新社会兵庫ナウ

地域ユニオンあちこちあれこれ422
労働運動の後退と労働委員会の劣化

2023/11/22
 兵庫では「労働組合つぶしを許さない兵庫の会」を中心にして、連帯ユニオン関西地区生コン支部(関生支部)にかけられた刑事弾圧を糾弾し、闘っている。それは、たんに関生支部の活動が特別だからではなく、憲法で保障された労働三権を守る労働者・労働組合の闘いでもあるからだ。
 会社の組合員排除の攻撃に対して会社へ抗議を行うと、労働争議であるのに刑事事件にされるケースが兵庫でも出ている。
 こうした状況は、労働運動の後退に原因があるが、そればかりではない。労働委員会の場でもいつの間にか「常識」になりつつある問題がある。
 一つは、和解する時に求められる「口外禁止条項」だ。しかし、よく考えれば、和解はある意味で勝利であり、労働組合は組織拡大のチャンスを手に入れたのである。労働組合活動に対して「あれするな、これするな」という口外禁止条項そのものが、労働組合活動に対する支配介入ではないだろうか。裁判所の和解で明記される口外禁止とはまったく意味が違うことに気付くべきだ。
 もう一つは、労働委員会からの「和解の打診」である。先日も、救済申し立てをしたその場で、事務局から「和解はありますか」と問われたことに驚いた。組合員が差別をされ、会社から追い出されようとしているのに、申し立て時点でそのような打診があること自体、これまで経験がなかったことである。
 また調査期日で、ある委員から「和解はあるか」と打診され、「会社が非を認め、本人に謝罪を行うことが前提だ」と言うと、「謝罪と解決金は労働委員会では難しい」と言われた。悪いことをしたら謝るのは当然だし、中労委では和解時に解決金の支払いも行われることが多い。
 労働委員会の利用が少なくなると、その労働委員会で最も発言力のある委員の言葉が、事務局を含めその労働委員会全体を支配するのだ。こうした和解をめぐる労働委員会の劣化について、あらためて申し入れなどが必要であると思うが、これも労働運動が後退していることが大きく影響しているように思えてならない。
 おかしいと思ったら、まず文句をいう労働組合であり続けよう。
塚原久雄(武庫川ユニオン書記長)