新社会兵庫ナウ

地域ユニオンあちこちあれこれ 376

2021/09/14
飲食で組合の抱き込み図る不当労働行為
 
 昨年3月、尼崎市が保有する尼崎交通事業振興(会社)の株式を阪神バスに売却する覚書を締結したことから、武庫川ユニオンの職場分会である尼崎交通ユニオンの組合員らが雇用不安を抱き、株式売却反対の闘いに立ち上がった。会社には、ほとんどの組合員が所属する第1組合と、そこから分裂した第2組合があり、第1組合の組合員の一部で武庫川ユニオンの分会を結成していた。
 阪神バスへの株式売却反対には、企業内のすべての労働組合が立ち上がり、会社に対して団体交渉を求めた。すべての労働組合が株式売却反対を訴えたのは、「阪神バスの人たちはあいさつもしてくれない」「下に見られている」「阪神バスの方が休日が少ない」からだった。交渉にはすべての組合から役員が出席した。
 ところが、会社はユニオンや管理職に内緒で交渉メンバーとフグ屋で飲食したことが発覚。会社は「従業員と飲食して何が悪い」と開き直り、労働委員会での闘いが始まった。
 8月12日、証人尋問が行われた。不当労働行為の張本人である部長は、交渉でウソの回答をしたこと、フグ屋での飲食は割り勘だったと答えながら会社から事前に7万円を出金していたことなどを証言。しかも、フグ屋では退職金の上積み案を提示していたのである。
 その後に起きたユニオンからの大量脱退は、フグ屋で提示された退職金に他の従業員がつられたからである。のちに作られた第3組合は、ユニオン組合員に対して敵意をむき出しており、排除まで公言している。そんな組織は労働組合ではない。
 会社は年間4千万円の利益をあげる優良企業だ。私たちはこの争議の早期解決を願っている。そのために、会社は自らの不当労働行為を見える形で謝罪し、再発防止を誓うとともに、正常な労使関係構築に向けて心を入れ替えてほしい。
 私たちは、一部の者たちだけの利益ではなく、全従業員が幸せになる労働条件の改善に全力で取り組みながら、組合員の拡大を目指していきたい。
塚原久雄(武庫川ユニオン書記長)