新社会兵庫ナウ

おんなの目(2023年5月24日号)
日本の少子化は当然の結果

2023/05/25
 今ごろになって「異次元の少子化対策」という陳腐なスローガンを掲げて、しかもさらに陳腐でとんちんかんな具体策を掲げている岸田政権。アンタは毎日分刻みで仕事や子育てに追われている生活をしたことが一瞬でもあるのか。まあ、そんな体験をしたことがなかったら、また周りにそんな知り合いもいなかったら、陳腐な政策しか考えつかないのも無理もないのだろう。その案作りを必死に考えた官僚たちもまたしかり。
 女性労働者の就業率は70%。しかし、中身は非正規労働者が54%。しかも既婚者でも夫妻とも非正規労働者が増えている。
 多くのシングルマザーがダブルワークを強いられている。
 たとえ夫妻とも正規労働者で経済的には安定していても、夫が長時間労働で、家事・育児がほとんど妻に覆いかぶされている家庭が多い。世界の先進国の中でも日本は夫が家事・育児にかけている時間はいまだに最低ランクだ。
そんな現実を目の前に突きつけられて、小手先の少子化対策だけで将来の生活に安心感が持てるだろうか。持てるわけがない。結婚や出産は自然な結果だ。すべての国民、未来を背負う子どもたち、若者たちの生活基盤が安定していてこそ自然に生まれる行動であり、結果だ。国家や政治家の政治の都合で左右されるものではない。されるべきではない。そのことをアベさんも、スガさんも、岸田さんも全く分かっていない。分かる必要もないのだろう。
 今、世界では女性がトップリーダーの国が増えている。そして元気がいい。そのことは先進国だけに限られていない。それらの国では男女平等の政策が少しずつでもさらに進んでいる。女性や子どもたちが大切にされる政策は、高齢者が、障がい者が、LGBTQの方が、外国の方が……、すべての人の人権が大切にされることに繋がっている。日本は進んでいない。一体全体どうなっているのか。
 30年以上も前から少子化が進行しているのに能天気な国に対して、欧米や北西ヨーロッパの研究者やジャーナリストからは「なぜ日本政府は少子化対策をして来なかったのか」という質問が出ているそうだ。東アジア諸国は「日本のようにならないためにはどうすればよいか?」と、日本を反面教師にしようとしているそうだ。
 今の少子化の現状は、他国に比べたらあまりにも酷い政治や対策に対する一種のストライキの結果だと思う。人が生きていくすべの当たり前の自然な行動の結果だ。誰がアホらしくもなく誰かのために結婚したり、子どもを産んだりするか。「産めよ増やせよ」の時代ではないのにもかかわらず、依然として発想は同じ。日本は何ごとにも百年も千年も遅れている。
 今の対策では少子化はもっともっと進む。今すぐ真剣な少子化対策の開始を。まずはすべての人の生活基盤の構築からだ。
 「岸田さん!女性を、子どもを、若者をなめたらアカンよ!」
(新原三恵子)