新社会兵庫ナウ

私の主張(2023年10月11日号)
マイナトラブル続きの岸田政権にストップを

2023/10/11
(1)私はマイナカードを申請しない
 私は若いころからよく物忘れをして、時には落とし物もした。不注意が原因だが、生きている間は避けられない。暑い夏は上着を着ないので、ズボンのポケットにスマホを入れて外出するが、靴を履くときつかえるのでスマホを式台に置くと、そのまま置き忘れてしまう。以前、敬老優待乗車証を神戸市が交付したことがあったが、紛失して再交付してもらったことがあった。
 だがこれらは「1物1紛失」で済んだが、多くの紐付けを前提とするマイナカードはそうはいかず、持って歩く機会が増えるので紛失や悪用される機会がそれだけ増える。したがって、2万円欲しさにマイナカードで紐づけすると、紛失やセキュリティの心配をしてストレスをためて、体調を悪くするから、持たぬが勝ちである。
 
(2)保険医団体連合会のマイナトラブル件数の推計
 マイナカードのトラブルが続出している。本人ではない家族名義の口座が13万件、別人の受取口座が748件、マイナ保険証に別人の情報が7300件余、さらにマイナポイントを他人に紐づけしたのや、余分なお金を持っていない時の10割診察料の支払いは大変だ。また、別人の証明書発行もあったようだ。
 しかも、全国保険医団体連合会(保団連)の推計によると、本年3月末で全国の医療機関は約18万箇所ある。総人口に対するマイナ保険証所持率は6月末現在で約50%だから、外来における利用率から算出した係数に、保団連調査で判明したトラブル数を乗じて推計値を算出すると、保険資格の確認ができないので「無保険扱いで10割請求する件数が25万5千件」もあった。
 
(3)政府個人情報保護委員会がマイナトラブルでデジタル庁を立ち入り検査
 マイナカードに別人の銀行口座が間違って登録された問題で、政府の個人情報保護委員会は7月19日、デジタル庁に立ち入り検査を行った。その結果によっては、行政指導も検討するようである。Yahooニュースは「政権に逆風、河野氏は外遊中、デジタル庁に立ち入り検査、勢いづく野党」と強調して立ち入り検査で岸田政権への逆風が強まっていると報じている。また、毎日新聞の7月22、23日の世論調査では支持率が28%であった。G7の広島サミットで5月は45%に上昇したが、今回は2か月で17%も下落した。
 
(4)今年の4、5月で自主返納が急増

 岸田政権は2万円で国民を釣ったつもりだったので、健康保険証を廃止してマイナカードと一体化した「マイナ保健証」にする方針であった。しかし、相次ぐマイナカードトラブルで、自主返納はカード発行開始以来7年間で累計約47万件であったから、1か月平均で5595件になった。トラブルが表面化した6月は、返納が約2万件に激増した。大事な銀行の貯金が他人に紐づけされたら大変だから、2万円に騙された人が返納したからである。
 しかし、マイナ保険証の来年秋実施反対に目を奪われてはいけない。反対で頑張っても、秋実施を若干繰延するくらいで終わるので、マイナカードの撤廃に集中すべきである。
 
(5)今は国民がマイナカード反対で立ち上がるとき
 岸田政権は安全保障費を多額の国債発行(国の借金の増額) や、多種類の税金(所得税、県民税、市民税、固定資産税など)の増税と、国民負担率(健保や介護保険の掛け金)引き上げなどで賄うつもりだ。今までは日銀のゼロ金利政策で企業の金利負担を軽くし、安倍内閣の法人税引き下げで大企業に儲けさせた。だが、失われたこの20年に、労働者の実質賃金は横ばいと低下を繰り返した。そこに物価の高騰だから、この1年でつまずいている岸田政権をストップさせるかどうかで、今後10年の労働者の生活が決まる。
 大正時代の米騒動は、富山の女性たちが立ち上がって、それが全国に波及して寺内元帥軍人内閣を打倒し、日本で初めて原敬平民政党内閣が誕生した。日本の夜明けは、私の住む須磨からという心意気である。体調に気をつけて、岸田政権にストップをかけよう。
柳田勘次(熟年者ユニオン相談役。92歳)