新社会兵庫ナウ

水脈(2021年8月10日号)

2021/08/11
 日本の金メダルラッシュを沸き立たせる報道の一方で、新型コロナの新規感染者数が過去最高を更新していく。テレビ画面では、歓喜に沸く五輪競技会場の光景を背景にして東京の感染者数が3千、4千を超えたとのテロップが流れる。この異様な同居に、大抵の人は違和感を覚えたことだろう▼だが、違和感どころか、「(新型コロナ対策は)想定内のレベルで対処できている」と平然と言い放っ人たちもいる。武藤オリパラ組織委員会事務総長の会見内容(1日)に驚き、呆れてしまった。まあ、そりゃそうだろう、「安全・安心」と言い募って開催を強行した手前、口が裂けても「危機的な事態だ」とは意地でも言うまい。首相も都知事も、感染の急拡大に五輪が与える影響や五輪との因果関係を否定することに躍起だ▼こうして、人心はさらに離れていき、協力を求める国からのメッセージも国民の心にはなかなか響かない。国民の声に耳を傾けず、五輪開催反対論を「開催されれば国内の雰囲気も変わる」と切り捨て、国民を馬鹿にした言動は、結局は自分たちに返ってくるブーメランになるだろう。国民を馬鹿にした結果はどうなるか、私たちは総選挙でそのお返しをしっかりとしなければなるまい。