新社会兵庫ナウ

地域ユニオンあちこちあれこれ415
ユニオンの組織強化の必要性

2023/08/09
 最近の労働相談の中には、労働局、労基署、無料弁護士と相談を経て、その後にユニオンに来るケースがある。そうしてユニオンに加入し団体交渉の場を設けることを希望する。
 本件は、大手家電量販店から倉庫関連の業務委託を受けている会社で宿直勤務で働くA君の相談だった。職場の上司から「わが社には解雇はない、自己退職をしてくれ」とパワハラ的な暴言を受け、「自分は解雇されるような事はしていない。退職は絶対にしない」と回答すると、上司は「事務作業に変わってほしい」と配置転換(別ビルに配転)を強要されているという内容であった。
 これを受け、ユニオンは会社と交渉を開始。不当な解雇発言であり認められないと謝罪を求めるとともに、配転にも正当性がないと強く抗議した。
 会社は解雇発言については陳謝し、配転については「委託会社から、A君の作業対応などから倉庫関連の仕事から外すことを要求されている」と回答があった。
 ユニオンは、雇用関係にない委託会社が発言できることではないと抗議し、会社の責任で委託会社に現状維持を求めることが雇用責任を負うことであると、善処を求めた。
 会社側からは、「委託会社に倉庫業務を全面的に依存している下でA君の現状維持は難しい」、「配転してもらえるならば宿直勤務の手当分は保証する」との回答があり、さらに退職前提の金銭解決の申し出の提案もあった。
 会社提案を受けてのユニオンの協議で、家庭状況や出勤停止となっている現状を続けることは難しいとのA君の判断もあり、会社提案を受け入れることとなった。そして、その条件として会社が最大限の解決策を示すことや、会社都合退職とする点などを求め、団体交渉はユニオンの要求にほぼ沿う内容で妥結した。
 こうした経過ののち、A君には組合員継続の依頼も行ったが、残念ながらそうはならなかった。
 ユニオン運動は相談者の要求解決は必要だが、闘いの中で組合に残り、組合員の活動家が誕生することなど、ユニオン運動の組織強化の必要性を改めて痛感している。
旭茂雄(ユニオンあしや副委員長)