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私の主張(2023年8月30日号)
「マイナ保険証」問題で社会運動の再構築を
2023/08/30
ため息の出る自公政権の暴走
第2次安倍政権以来、自公政権の暴走が止まらない。惨憺たる結果になったアベノミクス、戦争する国づくり、モリ・カケ・サクラ、官僚の忖度、旧統一教会との融合、大軍拡の強行、無謀な大阪万博とIR……。挙げていけばキリがない。
「マイナ保険証」問題が急浮上
そんな中で、「マイナ保険証」問題が大きな社会問題として浮上してきた。「来年秋に健康保険証を廃止して『マイナ保険証』に一本化する法律」の成立前後から、公金受取口座の誤登録などトラブルが報道され始めた。
その後もトラブル報道が続き、政府はマイナンバー情報総点検に追い込まれ、来年秋の「一本化」が懸念される事態に至っている。
「マイナ保険証」問題の構造
問題は単にトラブル発生だけではない。
①「カードを作れない」「管理できない」など致命的なシステムの問題、②無責任な情報管理体制(多岐にわたる個人情報が紐づけされるが、損害を受けても、デジタル庁は責任を負わない)、③その保護されない個人情報が入ったカードを持ち歩かねばならない、④システムの構築と維持は、一部の企業の大利権、⑤ビッグ・データ(大量の個人情報)を使った医療産業を手始めとした大企業の利益追求、などである。
必要な事前の国民的合意
さらに重要な問題は、「情報」の民主的管理である。
社会にコンピュータが浸透するのは止めることはできない。最近話題になっているAIのChatGTPにしても、民主的な管理に向けて世界は動き出している。
DX(デジタル・トランスフォーメイション)と称して政府の一方的な支配の道具にされてはたまらない。医療情報のオンライン化は国民と政府の間の信頼関係が不可欠で、しかも入念な準備と試行のうえで透明性をもって実施すべきものである。
ところが、「マイナ保険証」は、「取得は任意」としたマイナカードを事実上義務化するもので、民主的どころか詐欺的手法である。
止まらない政府
DXを掲げる岸田政権は、これだけ問題・不信が噴出しても、「資格確認書」でお茶を濁して乗り切る構えだ。
簡単に撤回しない理由は、①デジタル庁を発足させ鳴り物入りでマイナカードを導入した責任問題と後処理の複雑さ、②デジタル化に完全に遅れをとった経団連をはじめとした大企業の危機感、③国民の無力感、の3つだ。
だが、このシステムでは「健康保険証の廃止」にはたどり着けない。一定程度のマイナカードを持たない人がいる限り、「資格確認書」を発行し続けるしかない。そうなれば、莫大な無駄な費用と作業が発生し、本来のDX社会構築自体がとん挫してしまうからだ。
つまり、政府が早々に撤退と再出発を決断するか、社会運動の高まりのなかで撤退に追い込むかなのだ。
日本社会に漂う無力感
前述したように、第2次安倍政権以来自公政権の暴走を止めることができていない。
2015年の戦争法反対では12万人が国会前に集結したが阻止できなかった。その後、様々な運動は徐々にやせ細ってしまった。
新聞・テレビは、ほぼ政府の統制下にある。国会は自公が絶対多数で、立憲野党は分断されている。その結果、社会運動は盛り上がらなくなっている。国民の多くは、特に若い世代ほど、何をやっても無駄だと現状を受け入れて諦めてしまっている。心理学用語でいう「学習性無力感」に陥っているのだ。
社会運動での成功体験を
「学習性無力感」からの脱却に最も効果があるのは成功体験である。小さな成功体験を積み上げると「変えることができる」という「自信」がついてくる。すると「もっと変えよう」という意欲が出てきて、脱却できる。
私は、この「マイナ保険証」問題はその絶好のチャンスだととらえている。①知れば知るほど、不信と怒りがわいてくる、②全世代にとって切実な課題である、③少なくとも「延期」に追い込める、④「延期」になれば、問題の本質と民主的な解決策を打ち出す大きな運動体を作れる、からだ。
兵庫県下における取り組みとして、別記の「市民の集い」が開催される。1人でも多くの方の参加をお願いしたい。
