新社会兵庫ナウ

地域ユニオンあちこちあれこれ(2020年11月24日号)

2020/11/26
上司の虚偽報告と裁判で闘う 
 あかし地域ユニオンは今、1件の裁判闘争を闘っている。
主にNTT西日本の業務を請け負う株式会社ラピスネットには2人の組合員がおり、3カ月更新の契約をそれぞれ20年と10年を経て、今は無期への転換を済ませている。
 2017年11月15日、S組合員は突然、所長から「明年1月からの雇用継続はできない」との通告を受けた。ユニオンはすぐに会社に団体交渉を申し入れ解雇の撤回を迫ったが、会社側の主張は主に「Sさんは休み・遅刻・欠勤が多く上司の指示にも従わない」というものであった。だが、これは直接の上司による「雇い止め依頼」文書によるものである。2回目の交渉でS組合員は上司による文書がでたらめであることを主張し、ユニオンも解雇の撤回を強く求めた。この2回の交渉では合意に至らず裁判を決意して決裂したが、数日後、会社から再交渉の要請があり、①雇い止めは撤回して雇用を継続する、②本人には転勤してもらうとの提案があった。交渉は年末まで続き、1月以降の契約と居住地近くの事務所への転勤を合意して、18年1月4日、合意書を取り交わした。
 その後の検討により、会社が判断を変えた理由が、S組合員の主張を認めていないこと、上司による「雇い止め依頼」文書がでたらめであることなどがわかり、18年6月、明石簡易裁判所に民事調停を申し立てたが調停は不調となった。
 同年12月には上司2名に対して、神戸地裁明石支部に賠償請求の訴えを起こした。その内容は、①虚偽の勤務表により雇い止めを提案したこと、②転勤の際、大切にしてきた業務資料をシュレッダーにかけるなどひどい嫌がらせがあったこと、③親会社社員の生活調査を指示し、S組合員との関係を結びつけるプライバシーを侵害したことなどである。これらにより、S組合員が受けた精神的苦痛は計り知れないものがある。
 19年1月29日の第1回裁判期日から書面による論証・反論を繰り返して今に至っている。長い時間が経過しているが、同僚組合員と2人の元同僚からの陳述書もあり、応援は広がっている。2人の組合員の願いは、自由で楽しく働いてきた以前の職場を取り戻すことにある。
金平博(あかし地域ユニオン委員長)