新社会兵庫ナウ

おんなの目(2020年11月10日号)

2020/11/15
非正規で働く人、一緒に声をあげよう
 先日、大阪で開かれた「三池闘争60年シンポジウム」に参加した。その三池闘争の頃、私は小学生だったが、安保闘争と連動して日本中が盛り上がっていたのだろう、「安保反対!安保反対!」と意味も分からないままに子どもまでもが言っていたように思う。
 シンポジウムで、「三池闘争は、“差別を許さない闘い”であり、“人らしく働き、生きるための闘い”だった」と話されたことが印象に残っている。私たちの運動、“非正規労働者の闘い”と通じるものがあると感じたからだ。パネラーの上原康夫弁護士も最後に、「三池闘争からいま学ぶことは、格差是正と連帯、そしてディーセントワークだ」と話されていた。
 非正規で働く人は、同じ労働者なのに、低賃金が当たり前と差別されている。休暇もきちんと保障されていないので、子どもができたり、病気になったりすれば、仕事を辞めるか、解雇される。私たちは「差別せずに均等な賃金を」、そして「人として当たり前に生活しながら働き続けるために休暇を保障してほしい」と労働組合やユニオンで運動を続けている。三池の労働者のように無期限ストライキを打つというような果敢な闘いはできないが、労働組合のある職場の仲間たちは、あきらめず、粘り強く「均等待遇」と「雇用安定」をめざし、少しずつ人らしく生活し働き続けられる職場を作るため奮闘している。
 しかし現実は厳しく、公務パートでいえば、今までは地方公務員法の中できちんと位置付けられていない職員だったので、各自治体で都合のいいように、低賃金でいつでも解雇できる職員として働かされてきた。
 今回、法律が改正され、地方公務員法の「会計年度任用職員」(名称からして不満だが……)として位置づけられた。法改正の趣旨は「非正規職員の処遇改善」のはずが、兵庫県の自治体で働く臨時・嘱託職員は、今まで勝ち取ってきた退職金や一時金が廃止や減額とされ、何とか不利益変更のない条件を勝ち取るため、昨年度は必死で闘った。また、雇用は今まで以上に不安定となり、他にも課題はたくさんある。法改正はされたものの、今の法律も、結局は実態と合っていない法律だということだ。
 また、民間では、労働契約法20条で「雇用期間があることを理由に労働条件に差をつけてはいけない」とされているため、勇気を出して裁判を起こした仲間がいる。10月13日、大阪医科大学事件とメトロコマース事件の最高裁判決が出たが、私たち非正規の声は届かず、「格差があってもいい」とする判決で、とても悔しく腹が立った。
 今、日本中の非正規労働者が、三池労組のように一斉にストライキをすれば、この社会の機能はたちまちストップするぐらいに増えている。闘っている仲間を孤立させてはいけない。非正規で働く皆さん、あきらめず一緒に声をあげよう!
(森口知子)