改憲の動きをウオッチング

2020年7月14日号

2020/07/21
■総裁任期中改憲に執着する安倍首相 国民投票法改定案は多数決も
 安倍首相は6月20日、インターネット番組に出演し、「自民党総裁としての任期は1年3カ月あるので、何とか任期中に国民投票まで行きたい」(NHK)と改めて意欲を示した。しかし、各メディアの世論調査で明らかなように多くの国民は改憲を望んでいない。
また、先の通常国会でも国民投票法改定案は、6国会にわたって継続審議となっており、安倍改憲スケジュールは行き詰っている。民意を無視する改憲策動は断念すべきだ。
 また、首相はネット番組で、「民主主義は、全員のコンセンサスが取れればいいが、それは無理だ。その時には、多数決で決めていくということだ」(同上)と、議論が思うように進まない憲法審査会で「数の力」を行使する態度を示した。
  他方、自民党憲法改正推進本部は6月25日の会議で、「改憲への機運を高めるための活動を本格化させることを確認した」(時事)。コロナ感染拡大で中断した集会の再開やコロナ禍で活動する自衛隊の活動を紹介する動画の活用などを打ち出している。

■「敵基地攻撃能力」保有へ 自民が検討開始
  政府・国家安全保障会議(NSC)が陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」計画を断念したことを受け、自民党は6月30日、「ミサイル防衛に関する検討チーム」の初会合を開いた。敵基地攻撃能力も含む代替策を協議し、7月中に政府に提言する。「年内に改定する国家安全保障戦略や、連動して見直す防衛力整備の指針『防衛計画の大綱』などに反映させるよう求める」(東京)。
 自民党ではこれまで繰り返し、敵基地攻撃能力保有の論議を行い2017年に提言を行ったが、国民の理解は広がらず反映されたことはない。
 変則軌道を描く北朝鮮の新型ミサイルや中国が開発する極超音速ミサイルへの対応など技術面のハードルは高い。
 政府はこれまで専守防衛のもと攻撃型兵器の保有を禁じており、軍事政策の重大な転換は断じて許されない。

■検察庁法改定案廃案 1・31閣議決定は撤回を
 改憲問題対策法律家6団体連絡会と戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会は6月26日、黒川前東京高検検事長の定年延長を決めた閣議決定(1月31日)の撤回を求める「共同アピール」を発表した。
 「共同アピール」は、検察庁法改定案の廃案について「廃案へ追い込んだのは、市民による圧倒的な反対の声を受けての措置」であり、「画期的な成果」だと強調。その上で改定案の発端となった閣議決定が未だ撤回されていないことについて、「閣議決定をそのままにしておけば、今後、第2、第3の黒川氏が生み出されないとも限らない」と閣議決定の撤回を求め、「国家公務員法の一部を改正する法律・法案の再提出にあたっては、検察庁法改正案の特例部分(定年延長)を完全に削除する」ことを強く求めている。(中)