改憲の動きをウオッチング

(2024年2月28日号)

2024/02/28
■憲法闘争の正念場 通常国会の憲法審査会
 岸田首相は施政方針演説で「今年は条文案(改憲原案)の具体化を進め、議論を加速していく」と述べ、繰り返し明言している自民党総裁任期中(9月まで)の改憲実現に強い決意を示した。任期中の改憲を実現するには今国会がラストチャンスになる。
 また、昨年末の臨時国会における最後となった衆院憲法審査会で、与党筆頭理事であった中谷元氏は、緊急事態条項などの改憲条文案を作成するため、来年の通常国会で作業機関を設置することを提案した。維新の会と国民民主も同調した。
 中谷提案は国民的な議論を抜きにして憲法審の枠内(密室)で条文案づくりを進めようという非常に危険な動きだ。
 こうした動きを止めるためには院外における改憲阻止の大衆運動を強め、院内における立憲野党の頑張りを支える必要が重要になってくる。そのためにも、県下各地の「生かす会」運動をさらに強め、大きくしていかなければならない。
 自民党の裏金事件がからんで憲法審査会の日程は定かでない(15日現在)。しかし、改憲5党派(自民、公明、維新、国民、有志の会)の諸策動は進んでいる。
 立憲野党と自民、公明は代表質問で改憲に言及しなかった。維新の会は「今国会中に発議しなければならない。リミットは5カ月足らずだ」「合意形成されつつある緊急事態条項の創設を軸に、改正案の取りまとめに直ちに入るべきだ」と、首相に迫った。また、定例日以外にも衆参両院の憲法審査会を開き、議論するよう主張した。
 国民民主は「もう一日も無駄にできないはずなのに、首相のやる気が感じられない。本気度をスケジュールで示せ」と岸田首相に求めた(産経)。
 公明の北側副代表は、記者会見で「昨年は予算案通過後に実質討議が始まり、毎週開催した。少なくとも同じペースで開くべきだ」(時事)。(参院は水曜日、衆院は木曜日が定例日)。
 一方、立憲野党は「自民党派閥パーティー裏金事件で政治資金収支報告書を訂正した安倍派などの議員が、衆参両院の憲法審査会の委員に名を連ねているとして、『汚れた手で憲法を触るな』と主張し、辞任を求めた」(東京)。
 立憲の泉代表は記者会見で「国の最高法規の憲法を審査する議員が法律を守っていない。そんな人たちに憲法審査会にいる資格はない」と辞任を強く求めた。共産党の田村委員長も記者会見で「違法行為を反省もできない方々に憲法を語る資格はない」と言い切った。
 衆院憲法審には50人中、自民党議員が28人、参院憲法審には45人中22人いる。このうち参院では9人が安倍派議員、衆院は衛藤氏や下村氏など安倍派の議員が委員でいる。
 岸田首相は、国民の信頼回復のために「火の玉となって党の先頭に立つ」と明言した。本当にやる気があるなら憲法審の「裏金議員」を変えるべきではないか。
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