佐野修吉(憲法を生かす会・西神戸連絡会 事務局長)
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第2次安倍政権以来、自公政権の暴走が止まらない。惨憺たる結果になったアベノミクス、戦争する国づくり、モリ・カケ・サクラ、官僚の忖度、旧統一教会との融合、大軍拡の強行、無謀な大阪万博とIR……。挙げていけばキリがない。
「マイナ保険証」問題が急浮上
そんな中で、「マイナ保険証」問題が大きな社会問題として浮上してきた。「来年秋に健康保険証を廃止して『マイナ保険証』に一本化する法律」の成立前後から、公金受取口座の誤登録などトラブルが報道され始めた。
その後もトラブル報道が続き、政府はマイナンバー情報総点検に追い込まれ、来年秋の「一本化」が懸念される事態に至っている。
「マイナ保険証」問題の構造
問題は単にトラブル発生だけではない。
①「カードを作れない」「管理できない」など致命的なシステムの問題、②無責任な情報管理体制(多岐にわたる個人情報が紐づけされるが、損害を受けても、デジタル庁は責任を負わない)、③その保護されない個人情報が入ったカードを持ち歩かねばならない、④システムの構築と維持は、一部の企業の大利権、⑤ビッグ・データ(大量の個人情報)を使った医療産業を手始めとした大企業の利益追求、などである。
必要な事前の国民的合意
さらに重要な問題は、「情報」の民主的管理である。
社会にコンピュータが浸透するのは止めることはできない。最近話題になっているAIのChatGTPにしても、民主的な管理に向けて世界は動き出している。
DX(デジタル・トランスフォーメイション)と称して政府の一方的な支配の道具にされてはたまらない。医療情報のオンライン化は国民と政府の間の信頼関係が不可欠で、しかも入念な準備と試行のうえで透明性をもって実施すべきものである。
ところが、「マイナ保険証」は、「取得は任意」としたマイナカードを事実上義務化するもので、民主的どころか詐欺的手法である。
止まらない政府
DXを掲げる岸田政権は、これだけ問題・不信が噴出しても、「資格確認書」でお茶を濁して乗り切る構えだ。
簡単に撤回しない理由は、①デジタル庁を発足させ鳴り物入りでマイナカードを導入した責任問題と後処理の複雑さ、②デジタル化に完全に遅れをとった経団連をはじめとした大企業の危機感、③国民の無力感、の3つだ。
だが、このシステムでは「健康保険証の廃止」にはたどり着けない。一定程度のマイナカードを持たない人がいる限り、「資格確認書」を発行し続けるしかない。そうなれば、莫大な無駄な費用と作業が発生し、本来のDX社会構築自体がとん挫してしまうからだ。
つまり、政府が早々に撤退と再出発を決断するか、社会運動の高まりのなかで撤退に追い込むかなのだ。
日本社会に漂う無力感
前述したように、第2次安倍政権以来自公政権の暴走を止めることができていない。
2015年の戦争法反対では12万人が国会前に集結したが阻止できなかった。その後、様々な運動は徐々にやせ細ってしまった。
新聞・テレビは、ほぼ政府の統制下にある。国会は自公が絶対多数で、立憲野党は分断されている。その結果、社会運動は盛り上がらなくなっている。国民の多くは、特に若い世代ほど、何をやっても無駄だと現状を受け入れて諦めてしまっている。心理学用語でいう「学習性無力感」に陥っているのだ。
社会運動での成功体験を
「学習性無力感」からの脱却に最も効果があるのは成功体験である。小さな成功体験を積み上げると「変えることができる」という「自信」がついてくる。すると「もっと変えよう」という意欲が出てきて、脱却できる。
私は、この「マイナ保険証」問題はその絶好のチャンスだととらえている。①知れば知るほど、不信と怒りがわいてくる、②全世代にとって切実な課題である、③少なくとも「延期」に追い込める、④「延期」になれば、問題の本質と民主的な解決策を打ち出す大きな運動体を作れる、からだ。
兵庫県下における取り組みとして、別記の「市民の集い」が開催される。1人でも多くの方の参加をお願いしたい。