新社会兵庫ナウ

水脈(2023年9月13日号)

2023/09/13
 単なる言葉ひとつにもそこに政治が絡むと、それが暴言とかの類でなくても騒がしくなる。立場上は「処理水」と言うべきところを「汚染水」と「言い間違えて」しまった農水大臣。直ちに謝罪と撤回となった▼「処理水」も事実の一端を言い表してはいるものの「汚染水」であることには違いない。海洋放出された福島の「原発汚染水」について、海外の報道では、例えばradioactive waterのように、「radioactive」という「放射性の(ある)」という言葉が必ず使われている▼民の反発を極力避けるため、都合の悪い事柄の本質をズバリ言い表す表現ではなくあいまいな言い回しで本質を隠そうとするのは為政者の常である。端的に言えば、ある種のゴマカシである。武器輸出三原則が防衛装備移転三原則に、敵基地攻撃能力が反撃能力に変えられたのも、その類だ▼気がつけば、日本のマスコミも、野党の一部までもが「処理水」という表現一色だ。どこか1社でも「汚染水」と言ったらどんな攻撃を「世間」から受けるだろうか。想像するのが恐ろしい。「新たな戦前」下、こんなところにも言論ファシズムのような状況がつくられているのか、とは言い過ぎだろうか