新社会兵庫ナウ

水脈(2022年7月13日号)

2022/07/13
 本号が届く時には参院選の結果は出ているが、いまはまだ選挙戦の真っ最中。個人的な感想で恐縮だが、今回の選挙で強く感じたのは、この国の政治の先行きへの怖さだ▼コロナ禍や急激な物価高が暮しや営業を厳しく襲っていても、与党から聞こえてくるのは、そのことよりはむしろ日本の防衛力の強化、軍備増強の議論である。ウクライナ戦争を奇貨として、「抑止力」の強化が声高に叫ばれ、こともなげに防衛費のGDP比2%以上への増額、すなわち5兆円以上の増額が主張され、これに同調する野党もある。だが、その現実的な根拠については何も語られず、財源すらも不明だ。現実に基づかない、夢想のような議論が、しかも戦争にかかわる議論が、さほどの抵抗もなく、「2%ありき」で平然と行われている、この今の空気感が怖いのだ▼5兆円とはとんでもない額である。東京新聞の記事によると、年金受給権者(4051万人)全員に1人年12万円を追加支給しても5兆円弱。公的保険医療の年間自己負担分(1〜3割)をゼロにしても5兆円強。消費税率を2%引き下げる財源にもなる(4兆3千億円余)▼それでも、「戦争する国」に進むための掛け捨てのような保険料の方が大事なのか。