新社会兵庫ナウ

地域ユニオンあちこちあれこれ416
最賃引き上げと春闘

2023/08/30
 小売業の嘱託職員の労働条件改善に取り組んでいる。嘱託職員は時間給制で、夏・冬の一時金支給がなくなり、年収は正規職員当時の40%になる。業務内容はほとんど変わらず、労働時間は正規職員よりも短くなる。
 要求した当初、法人は嘱託職員の労働条件の改善に着手する気はなかったが、社会の流れや人手不足を補うため、改善に着手した。改定する要因の1つは、最低賃金(以下、最賃)の引き上げに賃上げが追いついていかないからだろう。
 法人はこれまでの制度を変え、「最賃」+「嘱託給」+「職務給」とすると提案。最賃が上がれば、必然的に賃金が上がる制度だ。組合員は現在、時間給1400円だが、最賃960円+食卓旧350円+職務給220円=1530円が時間給になる。制度の改正は、10月の最低賃金改定に合わせるため、1時間につき171円の賃上げになる。交渉した成果だろう。
 兵庫県の最賃は10月から41円引き上げられるが、今回も全国平均を1円下回る。41円の引き上げは過去に例がないほどの引き上げ額だが、物価上昇に追いついているとは言えない。
 最賃の引き上げに関して、労働組合の役割について疑問がある。春闘はどうなるのか。上記の法人では嘱託職員は10月の最賃の改定で引き上げられるが、他の職員は4月に賃金が改定される。ここに矛盾はないのか。
 月給制の人は、時間給を計算することがあるのだろうか。先日見た他社の労働条件通知書は、基本給が最賃を下回っていたが、その組合員は気づいていなかった。月給制で働く人たちは置き去りにされていないだろうか。初任給の引き上げは考えられているのだろうか。
 最賃が重視されているということは、最賃ギリギリで働いている人が多いということだ。最低賃金では生活は苦しい。10月に最賃が改定され引き上げられても、春闘でさらに賃金の引き上げを行うことが、労働組合に求められていることだろう。職場で労働組合としてきちんと活動していくことの重要性を感じる。
木村文貴子(神戸ワーカーズユニオン書記長)