新社会兵庫ナウ

地域ユニオンあちこちあれこれ371

2021/06/22
裁判闘争を通じて見えてきた課題
 
 はりまユニオンが2020年に受けた相談では解雇をめぐる問題が約8割あった。どの案件も団体交渉を申し入れると、使用者から委任された弁護士が対応してくる。そして、交渉を繰り返しても、最終的な結論として「裁判」という手段で揺さぶってくる。
 藤興業の解雇撤回とNTT関連会社の解雇撤回を求めた2件の裁判を通して学んだことである。
藤興業の解雇撤回と損害賠償を求めた裁判は、当事者から無収入になって家族の間がギクシャクした状態だとの悩みが出され、裁判が長引くと闘いきれるかどうか不安だとの意見も出され、短期で決着できる労働審判を選択した。
 NTT関連会社の解雇撤回の闘いは、団体交渉の日時も決定していたが、コロナを理由に書面による交渉になった。交渉を繰り返してきたが、解決に至らないので、団体交渉を開くことを要求したら、会社側は交渉を拒否し裁判で争うと通告してきた。裁判で闘いたいが、その費用がない。解雇されて無収入である。出た結論は、費用の捻出ができないために、裁判を断念せざるを得ないということだった。
 解雇された当事者は、このまま泣き寝入りはできない、何とか解決したいと、裁判で闘う方針になる。しかし、当事者、ユニオンともに不安なことばかりである。正当な闘いなのに、裁判費用をどうするか。解雇されて無収入でその日の生活費さえも大変な状態で、裁判費用の捻出には二の足を踏まざるを得ない。
 ユニオンも日頃から裁判費用の積立金を準備はしていない。裁判になってから対応せざるを得ないのが現実である。
 これからも裁判での争いは避けられない。裁判費用や解雇されて無収入という状態への対応をどうするか。この間、そうした現実を体験して、今後の課題も見えてきた。財政の確保が不可欠である。そのためには、まずは組織の維持と拡大に力を入れることである。
 岩本義久(はりまユニオン書記長)