新社会兵庫ナウ

若者のひろば(2023年10月25日号)
48歳の再就職

2023/10/25
 23年間勤めていた「重症心身障がい児者入所施設(以降Aとする)」を退職し、2023年統一自治体選挙に挑みましたが落選しました。
 再就職へ向けて何度も通ったハローワークでは「在職中に腰痛など体の節々を痛めてしまったので特に腰に優しい業種はないか」「福祉施設でしか勤めたことがないので他業種への興味もある」といった希望を伝えました。しかし、「これまでのキャリアを活かすしか求人がない。あったとしても長距離運転手くらいで腰痛持ちには厳しいと思う」と希望は叶わなかったのですが、福祉事業所にはツテがありました。
 放課後等デイサービスを中心としたNPO法人(以降Bとする)に知り合いの理事長がいました。障がいのある息子さんがAに入所する際、私が担当したご縁で知り合った方です。選挙の出陣式にもお越し下さったのですが、落選後に「再就職先が決まっていないのであれば、Bに来てくれないか」と連絡があり面接に伺いました。事業概要や仕事内容の説明後、「サービス管理責任者の資格を取得し、事業の中心を担って欲しい」とのことでしたが「他にも候補があるので話を聞いてみたい」と保留しました。
 その候補は、障がい者居宅サービス(訪問介護・デイサービス・グループホームなど)を行う社会福祉法人(以降Cとする)です。Aを離職したメンバーで立ち上げた「障がい福祉を施設から在宅へ」を理念とした法人で、知り合いが多く在籍していました。「求人はありますか」と問い合わせると「年中、人出不足よ」との返答でした。そこでの面接は、労働条件・賃金など具体的な内容で「近い将来事業所を担う存在になって欲しい。すぐにでも来て」とB同様の評価でした。しかし賃金面では「Aでは年収500万円程度だった」と伝えると「400万円が精一杯」と現実は厳しいものでした。Bに結果を報告すると「とてもその金額は無理」との回答でしたので丁重にお断りするとともに、Cで勤めることにしました。
 今回の就職活動で、福祉現場の人出不足と低賃金が再認識できました。A在職中にも「募集しても応募がない」実態は把握していましたが、小規模事業所になるほど深刻です。「48歳の再就職」という現在の日本では非常に困難と思われる状況でも、福祉関係では引く手数多でした。その点では苦労しなかったのですが、賃金に関しては仕方ないと諦めざるを得なかったのも事実です。
 さて、同じ福祉の分野でもAとCでは「設備の整った施設と設備のない在宅での介護」や「重症心身障がい者と知的障がい者との関わり方」が大きく異なります。食事や排泄といった介護技術に関しては問題ないのですが、自閉症などを含む知的障がいの方とのコミュニケーションに比重が置かれる場面では、試行錯誤しながら日々勉強の毎日です。また有給休暇が取りにくい、休憩時間が取れないなど、前施設と同様の問題がありますが、その解消に向けて努めていきたいと思っています。
(要弘太)