新社会兵庫ナウ

地域ユニオンあちこちあれこれ420
介護保険に見る日本の社会保障の貧弱さ

2023/10/25
 今年1月の当欄で「介護保険制度改悪の運動を」の表題で報告したが、以降、熟年者ユニオンでは討論を重ね、このほど熟年者ユニオンが呼びかけ団体となって別掲記事の通り、「介護保険の改悪に反対する兵庫の会」(略称)の結成の運びとなった。出発時に7団体が結集できたことは、介護保険改悪に対する関心が高まり、今後の運動の盛り上がりと他府県への波及の期待につながる。
 この欄では、この間の「裏方よもやま話」を2、3述べたい。介護保険に関する新聞の切り抜きを見ると昨年の11月頃より今年の春にかけて再三にわたって掲載されている。筆者が意識して取集したこともあろうが、厚労省等が来年度の第9期保険改訂に向けての報道キャンペーンを行ったともとれ、時々に高齢者人口の増大を口実にした保険料の値上げ、被保険者の年齢引き下げ、介護利用の1割負担を2割負担とする等の報道がなされた。自分たちが政治・経済等の問題意識に比べ社会福祉問題には関心度が低いのが常であり、まずはユニオン内部の資料の作成が求められ、新聞の切り抜き、厚労省HP、神戸市HP、書籍を読み返すなど俄か勉強をする破目となった。そして、「神戸市の介護保険のあらまし」(同様の冊子は各自治体で発行されている)を参考にして簡潔に「まとめ」が出来上がった。この冊子は、内容の良し悪しは別にして読者の方々にお薦めである、将来に介護保険を利用する時の備えとして一読されるとよい。
 今年3月に神戸市のHPで第9期事業計画策定が公募されているのに驚いた。保険事業の根幹をなすと思われる計画が民間委託とは。市行政の担い手は市職員ではないのかと疑問を持った。計画策定は、前述の冊子作成、計画検討での説明を含めて委託契約金1千万円での公募である。この手法は他の自治体でも同様に行われているようだ。この国の社会保障の貧弱さの一面を見る思いである。
菅沼祥三(熟年者ユニオン)