改憲の動きをウオッチング

(2023年10月25日号)

2023/10/25
■憲法の平和主義はいま崖っぷちに 「死の商人国家」を許すな 学者ら共同声明
  共同声明は冒頭で、「日本が殺傷武器を輸出することは、『メイド・イン・ジャパン』の武器によって他国の人々が殺傷されるようになることを意味する」と強調。
  防衛装備移転三原則の運用指針の見直しをめぐる自民・公明の与党実務者協議が進められている中で、政府がこれまで禁じられていた殺傷武器の輸出を認める見解を示した。学者、専門家、NGO活動者ら22人が10月3日、殺傷武器の輸出に反対する共同声明を発表した。
 声明は、1967年の武器輸出三原則以来掲げてきた「国際紛争を助長しない」という原則を踏みにじるものであると指摘し、また、「1981年、衆参両院は武器輸出三原則の厳格な運用を政府に求めて、全会一致で国会決議を行っている」と強調し、「その『国是』を、わずか12人の与党の政治家が密室協議によって覆そうとしている。これは、主権在民とは相容れない独裁的な手法である」と厳しく糾弾。
  声明は最後に、(1)与党実務者チーム(与党実務者協議)をただちに解散させ、閉会中審査を含め、国会で期限を設定せずに徹底した議論を行う、(2)殺傷武器の輸出を解禁しない、(3)次期戦闘機の日英伊共同開発の中止、(4)武器輸出に多額の税金を投入する軍需産業強化法を廃止する、ことを強く求めている。
■政府の専横許すな 沖縄の民意は揺るがない
 沖縄県の敗訴が確定した9月4日の最高裁判決以来、政府の強硬姿勢は一層あらわになった。
 「判決から15日後の19日、政府は国連人権理事会出席のため玉城知事がスイス・ジュネーブに滞在しているにもかかわらず、『27日まで』の期限付きで承認勧告を県に発出した」(琉球新報)。玉城知事は期限の27日に「期限までに承認を行うことは困難」と回答。事実上の不承認である。
 政府は矢継ぎ早に翌28日、「10月4日まで」という期限付きで承認指示を出した。知事が4日、「承認困難」と回答すると政府は5日、大浦湾側の軟弱地盤改良工事を巡る代執行訴訟を福岡高裁那覇支部に提起した。知事に代わって国が承認することが目的。訴状は「20日までに指定される口頭弁論で終結し、速やかに判決がされるべき」と即日結審を主張。まさに、沖縄の民意を圧殺する暴挙だ。(10月11日記)
 知事は「承認困難」とした理由として、「最高裁判決の内容を精査した上で対応を検討する必要があること、県民や行政法学者などからさまざまな意見が寄せられ、県政の安定的な運営を図る上で意見の分析を行う必要があること」を挙げた(同紙)。「承認は困難」という知事の判断は新基地建設に反対し政府に抵抗する道筋を残したものだろう。(その後、10月11日夜、玉城知事は国の代執行訴訟に対し応訴すると発表。「国と我々の主張があまりにも食い違っている」と争う姿勢を明確にした=10月12日に編集部で追記。)
  仮に代執行で大浦湾の埋め立てが承認されたとしても水深90メートルの海底に7万本余もの砂ぐいを打ち込む難工事。工法は確立されておらず、土木工学的にも難しいと言われている。
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