新社会兵庫ナウ

若者のひろば(2020年10月27日号)

2020/11/01
私のライフスタイル
 地方公務員になることを決意したのは高校卒業時のときだった。とはいっても特にやりたい仕事はなく、「工場勤務とか営業勤務とかは嫌だから、事務職がいいな」とぼんやりと考えていた末に「事務職といえば公務員」と安直な考えのもとで生まれた決意だった。
 働きだす前まで役所勤務は、「ただ淡々と事務作業を進め、定時に退勤、土日祝は休み。給料や雇用は安定している」といったイメージを持っていた。
 しかし、入庁してから、毎日22時に退庁し土日も出勤している部署があることを知ったことを皮切りに、事務作業だけでなく鳥獣の処理などの仕事も役所がやっていることを知り、労働組合の学習会では過去に賃金の大幅の引き下げが行われたことを知る などして入庁3年くらいで就職前に抱いていたイメージは見事に打ち砕かれた。
 そしていつの間にか8年目になり、「中堅職員」と呼ばれるまでになった頃、突然今の仕事に嫌気が差した。
 地方議員の顔色ばかり伺って一般住民の要望は後回しにしていたり、全体的に考えが保守的すぎたり、意味がわからないところでこだわるがゆえに無駄な仕事になっていることがあったりなどを感じとり、「このままここで働いていけば、自分が腐っていってしまうのでは?」と思ったのである。
 それでも本気で仕事を辞めようと思わないのは、仕事より余暇の過ごし方を大切とする今のライフスタイルが生活に染みついているからだと思う。
 私の好きな余暇の過ごし方は、朝早く起きて車を走らせ、自然豊かな地で写真を撮ることや、自然に囲まれたキャンプ場にテントを張り、一晩ひっそりと過ごすことだ。このようにして過ごす時間は、仕事がどうであれ、腐らずに生きられる大きなエネルギー源になっている。
 そのようなライフスタイルのなかで、例えば土日祝も働き詰めとなることを考えると、考えるだけでうんざりする。やはり人間は、働くうえで休むことがかなり大切なことであり、生きるうえでゆっくり楽しむ時間が大事なのだと思う。
 最近よく「ワークライフバランス」という言葉を聞くようになった。また、時間外労働が原則として月45時間に上限が設定されたこと、年次有給休暇を年に最低5日を取得することが義務になったことも含め、いま世の中全体として働き方が見直されつつある。働き過ぎが問題視されるなか、良い流れになっていると思うし、労働者全体で一度考え直さなければいけない問題だと思う。
 私たちは仕事をするために生きているのではなく、好きな時間を過ごすために仕事をしている、と思う。
 今こそ労働者の総力を結集して、大きなひとつの声をあげるべきではないだろうか。
(I・R/26歳)