改憲の動きをウオッチング

(2023年12月27日号)

2023/12/27
■岸田改憲にストップを来年通常国会の憲法審査会の動きが極めて危険
首相、改憲項目の絞り 込み指示
 任期中改憲を明言する岸田首相は12月5日、自民党の憲法改正実現本部の会議に出席し、改憲原案の審議加速化を指示した。
 自民、改憲原案づくり へ作業部会提案
 衆院憲法審査会は12月7日、参院憲法審査会は12月6日、臨時国会における最後の審議を行った。衆院憲法審は5回、参院は2回開かれた。
 自民党の与党筆頭理事である中谷元氏は緊急事態条項などの改憲条文案を作成するため、来年の通常国会で作業機関を設置することを提案した。維新の会と国民民主も賛同した(時事)。
 参院憲法審でも自民党は改憲の条文案を作成する作業部会の設置を提案した。
 立憲の辻元清美氏は、自民党派閥の裏金疑惑に触れ、「政治の信頼なくして憲法論議は成り立たない」と反対。
 自民党の衛藤晟一氏は、緊急事態条項の創設や自衛隊の明記を挙げて作業部会の設置を主張。
 共産党の赤嶺政賢氏は、「多くの国民は改憲を望んでいない。とても条文案をまとめるという状況にない」と強調。
 憲法審の一部に動きがあった閉会中審査や改憲条文案の作業部会の設置はできなかったが、来年の通常国会で自民党が作業部会の設置を提案する。これは極めて危険な動きだ。
  改憲勢力、自民の本気 度が感じられない
  改憲勢力はリーダーシップを発揮しない岸田首相への不満を募らせている。民間団体「美しい日本の憲法をつくる国民の会」が国会内で緊急集会を開催。共同代表の櫻井よしこ氏は「自民のふがいなさに限りない不満を持つ。首相は責任を持つ政治家とは思えない」(時事)と酷評したという。
■市民連合と5党派 共通政策で合意 野党共闘再構築へ一歩踏み出す
 「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」は12月7日、次期衆議院選挙に向けて市民と立憲野党の協力体制を整える必要が迫っていることから、立憲民主党、共産党、れいわ新選組、社民党、沖縄の風(参院会派)に対して、左記の「市民の生活を守り、将来世代に繋げる政治への転換を」とする市民連合の基本的な共通政策を示し、野党連携の土台とするよう要望した。
 (1)憲法も国民生活も無視する軍拡は許さない、(2)物価高、燃料高騰、円安、不公平税制を放置せず、市民の生活を守る経済政策を行う、(3)だれもが個人として尊重されるよう、ジェンダー平等・人権保障を実現する、(4)将来世代へと繋げるために、気候変動対策を強化し、エネルギー転換を推進する、(5)権力の私物化を止め、立憲主義に基づく公正で開かれた政治を行う―の5項目が野党の共通政策となる。
 各党の意見を受け、市民連合は「基本的な内容で合意した」「市民と野党の共闘を立て直していく一歩が踏み出された」と評価。国民民主党は参加しないと表明した。(中)