改憲の動きをウオッチング

(2023年8月9日号)

2023/08/09
■緊急事態条項は立憲主義を破壊する劇薬 秋の衆院憲法審で焦点に
  前号で触れたように、秋の臨時国会(衆院憲法審査会)で、緊急事態条項新設の条文案が大きな焦点になる。
  自民党らは、全国的な草の根運動として「緊急事態に関する国会審議を求める意見書」を地方議会で採択する取り組みを行っている。すでに複数の県議会や市区町議会で採択されている。
 また、「感染症と自然災害に強い社会を・ニューレジリエンスフォーラム」は7月24日、政府に「感染症の流行や大規模災害などに即応できる法整備」が必要だとして、緊急政令の制定などを認める緊急事態条項の新設を提言した。岸田首相は「(憲法審査会で)前向きに話が進むことを期待している」と回答した(毎日)。
  緊急事態条項を新設する改憲策動が強まっている。自民党の改憲案の緊急事態条項には議員の任期延長と内閣による緊急政令の制定(法律と同一の効力を有する政令の制定)が盛りこまれている。
 議員の任期延長について、憲法学者の長谷部恭男・早稲田大大学院教授は、参院の憲法審査会で「民意を反映していない政府がそのまま政権の座に居座り続ける」ことになると権力の乱用を警告する。
 緊急事態条項乱用の苦い経験を踏まえて、現行憲法には規定がない。緊急事態条項の新設は昨年の年末、専守防衛を投げ捨てた戦後の安保政策の大転換と一体で、「戦争する国づくり」を推し進めるものである。
 内閣に法律と同一の効力を有する政令を制定する権限を与えれば(緊急政令)、政府が国会の立法権をはく奪し、権力を内閣に集中させることによって人権制限を容易にし、立憲主義を破壊する。事実上の憲法停止であり、ヒトラー・ナチスの全権委任法を彷彿させる。
  緊急事態条項新設の改憲策動を絶対許してはならない。新しい戦前にしないために、眦(まなじり)を決して闘い抜こう。
■内閣支持率28%に下落  毎日調査
 マイナンバーをめぐるトラブルが絶えないなかで、報道各社の世論調査で岸田内閣の支持率の下落が続いている。
 「毎日」の調査(7月22、23日実施)によれば、岸田内閣の支持率は28%だった。支持率が30%を下回るのは2月調査(26%)以来5カ月ぶり。不支持率は前回調査(58%)から7ポイント増の65%。自民党の支持率も、これまで30%前後で維持していたが24%に下落した。
 マイナンバー制度への不安も高い。「毎日」の調査では、63%が「不安を感じる」と回答。「感じない」の25%を大きく上回っている。マイナンバーカードについて「メリットを感じない」は50%に上り、「感じる」の41%を上回っている。
 これまで3割前後だった自民党支持率も3割を切り24%に下落。同党への不信も高まっている。 マイナカード強制反対・健康保険証廃止反対の世論と運動で、岸田内閣を追い詰めよう。(中)