改憲の動きをウオッチング

(2023年5月24日号)

2023/05/25
■憲法施行76年 岸田首相「9条改憲に挑戦し続ける」
  改憲の本丸は9条。岸田首相は憲法記念日の5月3日、改憲派の集会にビデオメッセージを寄せ、自衛隊明記などの9条改憲について「極めて重要だ。挑戦し続けなければならい」と改めて決意を表明した。
同集会には自民、公明、維新の会、国民民主の幹部らも出席し、あいさつを行った。
■岸田政権「新しい戦前」へ 稀代の悪法次々と衆院で強行可決
健康保険証を廃止する「マイナンバー法案」や原発運転を延長する「原発推進法案」、国連が国際法違反だと指摘する「入管法改定法案」など国民の暮らしと平和を壊す悪法は、自民、公明、維新、国民が衆院でことごとく強行可決。「新しい戦前」がまた一歩進んでいく。
  さらに「新しい戦前」に向かって岸田政権の暴走はとどまるところがない。武器の開発や輸出を支援する「軍需産業支援法案」は、立憲を巻き込み採決が強行された。反対したのは共産とれいわの2党のみ。
また、43兆円の軍拡を進める与野党対立の「軍事費増額財源法案」は、財務金融委員長が「質疑を打ち切って採決を強行しようとしている」として立憲、共産が委員長解任決議案を提出。このため与党は5月10日中の採決を断念。来週の本会議で強行可決を狙っている(5月11日現在)。
これらの法案は安保関連3文書に基づく「戦争する国づくり」を具体化するものである。
  そして政府は、「途上国支援の新たな枠組みとして『政府安全保障能力強化支援(OSA)』を設けた」(東京)。これは非軍事原則の政府開発援助(ODA)とは別枠で他国軍(「同志国」の軍)への武器供与などを可能にするもの。本年度予算に関連経費として20億円が盛り込まれている。
憲法の平和主義を覆す暴挙である。すでに与党は殺傷能力のある武器の輸出も含めて協議を始めている。「国際紛争を助長する武器の輸出国にはならない。この誓いは、憲法で平和主義を掲げる国の根幹である。殺傷能力のある武器の提供に道を開くことは、長年守ってきた原則に背くものであり、容認できない」(朝日・社説)。
戦争への準備が急ピッチで進んでいる。「政府は、防衛相が有事の際、自衛隊法に基づき海上保安庁を指揮下に置く手順を定めた『統制要領』を決定した」(琉球新報)。「統制要領」は自衛隊と海保の軍事的な一体化を推し進めるものだ。
  沖縄には民意を踏みにじって、地対空誘道弾パトリオットPAC3が先島(宮古島、石垣、与那国など)に配備された。先島への配備は北朝鮮の軍事偵察衛星発射に備えたもので、浜田防衛相は「破壊措置準備命令」を出している。
  「住民生活との軋轢(あつれき)を招くようなPAC3配備をはじめ軍備増強は受け入れるわけにはいかない」(琉球新報社説)。「有事」になれば沖縄が真っ先に攻撃される。先の大戦で唯一地上戦を経験している沖縄を再び戦場にしてはならない。(中)