新社会兵庫ナウ

おんなの目(2022年4月13日号)

2022/04/13
孫守りを楽しみつつ
 
 「いっしょに砂遊びしようよ」と孫にせがまれ、砂のプリンを作ったり、お店屋さんごっこをしたり。「娘たちとはあまりした記憶がないな」と思いつつ。どうしてあまりしなかったのかな?平日は保育所の送り迎え、家事、育児。土日は翌週の買物、掃除……と、公園でゆっくり遊んでいる余裕がなかったかなと思う。
 昨年4月から仕事を短時間コースに転換し、休みの日は娘たちの家に手伝いに行ったりしている。
 短時間コースには、4週間に10日出勤するコースと、これまでどおり出勤して4時間勤務するコースがあるが、私は前者のコースだ。初めて短時間コースの話を聞いた時は、これまでの半分働くが、基本給は私の場合、3分の1未満になってしまうので、「こんなの、転換する人もいるのかな?」なんて思っていたが、長女から「2人目ができたら手伝って欲しい」と言われ、また、年金開始が65歳、定年が昨年から65歳まで延長されたという状況もあり、コース転換することにした。
 娘から「お母さん、働きながら、ようやったね」と言われて、これまでのことを振り返ることも多いのだが……。
 私が出産した頃には、私の職場には育児休暇がなかったので、産後8週間で出勤する直前、とても不安だったことを今も覚えている。地域の託児所、保育所、職場の育児室、それを運営していた労働組合、両親等、たくさんの方々に支えられながら、夫と分担して働き、長女がやっと小学校に入学。ところが、娘は学童保育等になかなか慣れなくて、朝に夕に「お母さんお仕事止められないの?」と泣くので、精神的にもつらかった。学童保育でも、指導員さんや親どうし、細かなことも相談しながら、娘もだんだんと慣れていくことができた。娘たちが大きくなると、親の介護、職場のパワハラ管理者等、大阪駅でふと立ち止まって帰りたくなったことが何度あったことか。
 さて、今はどうだろうか。育児休暇が男性も含めて取得できるようになり、看護休暇、介護休暇もできたが、これらは、正社員として就職できたらということが前提にある。正社員として採用されることが今はとても狭き門となっている。
 娘たちの働いていた職場は、育休どころか、結婚、妊娠、出産して働き続けられる職場ではなくて、それぞれ結婚や出産を機に退職してしまった。次女が保育所について役所に相談に行ったところ、「無認可の託児所等にとにかく預けて働いている人が優先されるので、入所申請を出してもらっても、まず無理でしょう」と言われたそうだ。少子化が問題視されて久しいが、保育所事情はまだまだ厳しく、預けて就活するということも難しい状況だ。
 あまり希望の持てるものは少ないが、使えるものは使って、サポートできるところはこちらも孫守りを楽しみながら手伝って、「また働きたい(働かざるを得ない?)」思いをつなげてやれたらと思う。社会に目を向けながら。(YN)