改憲の動きをウオッチング

2021年3月23日号

2021/03/23
■総務相「放送行政がゆがめられたことは全くない」 ほんとう?
 総務省官僚らが菅首相の長男が勤める放送関連会社「東北新社」から異常な接待を受けていた問題について、直近のNHK世論調査によれば、「ゆがめられたと思う」が56%、「ゆがめられたとは思わない」が24%、「わからない、無回答」が20%だった。
  総務相の「全くない」発言は衆院本会議(2月16日)で明言したもの。しかしその後、「ゆがめられた事実は確認されていない」と軌道修正し、さらに「ゆがめられるといった疑いを招くことがなかったかを改めて確認(調査)する」と会見で述べた。総務省は「行政にゆがみが生じていなかったかについては第三者を加えた検証委員会を検討中だという」(朝日)。
 では、「放送行政のゆがみ問題」について参院予算委員会(3月8日)でどのような論議が行われたのだろうか。
  立憲民主党の小西洋之議員は「2回も放送法違反の数字が確定しているのに、なぜ東北新社の放送事業者認定を取り消さないのか」と厳しく追及した(同党HP)。
  まず、小西氏は「内部調査では真実が明らかになってない」と問題視。続いて、「東北新社の外資比率が2017年3月31日時点で21・23%、同年9月30日時点で22・21%であったと指摘」し、「放送法で禁じられている20%を超えている」と追及。小西氏は「放送法で外資規制に違反していた場合には、総務省は何をしなければならないか」と問いただした。
 総務省担当者は「放送法第103条第1項では、外資規制に反することとなった時は、その認定を取り消さなければならない」と答弁。しかし、東北新社への認定は取り消されていなかった。
 これを受けて小西氏は「2回も違反している数字が確定的にあるのに、なぜ総務省は東北新社の放送事業者の認定を取り消していないのか」と質したが、総務省担当者は「外資規制に違反していると、当時認識していなかったためではないか。当時の事実関係を確認している」と無責任極まりない答弁を繰り返し、放送法違反を不問にした理由を明かさなかった(その後、認定取り消しへ)。
 さらに小西氏は新たな問題として、「BS4Kの認定を受けた東北新社が17年10月、一度も放送しないまま、子会社に承継していた」ことを取り上げ、「外資規制に違反している会社が、子会社をつくって放送事業を継承させるのは無効ではないか」(朝日)と質したが、総務省担当者は「これまで想定していなかったケースだ。対応については検討が必要」と答弁した(同)。
  また、小西氏は菅首相に「息子さんは総務省幹部の接待要員ではなかったのか」と迫ったが、「わたくしは会社のことは全くわからない。長男とも会社の話は全くしてない」と、まるで他人事のような答弁に終始。行政がこれほどまでにもゆがめられているというのに。(中)