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過労死シンポジウムに参加

2024/01/24
 昨年11月22日、厚生労働省主催の過労死等防止対策シンポジウム(兵庫会場)が神戸市産業振興センターで開催され、参加してきた。
冒頭、ある過労死遺児の歌「ぼくの夢」の音楽が流れ、「タイムマシーンに乗ってお父さんの死んでしまう前の日に行って、仕事に行ったらあかんて言うんや」という子どもの切なる願いからシンポジウムは始まった。
 主催者等のあいさつが兵庫労働局、兵庫県、神戸市から順にあった。
「過労死等防止対策推進法」が施行されて今年で10年を迎える。この間、時間外労働上限規制の制定やパワーハラスメント防止に関する労働施策総合推進法の改正等、過労死防止の取り組みが実施されているところではあるが、いまだに時間外・休日労働が1カ月80時間を超える長時間労働をしている労働者が、全国に299万人もいるとのこと。なんと多くの方が過労死ラインで働いているのか驚いた。
 また、毎年11月を「過労死等防止啓発月間」と定め、過労死等を防止することを国民一人一人に広く関心と理解を深めてもらう取り組みも進めている。
 シンポジウムでは、企業からの取り組み事例として、株式会社成田から「仕事滞留を防ぎ残業削減、地球に寄り添える会社に」と題して発表があり、残業削減が会社内の人間関係の好循環や生産性の向上につながった話があった。
 基調講演では、高野山大学の森崎教授から「ねぎらいと働き―心配り(ケア)の観点から―」と題し、生きるとはどういうことなのかや命について熱く語られた。「私たちは疲れるんです。他者からの励ましも必要だし、労いも必要な生きものなんです。この生きものという認識が労働市場にどんどんと放り込まれると、ただの労働者になってしまう。しかも替えがきく。いま困っているのは、成果主義のこと。事情はどうでもいいからいついつまでにこれを達成しろ!となる。ロボットでも調子が悪くなることがあるのに。労働に入るとこれを一番にしてしまう。これは変えていかなくては」と語り、本当に核心をついていると感じた。
 最後に、「過労当事者の声」と題して、弁護士から過剰労働により精神障害を発生して損害賠償請求している事例の紹介があった。
田川裕一(はりまユニオン)