新社会兵庫ナウ

水脈 (2023年10月25日号)

2023/10/25
 「フリースクールは国家の根幹を崩してしまうことになりかねない。」「文科省がフリースクールの存在を認めたことに愕然としている。大半の善良な市民は、嫌がる子どもに無理してでも義務教育を受けさせようとしている」▼これは不登校対策について議論する滋賀県の首長会議における小椋・東近江市長の発言だ。会議は報道陣に公開されていたので、終了後、記者から質問が殺到したが、「不登校は大半が親の責任。ごく少数の人を対象にフリースクールを認めて財政支援をしたら、安易にフリースクールに流れる」と、発言を撤回しなかった▼「義務教育は、親が嫌がる子どもを押さえつけてでも、大人が判断して勉強させる世界だ。フリースクールは親の安易性が出ている」―。こんな首長がいるのかと、憤りと共に情けない思いが交錯する▼学校に行けなくなってしまった子どもたちにも安心して参加できる教育の場は必要だ。40年近く前、悩みや葛藤の模索の中からフリースクールは生まれた。自分を否定しないでよい居場所の存在だ。文科省も、不登校の時期が休養や自分を見つめなおす積極的な意味を持つことがあるとしている。市長にはしっかりと事実を学んでもらいたい。