改憲の動きをウオッチング

(2023年7月26日号)

2023/07/26
■秋の臨時国会 「緊急事態条項」の改憲条文案が焦点に
 岸田首相は、来年9月までの任期中に改憲を実現すると強調している。国民投票法は、国会で発議した日から起算して60〜180日以内に国民投票を行うと定めている。
 来年9月の任期までに改憲を実現するには、今秋9月の臨時国会で改憲原案をまとめ、来年の通常国会で発議しなければならないだろう。
 改憲5会派は、緊急事態条項の一部である「議員任期延長が必要」との立場で一致している。
 公明党の北側憲法調査会長は、記者会見で「具体的な改正条文案も念頭に、多くの会派間で合意形成が図れるか。臨時国会での焦点になる」(時事)と指摘している。
 改憲勢力のスケジュールどおり進むのか。立憲民主や共産は任期延長に強く抵抗している。
 参院憲法審査会は、衆院に比べて議論が遅れ気味。今後、54条の「緊急集会」などの論点整理を行う予定で、衆・参で足並みがそろっていない。
 公明内の衆・参でも足並みが乱れている。任期延長に関し、衆院は前向きだが、参院は「基本は緊急集会で対応する」(同)と慎重だ。臨時国会で解散があれば、改憲スケジュールにも影響してくる。
 大軍拡反対、改憲阻止の国民世論を盛り上げていくしかない。
■「死の商人」への道 自民・公明が武器輸出で合意 政府は秋にも結論
 「憲法で平和主義を掲げる国として、国際紛争を助長する武器輸出国にはならない。それが武器輸出3原則と、それを引き継いだ現行の防衛装備移転3原則の根幹のはずだ。なし崩しに殺傷能力のある武器の提供に道を開くことは許されない」。引用が長くなったが、武器輸出の推進・拡大に向けて自民、公明がこれまでの議論をまとめた「論点整理」に対する朝日の社説である(7月7日付号)。
 自民、公明両党は7月5日、武器輸出ルールを定めた「防衛装備移転3原則」の見直しを検討していたが殺傷兵器の輸出を容認する論点整理をまとめた。
 3原則の運用指針では、輸出を認めるのは救難、輸送、警戒、監視、掃海の5類型に限定している。ただし、5類型に該当しても、人を殺傷し、物を破壊する武器は含まれないとしてきた。自・公はこれを180度転換し、殺傷兵器の輸出を容認した。また、論点整理は他国と共同開発した武器を相手国と同様、日本からも直接輸出できるようにすべきだという意見が大勢だったとした。英国、イタリアと次期戦闘機の開発を決めている。
 さらに論点整理は、5類型の撤廃を求める意見もあったとしている。
 纐纈厚・山口大名誉教授(政治学)は「5類型の規制も解釈変えする議論を行っているのは驚きだ。政府・与党は殺傷能力があるものを含め武器輸出大国の道に突き進もうとしており、憲法の平和主義を踏みにじっている」と批判している(東京)。
 岸田政権の常套手段となった「国会抜き」で、重大な方針の大転換は許されない。(中)