改憲の動きをウオッチング

2021年2月23日号

2021/02/23
■政権交代の意志の明確化を 「市民連合」が立憲野党に申し入れ
 「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」(市民連合)は、「菅政権による新型コロナウイルス対策が失敗を続け、与党政治家の不祥事や腐敗が次々と露見する中」「今年秋までに行われる衆議院総選挙は、国民にとって危機を打開するための政治的選択の機会として、重要な意義を持つことになる」と、立憲野党に対し5項目の申し入れを行った。
 申し入れは立憲野党に対し、①新型コロナウイルス蔓延を食い止めるための医療政策の拡充、②生命、生活、雇用を守るための政策の拡充、③総選挙に向けた政治転換の意志の明確化、④総選挙における選挙協力の明確化、⑤総選挙における共通政策―を具体的な行動として求めている。
 とりわけ重要な闘いとなる総選挙については「連立政権の樹立に向けて立憲野党、さらには危機感を同じくする政治家による連立政権の構想を打ち出すことによって、国民の政治転換への期待は一層高まると考える」「小選挙区においてできる限り多くの野党統一候補を立てることはもはや立憲野党と市民にとって自明の前提となり、選挙協力の体制を整備し、それに関する情報について野党を支える市民と共有する」ことを呼びかけている。
 4月の衆参補欠選挙から激しい戦いが始まる。
■「重大な憲法問題を惹起」 コロナ関連法で  学者70人超が反対表明
 衆参合わせてたった4日間の審議で2月3日、新型コロナ関連法改定案は成立した。自民と立憲民主による修正協議で刑事罰は削除されたが、行政罰を含めた罰則は残った。
 改定案には法律や医療など多くの団体が反対声明を出し、罰則の撤回を求めた。70人を超える憲法研究者有志一同による反対声明から問題点を整理してみた。
 声明は、「不適切なコロナ政策の結果として生じた状況に行政罰、公表などの威嚇で強権的に対応することを可能にする、本末転倒な法案であり、政府の失策を個人責任に転嫁するものである」と厳しく批判。「らい予防法と同様、重大な憲法問題を惹起する」と指摘し、罰則を伴う「命令の脅しで時短や休業を強行させる内容となっており」、「『営業の自由』(憲法22条、29条)や『財産権』(同29条)を不当に侵害し、生命や生活の権利を奪いかねない」と指摘。「社会的害悪が明確で悪質な行為だけを『犯罪』として法律で定めることができるという『適正手続き主義』(同31条)からも問題である」としている。
 まん延防止等重点措置も憲法上、問題があると批判している。「国会の承認が明記されていない点は極めて問題であり、行政の民主的統制(同66条3項、65条等)とも相容れない」と指摘。
 最後に声明は、「生命、自由、幸福追求への権利を保障すべき国の責任を否定するもので」「『立憲主義』『法治国家』理念を貫徹する観点からも」「改正案は成立させるべきでない」と結んでいる。(中)