021/04/27
■まずは違法な任命拒否の撤回だ 次は政府・自民党は学術会議の報告書案を尊重せよ
 日本学術会議は、政府の提起を受けて進めていた組織のあり方について「日本学術会議のより良い役割発揮に向けて」と題する素案(報告書)をまとめた。政府と自民党は、政府機関から独立した形態を検討するよう求めていた。
 だが、学術会議は5要件を満たすことが大前提であるとし、「現在の国の機関としての形態は、日本学術会議がその役割を果たすのにふさわしいものであり、それを変更する積極的理由を見出すことは困難だ」とする素案を公表した。5要件とは①学術的に国を代表する機関としての地位、②そのための公的資格の付与、③国家財政支出による安定した財政基盤、④活動面での政府からの独立、⑤会員選考における自主性・独立性。4月21〜23日に開く総会で正式決定する予定。
 報告書に対し、自民党が猛反発している。NHKの報道によると自民党の会合では「自分たちの権利を確保する観点しか盛り込まれていない」などと批判が続出したという。素案は「受け入れられない」として、政府に見直しをあらためて求めることを確認した。
 政府が学術会議の組織のあり方を求めたのは、菅首相が昨年9月、内閣発足早々に学術会議が推せんした会員候補6人を任命しなかったことに対する国民の反対世論が高まった後である。菅首相は半年たった今も撤回要求に応じていない。
 6人もの欠員が出ている不正常な状態を解消する責任は菅首相にある。任命拒否の理由はいまだ明らかにされてない。
 菅首相は、直ちに6人を任命し、報告書案を尊重すべきだ。政府が学術会議のあり方を求める背後には、軍事研究に科学者を動員する狙いがあることは明らかである。
■無策なの? 猛威を振るうコロナ感染状況
 4月12日の衆院決算行政監視委員会で立憲の江田議員は、3月末時点の新型コロナ感染状況のデータを示し、「感染者総数47万4773人中84%に当たる39万8325人、死亡者総数9162人中84%に当たる7701人が、昨年9月の菅政権発足以降の数値である」(立憲HP)ことを明らかにし、その要因は何かと問いただした。
 首相は「飲食の場面などで基本的な予防対策が行われていなかった」など国民の側に責任を転嫁する的外れの認識を示した。江田議員は、検査の徹底拡充などを野党が求めたにもかかわらず、「菅首相が何もやらなかったからではないか」と感染対策を問題視した。
 同党の尾辻議員は感染がまん延し、医療のひっ迫が起こっているとして、「今すぐに大阪と兵庫に緊急事態宣言を発令すべきだ」(同)と強く求めた。首相は「まん延防止等重点措置の効果を見極める」と答弁。
 朝日新聞の世論調査では、感染拡大を防ぐ対策として「まん延防止等重点措置」では「十分ではない」と答えた人は76%になる。またも後手後手の対策か。(中)