改憲の動きをウオッチング

(2023年11月8日号)

2023/11/08
■なぜ、「敵基地攻撃能力の保有」を急ぐのか
  木原防衛相は10月10日の記者会見で、「2026年度の配備開始を目指している国産の長射程ミサイル全種類について整備の時期を前倒しできないかどうか防衛省内で検討している」(東京)と明らかにした。10月4日のオースティン米国防長官との会談で、日本が米国製巡航ミサイル「トマホーク」の導入を始める時期を1年前倒しして、25年度とする方針で一致したのに続く対応で、違憲の敵基地攻撃能力の保有に前のめりの姿勢をあらわにした。木原氏は、中国や朝鮮、ロシアなどの軍事活動の活発化を念頭に、「より厳しい安保環境を踏まえて、前倒しする必要があると判断した」(同)と語り、説明にもなってない。
 敵基地攻撃能力は長射程ミサイルで他国領域の軍事拠点などを直接攻撃する能力である。岸田政権は昨年末、安保関連三文書に保有を明記した。「専守防衛」の神髄は、他国を攻撃する能力を持たないということだったはずだ。
 【敵基地攻撃に使用できる長射程ミサイルの主な種類】―東京新聞
 《米国製》
•トマホーク  1600キロ。艦艇から発射。命中精度は高いが、低速が難点
《国産》
•12式誘導弾 1000キロ超。低速だが、相手レーダーに探知されにくい
•高速滑空弾 2000キロ超。 地上から発射。高速で、迎撃困難で、弾の破片が広範囲に飛散する
•極超音誘導弾 2000キロ超。音速の5倍以上と超高速で、破壊力が高い
■岸田政権ノー 支持率の低迷続く 世論調査
  与野党対決となった衆参2補欠選挙が10月22日、投開票された。参院徳島・高知補選では立憲、社民、共産、新社などが支援する野党候補が勝利した。衆院長崎4区補選は接戦の末、立憲の候補(社民推薦、共産自主的支援など)は惜敗した。いずれも元は自民党の議席。岸田政権に対する国民の厳しい批判のあらわれである。
 内閣支持率もしかりである。10月の報道各社の世論調査でも支持率の低迷が続く。毎日、朝日、共同通信をみる。
 毎日(10月14、15日実施)の内閣支持率は25%で、発足以来最低だった9月の調査と同率で、不支持率も68%で横ばいだった。政権維持の「危険水域」とされる支持率が30%を下回るのは4カ月連続。臨時国会の焦点である総合経済対策に対して「期待しない」は63%で、「期待する」21%を大きく上回った。
 朝日(10月14、15日実施)では支持率は8ポイントも下落し29%に(30%割れ)、発足して2年で最も低くなった。不支持率も60%(前回53%)に上がり、2012年末に自民党が政権復帰して以降の3代の内閣を通じて最も高い。総合経済対策に「期待できない」は69%を占めた。
  共同通信(10月14、15日実施)は9月調査から7・5ポイント下落し32・3%で発足後最低。不支持率は9月の調査から12・8ポイント跳ね上がり52・5%、過去最高となった。
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