改憲の動きをウオッチング

(2023年9月13日号)

2023/09/13
武器輸出の全面解禁へ道開く 自公政権協議 NO!殺傷兵器 憲法9条の理念を投げ捨てるな
 「武器輸出への厳しい自制を緩め、殺傷兵器にも道を開こうという岸田政権の意思が明白になった」(8月25日付・朝日社説)。
  昨年末に閣議決定した安保関連3文書に基づいて、自公政権は「防衛装備移転三原則」(武器禁輸措置を取っていた「武器輸出三原則」を2014年に見直し策定)とその「運用指針」の見直しを急いでいる。
 自民・公明両党は、7月に「論点整理」を行い、具体的な提言は秋以降に協議を再開しまとめることを確認していたが、岸田首相の早期再開の指示によって8月23日、実務者協議を再開した。
  「運用指針」は、「救難、輸送、警戒、監視、掃海」の5類型にかかわる武器の輸出を認めており、政府はこれまで殺傷能力を持つ武器は含まれないと説明してきた。ところが、政府は与党協議で5類型の活動目的に当たれば殺傷能力のある武器の輸出は可能との見解を示した。国会審議抜きの重大な方針転換である。
 また、現行は他国と共同開発する武器について日本から第三国への輸出は認められていないが、政府は、英国・イタリアと共同開発する次期戦闘機を念頭に、第三国への輸出を解禁する見解を明らかにした。与党側はいずれも大筋で賛同している。なお、与党では「5類型を撤廃すべき」との意見も強いようだが、撤廃されれば武器輸出の全面解禁につながる。
 「国会での徹底した議論や国民的な合意形成を欠いたまま、戦後の安保政策を大転換させた安保3文書改定のようなことが繰り返されてはならない」(同上社説)
改憲の突撃隊 維新・国民など緊急事態条項や9条めぐりシンポ
  本隊である自民党を差し置いて日本維新の会、国民民主党、衆院会派「有志の会」が8月19日、緊急事態条項や9条めぐりシンポジウムを開いた。
  「有志の会」の北神氏は「自衛隊は国際法上、極めて曖昧な存在だ。国土、国民を守るためには、世界標準の軍隊としての位置づけをすべきだ」と主張した。
 この意見に対して維新の馬場氏は「(国民に)なかなか受け入れてもらえない。9条は(国民投票で)絶対に通る案を出さなければいけない」と反論。1項と2項を維持した上で自衛隊の存在を「加憲」する改憲が妥当だと強調した。
 国民の玉木氏は9条2項が焦点になると言及し「(自衛隊を)戦力として認めて正面から制約をかける改正が必要だ」(以上、毎日)と主張した。
  3党派は緊急事態条項創設の改憲案を発表しているが、9条改憲では三者三様、足並みがそろっていないことが明白になった。
岸田内閣 支持率の低迷続く 各社世論調査
 各社の8月後半の世論調査でも岸田内閣の支持率の低迷が続いている。
 毎日(8月26、27日実施)の調査では、前回(7月)から2ポイント減の26%、不支持率は3ポイント増の68%。政権維持の「危険水域」とされる支持率が30%を下回るのは2カ月連続。
 日経の調査(8月25〜27日)では支持率は2%上昇したが42%にとどまり、不支持率の50%を下回った。
  読売(8月25〜27日)では支持率は前回と同じ35%、不支持率は2ポイント減の50%だった。
 大きな政治問題になっているマイナンバーカードのトラブルへの対応や
健康保険証廃止、原発汚染水放出に対して、多くの国民が「ノー」の声を突きつけており、支持率低迷の大きな要因になっている。(中)